経営・戦略

2026.08.27 13:06

事業拡大期の「急ぎの採用」に潜む隠れたリスク

stock.adobe.com

stock.adobe.com

従業員数50人を超えて拡大していく創業者たちと数多く話をしてきた結果、あるパターンが見えてきた。独立業務請負人(インディペンデント・コントラクター)の分類に関する連邦規則が緩和されるという記事を読むと、経営者は安心する。そして請負契約による採用を加速させ、新たな州へと事業を広げ、それぞれの採用を「コンプライアンス上の判断」ではなく「手軽な勝利」として扱うようになる。

だが、その安堵は時期尚早だ。米労働省は2026年2月に新規則を提案し、連邦レベルで労働者を従業員ではなく独立業務請負人として分類しやすくなる方向に舵を切った。しかし連邦規則はあくまで「下限」であって「上限」ではない。カリフォルニア、マサチューセッツ、ニュージャージーといった州は、しばしばより厳格な独自のテストを適用しており、ワシントンが何を決めたかは意に介さない。ニュージャージー州は今夏、それを証明してみせた。同州は物流会社STGロジスティクスと、数百人のトラック運転手を独立業務請負人として誤分類したことを巡り、277万ドル(約4億4100万円)の和解に至った。これは、連邦の執行とは完全に切り離された形で、州が誤分類について雇用主を直接提訴できるとする2021年のニュージャージー州法に基づき解決された初のケースとなった。

連邦レベルのいかなる変更も、採用戦略の一つのインプットに過ぎず、全体像ではない。そしてそれは、実際に事業を展開している州の規則と照らし合わせて初めて意味を持つ。請負契約、リモート採用、あるいは新規州への進出を通じて拡大する企業にとって、連邦規則と州規則の間にあるギャップこそが、リスクの潜む場所だ。そのギャップを埋めるためにどう考えるべきか、以下に示す。

1. 採用後ではなく採用前に、州ごとのチェックを行う

連邦の審査をクリアする請負契約でも、州のテストには通らないことがある。そしてある州では通っても、隣の州では通らないこともある。例えば、あるマーケティング会社がテキサス州のマーケティングコンサルタントを独立業務請負人として分類したとしよう。テキサス州は一般的にビジネスに有利とされるコモンロー上のコントロールテストを採用しており、この分類は成立する。しかし、同じ役割の人材をカリフォルニア州で採用すると、話は変わる。カリフォルニア州のABCテストは、その業務が会社の通常業務の範囲外に該当するかを問う。マーケティング会社がマーケティングコンサルタントを雇う場合、それは範囲外ではない。したがって、テキサスでは成立した同じ役割が、カリフォルニアでは成立しないのだ。

これは狭い範囲のリスクではない。労働統計局の最新の非典型労働者調査によれば、推定1190万人が主たる職業として独立業務請負人として働いている。これは請負業務を主たる職業とする人だけを対象としており、副収入としての請負業務は含んでいないため、控えめな数字であろう。州境を越えて請負契約者を雇う企業はいずれも、その労働力のどこかでこの同じゲームをプレイしていることになる。

雇用弁護士からの実務的な助言は、メイン州で採用する場合もオレゴン州で採用する場合も一貫している。すなわち、労働者は「自社の本社がある地域」ではなく、「実際に業務が行われる地域」の規則に基づいて分類すべきだ、ということだ。このチェックを、オファーを出す前の採用プロセスに組み込むほうが、事後に修正するよりもはるかに安くつく。

2. 新たな州や新たな雇用モデルへ拡大する際には、分類の運用を見直す

成長期こそ、分類上の合意が現実と合わなくなる時期だ。1人のクライアントのために週数時間働いていた頃には妥当だった請負関係も、その人物がフルタイムかつ専属になった途端、まったく違って見える。今回の連邦規則案は、自社の労働力分類を見直す良いきっかけとなる。だが、本当のトリガーは社内にあるべきだ。州を追加するたび、あるいは職務の構造を変えるたびに、分類の問いを改めて発する必要がある。

全米および150カ国以上でリモートおよび非典型労働者ソリューションを提供するイノベーティブ・エンプロイー・ソリューションズの社長、カラ・ハーツォグに話を聞いた。「創業者の皆さんには、労働力の柔軟性とコンプライアンスを対立する優先事項として捉えるのをやめてほしい」と彼女は語る。「正しい問いは単純に『従業員を雇うべきか、請負人を雇うべきか』ではない。『このビジネスニーズに対して適切なエンゲージメントモデルは何か、そしてそれは業務が行われる地域で法令遵守できているか』だ。この発想を持つことで、企業はより高い柔軟性を得ながら、コストやスピードだけを理由に分類判断を下すリスクを減らすことができる」

3. 採用の仕方に柔軟性を組み込む

コンプライアンス監査は問題を発見するが、次の問題を防ぐわけではない。だからこそ、成長中の企業の多くは、監査と並行して、より適応性の高い採用構造、たとえばエンプロイヤー・オブ・レコード(EOR)やエージェント・オブ・レコード(AOR)といった仕組みを組み合わせ、新しい州で人材を追加する際に、その都度コンプライアンスプロセスをゼロから構築し直さずに済むようにしている。

ハーツォグは、根本的な誤りを明快に指摘する。「成長中の企業が今、犯している最大の過ちは、採用を、より広い労働力戦略の一部としてではなく、個別的な意思決定の連続として扱っていることだ」と彼女は語る。「分類、コンプライアンス、長期的な労働力ニーズを事前に評価せずに、新しい州へ急いで進出したり請負人を起用したりすれば、高額な罰金や制裁のリスクにさらされることになる」

ハーツォグの目には、この転換こそが、うまく拡大する企業と痛手を負う企業を分けるものと映る。「最も強い組織は、労働力戦略に柔軟性を組み込みつつ、最初から適切なガバナンスとコンプライアンスのプロセスを構築している」と彼女は説明する。

連邦規則は今後も変わり続けるだろう。この10年ほどのあいだ、それは常に真実であったし、今後もそうであり続ける可能性が高い。連邦であれ州であれ、単一の規則変更を「一部分」ではなく「全体像」として扱った企業は、痛手を負う。成長は規制の明確化を待ってはくれない。だからこそ、採用戦略もそれを待つべきではない。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事