経営・戦略

2026.08.28 17:15

8月上場のエブリー、売上高1000億円は「十分に到達可能な目標」──ニューカマー100(第1回)

エブリー代表取締役社長CEOの吉田大成

━━黒字化の主要因は顧客単価の上昇にあるのでしょうか。

advertisement

吉田:特に私たちが「ロイヤル顧客」と呼んでいる、年間1000万円以上の取引があるお客様が貢献しています。期末時点でロイヤル顧客数は80社となっており、前期から約29%伸びています。これに伴って、全体の平均顧客単価が引き上がっています。ここが黒字化の非常に大きな要因でした。

先ほどの販管費の話にもつながりますが、基本的に1社のお客様を担当するための当社の人員リソースというのは、取引金額が増えても大きく変わりません。したがってひとりの担当者がお預かりできる広告予算やDX化のための予算が増えていくことによって、売上成長とともに生産性が上がり、利益率が高まる構造になっています。

━━なぜ顧客単価を増やせるのでしょうか。利益の源泉となっているエブリーの強みとは。

advertisement

吉田:私たちは食品メーカーや飲料メーカーなどの企業からマーケティング予算をお預かりしているわけですが、この業界における最大の課題は「効果測定の難しさ」にありました。

一般的なインターネット広告であれば、コンバージョン(成約)が明確に分かります。しかし、食品や飲料の場合、実際の購買ポイントの多くはネットではなく、実店舗で買われたかどうかになります。これまでは、オンライン上でプロモーションしたデータと、お店のPOS(店舗販売データ)を紐づけることが非常に難しかったため、マーケティングが「本当に実店舗での購買につながっているのか」という検証が進みませんでした。結果として、メーカーや広告主のマーケティング予算が、テレビCMからデジタルへなかなか移行してこなかったという背景があります。

そこで、私たちの強みである「食生活行動ビッグデータ」が生きてきます。このビッグデータを使うことで、デジタル上での行動や広告接触のデータと、オフラインでの購買データを、ひとつのIDで紐づけて管理できるようになりました。

全国の食品スーパーさんとの強い連携を軸に、店舗網におけるID-POSを含めた全量での購買データを自社で保持し、それをベースにして企業のマーケティング活動をご支援する。確実に効果測定ができる点、そして私たちの広告ソリューションを使っていただくことで、実際のお店でのPOSが伸びていることが確認できる点。これが顧客の粘着性を高め、「エブリーのプラットフォームを使ってマーケティング活動をすれば売り上げが伸びる」と実感していただけていることが、最大の強みであり顧客単価を向上できる要因だと思っています。

━━具体的な効果を示す実例は。

吉田:例えば、前期に当社で実施した広告配信の全案件のうち、実に8割の案件でPOSが引き上がっていることが確認できています。よく「テレビCMをやっても実店舗での購買は動かなくなってきた」と言われますが、我々のソリューションでは、全案件の平均値で、広告配信前の2週間と配信後の2週間を比較してPOSが約20%伸びています。要するに、売り上げが1.2倍に増えているのです。

もちろん、案件によっては「冬の時期に寒くなったから鍋の商材が売れただけではないか」といった季節要因もあるかもしれません。しかし、私たちがプロモーションを行うと、そうしたカテゴリー全体が伸びている局面であっても、カテゴリー対比でさらにプラス17ポイント売上が上乗せされるというデータが出ています。つまり、単に市場の波に乗っただけでなく、効果測定によってブランドの「指名買い」が進んでいることまでデータで実証できているのです。

あるお客様の場合、最初のお取引は年間100万円程度からスタートし、成果の検証を重ねる中で、足元では数億円単位の取引にまで拡大しています。特に上位のロイヤル顧客に関しては、年々大きく金額が伸びている状況です。

次ページ > 今後の成長戦略は

取材・写真=眞鍋 武

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事