アリババ(阿里巴巴)は、人工知能(AI)向けにさらに102億ドル(約1兆6200億円)を調達するため、株主に約3.6%の希薄化を受け入れるよう求めた。
市場の反応は否定的だった。投資家が注目したのは、ディスカウントを伴う株式発行、発行済み株式数の増加、そしてアリババがAIインフラにすでに投じている資金の規模だった。筆者は株価下落を受けてアリババ株を購入した。市場がこの取引において、最も数値化しやすい点だけに囚われていると考えたからだ。株主がどれだけ希薄化されたかは正確にわかる。一方で、アリババが今回調達した約100億ドル(約1兆5900億円)から何を稼ぎ出すのかは、まだわからない。
この点は、会長のジョセフ・ツァイ(蔡崇信)とCEOのエディ・ウー(呉泳銘)が株式を買い始めた時点ですでに興味深かった。そこにジャック・マー(馬雲)も加わり、6億香港ドル超、約7700万ドル(約122億円)相当のアリババ株を購入したと報じられたことで、その意味はさらに大きくなった。
筆者は長年、内部関係者の売買動向を追ってきたが、単発の買いが見方を変えることはめったにない。今回の例は異なる。創業者、会長、最高経営責任者がいずれも、アリババがここ数年で下した最大級の資本配分の判断をめぐって、自らのエクスポージャーを増やしている。
彼らがなお間違っている可能性はある。それでも、株主を希薄化させたのと同じAI戦略に、彼らは自分自身の資金を投じているのである。
AI資金調達後にアリババ株が下落した理由
当初の売りは、非合理的なものではなかった。
アリババは1株112.70香港ドルで7億1000万株を新たに発行し、約800億香港ドルを調達する。この株式発行は、増資後の発行済み株式数の約3.6%に相当し、直前終値に対して8.4%のディスカウント価格で実施された。調達資金は、半導体、コンピューティングインフラ、AIモデルへの投資拡大に充てられる。
既存投資家が保有するアリババの持ち分比率は、この取引前よりも小さくなった。
同社はまた、わずか数年前には想像しにくかったペースで資金を投じている。アリババは3年間でAIとクラウドインフラに3800億人民元を投じる方針を示しており、その影響はすでに財務諸表に表れている。設備投資は急増し、利益は圧迫され、フリーキャッシュフローは弱含んでいる。
人工知能だからといって、拙い資本配分が容認されるわけではない。アリババがさらに100億ドル(約1兆5900億円)を投じ、平凡なリターンしか生まない能力増強を進めるなら、株主はコストに見合わない資産に資金を提供するために、自らの持ち分の一部を手放したことになる。
だが、アリババが資金を投じているのは、プレゼン資料上にしか存在しない事業ではない。
同社のAIクラウドおよびコンピューティングサービスの売上高は、第2四半期(4〜6月期)に45%増の約71億ドル(約1兆1300億円)となった。クラウド部門の調整後EBITAは133%増加し、AI関連製品の売上高は12四半期連続で3桁成長を遂げている。
需要はすでに存在する。より難しい問いは、その需要を満たすために投じられている資金を、最終的にその経済性が正当化できるかどうかである。



