経営・戦略

2026.08.28 17:15

8月上場のエブリー、売上高1000億円は「十分に到達可能な目標」──ニューカマー100(第1回)

エブリー代表取締役社長CEOの吉田大成

エブリー代表取締役社長CEOの吉田大成

レシピ動画メディア「デリッシュキッチン」を手がけるエブリーが8月4日、東証グロース市場に上場した。2015年創業の同社は、アプリ+ウェブのMAU(月間利用者数)が3100万を抱えるオンラインメディアに加え、全国の食品スーパーと連携したリテールメディアの展開で、生活者の購買・調理行動を捉えた独自の「食生活行動ビッグデータ」を蓄積。これを武器に、食品メーカーなど広告主向けのMarketing Solutionビジネスを強力に成長させている。

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今回のIPO(新規公開株式)は時価総額が未上場時の評価額を下回る「ダウンラウンド上場」となったが、事業は堅調だ。26年6月期決算は黒字転換を果たし、今期も大幅な増収増益を見込んでいる。利益拡大フェーズに入った今後の成長戦略をどう描いているのか。中期的な経営方針、また経営者としての思想を含め、代表取締役社長CEOの吉田大成に聞いた。

――このタイミングで上場した狙いを教えてください。

吉田大成(以下、吉田):創業期から取り組んできた「デリッシュキッチン」を軸としたオンラインメディアの領域に加えて、リテールメディアの事業が確立されてきたことが大きな背景にあります。全国の食品スーパーと連携しながら取り組んでいる店内のDX化、デジタルサイネージによる店舗のメディア化という取り組みが、一定の規模としてしっかり成立してきたということです。

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それに加えて、我々が「食生活行動ビッグデータ」と呼んでいる、多くの生活者の方々のデータがしっかりと蓄積されてきました。このデータにレバレッジをかけながら、今後のビジネスをしっかりと成長させていけるという手ごたえを感じ、このタイミングでの上場に至りました。

━━初値は公開価格(230円)を27.8%上回る294円と、投資家からは一定の評価を受けたかたちです。一方、未上場時の評価額239億円(2026年4月時点、STARTUP DB調べ)に対し、上場時の時価総額は初値ベースで60.9億円と、いわゆる「ダウンラウンド上場」に相当します。バリュエーションを考慮してもなお、上場に踏み切った意図は。

吉田:確かにバリュエーションとしてはダウンラウンドですが、より大きな成長を目指していくなかでは、上場によって社会的知名度や信用度を得るメリットが大きいと考えました。私たちが今後、拡大していきたいのは、全国の食品スーパーさんとの連携です。こうした小売業者の立場からすると、我々のようなスタートアップというのは、すごく遠い存在。ですから、会社がどういう財務状況で、どういう取り組みをしているのかが公開されていない状態だと、本当に信用できる相手なのかという話になります。

我々の小売業者との取り組みは、半年や1年といった短い期間のものではありません。一緒にインフラを作っていくので、10年、20年、30年と長い期間で取り組んでいくことになります。そう考えると、やはり上場企業として情報をオープンにしながらお取引させていただけるメリットは非常に大きい。VC(ベンチャーキャピタル)をはじめ既存株主の方々とも継続的にディスカッションを重ね、足元のバリュエーションよりも将来の大きな成長が望ましいとの結論に至りました。

━━2026年6月期の本決算は、売上高が前年比18.2%増の50.2億円、営業利益は3.2億円、純利益は4.2億円で黒字転換しました。確実に収益を出していくフェーズへ移行したのですか。

吉田:全体の売上高は前年比18.2%増ですが、主力ビジネスであるメーカーや小売向けの広告ソリューション、DXソリューションに関しては28.2%増と大きく伸びています。この成長率は直近数年間、維持しているものです。

一方で、全社の販管費に関しては、この3年間、横ばいの状態を維持しています。今後の成長戦略として顧客単価をどんどん上げていける見込みがあるなかで、売上を伸ばしながら販管費を一定に維持することで、しっかりと黒字化し、さらにここから先の利益拡大フェーズへ移っていると捉えています。

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取材・写真=眞鍋 武

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