テーマパーク業界において、ディズニーほどグローバルに展開しているブランドはほとんどないが、中東は長年にわたり空白地帯であった。それが一変したのは昨年5月、次期テーマパークがアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに建設されると発表されたときだった。以来、ディズニーはこの計画を一段と強化しており、新たなデータからその理由が明らかになった。
筆者はアブダビのパークについて、正式発表の1週間前にSNSでスクープを報じた。その後、正式発表を予告するForbes向けのレポートを執筆したが、ファンからは懐疑的な反応が寄せられた。ディズニーファンサイト「Disney Tourist Blog」は「詳細な空撮風コンセプトアートとともにこれが発表されたら、ここで前言を撤回する」と述べていた。もう一つのディズニーファンサイト「Laughing Place」は、アブダビのパークについて「あり得そうであり得ない話」と評した後、その記事を削除した。
どうやら見立てが外れていることを知らされたようで、その直後にディズニーは新パークの衝撃的なニュースを発表した。筆者のForbesレポートで予測した通り、ディズニーは中東を代表するテーマパーク運営会社ミラル(Miral)と戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。
ミラルはここ15年間で、アブダビのヤス島レジャー地区に世界水準の屋内型テーマパーク群を築き上げてきた。ワーナー・ブラザース・ワールド、シーワールド、フェラーリ・ワールドなどがそれで、いずれも同じビジネスモデルを採用しており、ディズニーもこれに倣うこととなる。
新パークの資金調達、開発、建設はミラルが担い、ライセンス契約のもとでディズニーのキャラクターや知的財産を使用する。その見返りとして、ディズニーはチケットおよびグッズ売上の一定割合に基づくロイヤリティを受け取る見込みだ。ディズニーは運営面での監督も行うが、実際のパーク運営はミラルが担当し、パークの設計にはディズニーの「イマジニア」(工学を想像力豊かに活用することにちなんで名付けられた建築家たち)が起用される。
筆者は、イマジニアリング部門の中心人物の一人であるザック・リドリーがこのプロジェクトの責任者であることを明らかにしたが、それ以外は開発に関するニュースはほとんど出てこなかった。9月にリドリーは、パークが海岸沿いに位置することから、その中心となる城には水が中心的な要素として配置されると明かした。同様に1月には、ディズニー前CEOのボブ・アイガーがインスタグラムの投稿でパークの立地について匂わせた。
しかし翌月、イスラエルと米国によるイランへの戦争が始まり、中東には暗雲が立ち込めた。この紛争は現在も地域を揺るがしており、解決の兆しは見えていない。紛争の中心にあるのは、UAEへの主要な海上輸送ルートであるホルムズ海峡であり、イランは自国が認めない通過船に対して発砲することで、この海峡を事実上封鎖している。ここ3日間だけでも、アブダビの国営石油会社ADNOCに関連する2隻の船舶が攻撃を受け、イランに攻撃された同社関連船舶の総数は18隻に達している。
筆者が報じたように、ミラルは戦争開始直後にディズニーパークへのコミットメントを改めて表明した。しかし、5月に行われたディズニーの決算説明会の際、著名なテーマパーク評論家ロバート・ナイルズは、このメディア大手が「アブダビ計画にヘッジをかける」意図があるのではないかと疑問を呈した。
ナイルズが「Theme Park Insider」で指摘したように、ディズニーの新CEOジョシュ・ダマロは株主宛の書簡で「当社のアブダビ計画の戦略的論理は変わっていない」と書いた。ナイルズは「この一文の主語は『当社のアブダビ計画』ではなく『論理』である。言い換えれば、ディズニーは新たな市場で新しいテーマパークを追求する根拠は変わっていないと述べたのであり、米国とイスラエルによるイラン攻撃に対するイランのUAE攻撃以前と同じ形で、アブダビに関する具体的計画が維持されているとは述べていない」と指摘した。
ナイルズが正しく指摘したように、昨年11月のディズニーの最新年次報告書には「本リゾートの開発は、関係当事者間の合意締結を条件とする」と明記されていた。さらに彼は「これまでのところ、そうした最終合意がなされたことを示すディズニーの提出書類や声明を私は見ていない」と述べた。
先週開催されたディズニーの次回決算説明会で、この不確実性は払拭された。ローゼンブラット・セキュリティーズからの戦争の影響に関する質問に対し、ディズニーの最高財務責任者(CFO)ヒュー・ジョンストンは次のように答えた。「アブダビについて言えば、あの新しいパークは長期的視野で設計されている。これらは実現までに複数年を要するプロジェクトだ。そして、いったん実現すれば、何十年も続くものになる。我々はこのプロジェクトの背景にある戦略的合理性を引き続き信じており、最後までやり遂げることに全面的にコミットしている」
この発言は、ナイルズが提起した疑問だけでなく、テクノロジー・メディア・通信リサーチ会社のライトシェッド・パートナーズにも答えるものであった。同社は数日前に、ディズニーがアブダビ計画を再検討している可能性があると主張していた。実際のところ、ディズニーは資本を投じるわけではなく、ブランドとキャラクターを提供するのみであるため、このプロジェクトから撤退する意味はない。
パークの正確な立地さえ正式には発表されていないが、アイガーのインスタグラム投稿以来、公然の秘密となっている。同様に、ディズニーもミラルもパークの開業時期を示していないため、延期と言うことすら適切ではなく、ましてや中止と言うのはなおさら筋が通らない。
ダマロが述べたのは、この規模のプロジェクトでは設計に1〜2年、建設にさらに4〜6年を要し得るということだけである。海上輸送で到着する貨物に依存するUAEの大規模新規建設プロジェクトの時期は、ホルムズ海峡の再開に左右される。この重要な水路を通る海運はほぼ完全に停止しており、戦争勃発前に大部分が完成していたプロジェクトにさえ遅れを生じさせている。
その一例が、UAE初のカジノリゾート「ウィン・アル・マルジャン・アイランド」だ。当初は2027年第1四半期の開業を予定していたが、最近9月に延期された。だが、これがディズニーの意欲を削ぐことはなかった。
今週末、アナハイムで開催されているD23コンベンションで、ディズニーはイマジニアリングチームがアブダビ砂漠のアル・アイン・オアシスや、ミラルが運営するカスル・アル・ワタン宮殿を訪れた研究旅行の映像リールを上映している。筆者が明らかにしたように、新たなコンセプトアートも公開され、このパークが近隣のテーマパークのように完全な屋内型ではないことが示されている。パークの模型やさらなるコンセプトアートは本日、そしてディズニーパークの設計を題材とした今後のドキュメンタリー『Worldbuilders』の最終回で公開される見込みだ。ディズニーがアブダビに注力するのには十分な理由がある。
UAEは広大な集客圏を有しており、世界人口の3分の1がUAEから飛行機で4時間圏内に居住している。また、アブダビとドバイを合わせ、年間1億2000万人が利用する世界最大の航空ハブの一部でもある。労働者や観光客を迎え入れるため、UAEは世界でも屈指の緩やかなビザ規制を敷いており、これはこのレポートで明らかにした通りである。強力な魅力を放っているのだ。
テーマパーク業界の世界的な業界団体である国際遊園地・アトラクション協会(IAAPA)の新たな調査によれば、2024年の中東・アフリカ地域のアトラクションへの来場者数は7億3800万人という膨大な数に達し、直接収益は192億ドル(約3兆500億円)に上った。IAAPAのCEOヤコブ・ヴァールは、「同地域における観光レクリエーション支出は2030年までに19%増加し、356億ドル(約5兆6600億円)に達すると予測されており、この市場における長期的な成長と機会が裏付けられている」と述べた。ディズニーはこの成長分野から、1セントも投資することなく相応の分け前を得ることになる。これこそまさにハッピーエンドだ。



