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2026.08.27 09:43

大ヒット作の作曲家ロン・バルフが語る、テクノロジーという最高の相棒

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初期のシンセサイザーによる読字障害(ディスレクシア)の克服から、AI、リモートレコーディング、空間オーディオにいたるまで、この大ヒット作を手がける作曲家が、テクノロジーがいかに自身のスコアを形作っているかを明かす。

「時差ボケなんだ。香港から着いたばかりで、今朝の4時から起きているよ」。スコットランド出身の映画音楽作曲家、ロン・バルフは、Zoomでつながるなりそう語った。バルフが到着したばかりのロサンゼルスは早朝。彼は伝説的な屋外音楽堂ハリウッド・ボウルで、映画『トップガン マーヴェリック』のオーケストラ生演奏によるシネマ・コンサートの指揮を控えていた。戦闘機のパイロットにとって、生き残れるかどうかは隣を飛ぶウィングマン(相棒)を信頼できるかにかかっている。バルフにとって、スタジオで制作した壮大な大作映画のスコアをライブステージへと移植すること、そしてこれまでのキャリアにおけるさまざまな障害を乗り越えることは、彼自身の頼れる相棒、すなわち最先端のテクノロジーにかかっているのだ。

映画の本編上映に合わせてオーケストラが生演奏するシネマ・コンサートの人気がますます高まるなか、バルフが共同作曲家(ハンス・ジマー、ハロルド・フォルターメイヤー、レディー・ガガとともに)およびプロデューサーを務めた『トップガン マーヴェリック』は、彼にとって並々ならぬ情熱を注いだプロジェクトだったという。

「『トップガン』は、私たち全員が本当に一丸となって闘い抜いた作品だ。これほど世代を超えて愛される映画はそう多くないと思うからね。私の85歳の母も、12歳の息子と同じくらい何度もこの作品を観ているよ」

バルフは、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』、『ブラック・ウィドウ』(2021年)などの映画から、テレビドラマ『ダーク・マテリアルズ/黄金の羅針盤』にいたるまで、数多くの作品で音楽を担当してきた。また、『アサシン クリード III』や『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2』といったビデオゲームの音楽も手がけている。

シンセサイザーで読字障害を克服する

バルフは若いころ、正式な音楽教育を受けていなかったにもかかわらず、テクノロジーがもたらすクリエイティブな可能性にすぐに魅了されたという。

「若いころからシンセサイザーに夢中だった。プログラミングもしていたよ。15歳のときにはすでにフェアライト(初期のサンプラー/デジタル・オーディオ・ワークステーション)のサンプリングとプログラミングの仕方を理解していた。とにかくテクノロジーが大好きだったんだ」

実際、それは彼のクリエイティブなプロセスにおいて不可欠なものだった。「私には読字障害(ディスレクシア)があり、頭の中にある音楽を外に引き出すための唯一の方法がテクノロジーだったんだ」

音楽的ストーリーテリングの「ジマー学校」

バルフは16歳のとき、映画『ウォール街』(スチュワート・コープランド音楽、1987年)と『レインマン』(ハンス・ジマー音楽、1988年)の音楽にすっかり魅了され、自ら彼らに手紙を書いた。すると2人から返信があり、ジマーにいたっては15ページにも及ぶアドバイスのメモをくれたという。その後、彼はロサンゼルスへ移り、ジマーのもとで働き始め、18年間在籍した。彼はこれを「これ以上ない最高の修行期間だった」と振り返る。

彼のテクノロジーへの愛は、ジマーのアプローチとも見事に合致した。バルフはジマーを「テクノロジーの先駆者」と評するが、それはテクノロジー自体が目的ではなく、あくまで映画に奉仕するためだった。「私はストーリーテリングについて、そして音楽がいかにして観客の手にそっと寄り添うことができるかを学んだんだ」

リモートで世界中の才能にアクセスする

バルフはまた、高速なインターネット接続のおかげで、世界中のどこにいるミュージシャンの演奏でも収録できるようになったことの利点を説明した。

「もし10年前にリモートレコーディングについて議論していたら、革命的なことだと思われただろう。でも今となっては、なぜ昔からずっとこれをやっていなかったんだろうと不思議に思うくらいだよ!」

予想通り、新型コロナウイルスのパンデミックによってこの手法が一般化し、効率的であることから誰もが今もこれを続けているのだという。

これによって生まれたもう1つのメリットは、ロンドンやロサンゼルスといった従来の音楽の中心地にいるミュージシャンだけに依存するのではなく、より「本物」の才能を紹介できるようになったことだ。

「伝統的なミュージシャンを、彼らが暮らす現地の場所で発掘できるという事実に、みんなが気づかされたのだと思う。その楽器の演奏方法を知っているからといって、その歴史や伝統(ヘリテージ)まで理解しているとは限らないのに、私たちがそれを知っているかのように装う必要はなくなったんだ」

もっとも、バルフはこれに補足を加える。同じ部屋に一緒にいないことは、クリエイティブなプロセスにおいて不可欠な人間関係を築く力を低下させてしまうというのだ。だからこそ、彼は今でもイギリスとロサンゼルスを行き来し続けている。「誰かと一緒に過ごし、その人を知るというプロセスのほうが、私はより良い仕事ができると感じているんだ」

この人間的なつながりの欠如こそが、AIが「勝利しない」理由だと彼は語る。

AIが「次世代のシンセサイザー」にすぎない理由

「作曲家としての私の仕事の1つは、監督が何を考えているかを理解しようとすることだ。彼らは自分が求めているものを音楽的に表現できないかもしれないが、アイデアは持っている。私はそのアイデアを引き出さなければならない。一緒に昼食をとったり、時事問題について話し合ったりすることで、相手の人間性を知り、その好みを把握できるようになるんだ」

しかし、彼は音楽制作におけるAIの活用に全面的に反対しているわけではない。50年前に音楽家ユニオンがシンセサイザーを禁止しようとしたときと何ら変わりはないと彼は言う。

「当時、彼らはシンセサイザーがミュージシャンの仕事を奪うと言った。そして、実際にそうなったという見方もできる。しかし、それは人々に創作の機会をもたらした。サンプラーも同様に、私たちの創作を可能にしてくれた。そしてAIは、ピアノを上手に弾けない人でもピアノ曲を書けるようにしてくれるだけにすぎない」

「では、それが優れたピアノ曲かどうかは議論の余地があり、好みの問題だ。しかし、もしあなたがそれを作っている張本人で、審美眼(センス)を持っているなら、自分がセンスが良いと思うものを選び出すことができる。そして、それが観客の心に響くかもしれない」

大ヒット作のスコアをライブステージへ

彼がテクノロジーに慣れ親しんでいることは、オリジナル録音に近い形でサウンドトラックをステージ上で再現するために、ステム(シンセサイザーやバックボーカルなど、事前に録音された各パートの音源)を使用することに何の躊躇もない理由を説明している。

「まったく同じ音を再現するのが不可能な場合もある」と彼は説明する。「観客の立場からすれば、素晴らしいサウンドを聴きたいと思うものだ。私にとっては、ステムが使われているかどうかよりも、そちらのほうがはるかに重要なんだ」

果てしない道のり

『トップガン マーヴェリック』における、映画的なオーケストラ・アレンジ、雰囲気のあるシンセサイザー、そして推進力のあるパーカッションの融合は、まさにバルフの真骨頂であり、あらゆる音をジャンルの制限なく有効な楽器として扱うという彼の哲学を体現している。彼は私にこう語った。「私はデペッシュ・モードが大好きだし、クラフトワークも大好きだ。ヴォーン・ウィリアムズと同じくらい彼らを愛しているよ」

彼がテレビや映画と同じようにゲームの仕事も難なくこなせるのは、おそらくそのためだろう。ただし、ゲームの音楽制作における課題は、映画に比べてその長さが途方もないことだ。

「十分な量を書き切れるとは限らない。というのも、『コール オブ デューティ』や『アサシン クリード』のような作品では、1時間分の音楽を求められるのに対して、ゲームのプレイ時間は28時間にも及ぶ。だから、その1時間の音楽をなんとかして使い回さなければならない。そのため、私がゲームの仕事をするときは、いつも『1時間』というルールを破ってきた。ただ座って考えてみても、こんなの正気の沙汰ではないと思うからね。そんなの無理に決まっている。それでも彼らはやってのける。オーディオエンジニアたちの仕事ぶりには本当に驚かされるよ」

空間オーディオをめぐる闘い

しかし、テクノロジーを積極的に取り入れようとするバルフの情熱は、課題ももたらしている。最近の映画はすべてサラウンド・ミックスで提供されるため、バルフは作曲の段階からミックス内での音楽の響きを最適化することに時間をかけるのが好きだという。

「音響的なプロデュースと作曲を同時に行い、できる限り印象的な仕上がりにするんだ。ただ、時として厄介なのは、それをサラウンドでミックスするのか、それともステレオにするのかという問題だ」

「これは難しい問題だ。ドルビーアトモス(Atmos)で作曲していて、音響的にはすべてが素晴らしく聴こえると思っていても、いざダビングステージ(音響調整スタジオ)に持っていくと、フレンチホルンが鳴っているはずの場所に、突然宇宙船が現れたりするんだ!」

バルフによると、このためダビングミキサーたちは、自分たちでサウンドミックスの制作を主導できるよう、音楽をステレオで提供することを望むのだという。

「これは闘いだ! セリフとの闘いであり、効果音との闘いでもある」

解決策はいつだって「協働」であり、バルフはそれを80年代の映画を引き合いに出して巧みに表現した。

「ダビングミキサーと良好な関係を築き、時には彼らのリードに従うしかない。『ハイランダー 悪魔の戦士』の世界に戻れば――『生き残れるのはただ一人!』だからね」

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