バイオ

2026.08.27 10:30

米FDAが膵臓がん新薬を承認、「生存期間を倍増させる」可能性

Sarah Silbiger/Getty Images

Sarah Silbiger/Getty Images

米食品医薬品局(FDA)は、膵臓がん患者向けの新たな治療薬「ダラクソンラシブ」を承認した。1日1回服用するこの錠剤は、がん細胞の増殖に関わるRASタンパク質の働きを阻害し、標準的な化学療法と比べて患者の生存期間を2倍に延ばす効果が確認されている。

目標期日の予定より約6カ月早まり承認、対象は転移性の膵管腺がん

バイオテクノロジー企業のレボリューション・メディシンズが開発し、「Rasonque(ラクソンク)」のブランド名で販売されるこの新薬は、予定より約6カ月早い米国時間8月26日に承認された。膵臓がんは米国におけるがんによる死因の第3位を占めているが、これまで有効な治療の選択肢は限られていた。

ラソンクの投与対象となるのは、過去に少なくとも1回の治療歴がある転移性の膵管腺がんの成人患者だ。膵管腺がんは、毎年新たに診断される6万7000件の膵臓がん症例のうち90%から95%を占めている。

ラソンクを投与された患者の平均生存期間の中央値は13.2カ月

臨床試験において、ラソンクを投与された患者の平均生存期間の中央値は13.2カ月に達し、標準的な化学療法のみを受けた患者の6.7カ月と比べて2倍の長さとなった。

この新薬は、長年にわたり不可能とされてきた、患者の体内で腫瘍の増殖を促す働きを持つRASタンパク質の働きを直接阻害することで効果を発揮する。

30日分の卸売価格は3万9800ドル、米国で処方開始

レボリューション・メディシンズは、Rasonqueの卸売取得価格を30日分で3万9800ドル(約633万円)と公表した。1日1回服用する錠剤はすでに米国で流通し、医師が対象患者に処方できる状態にある。クラス初となる同種の経口分子標的抗がん薬は、保険適用前で月1万5000〜2万5000ドル(約238万5000〜397万5000円)が相場という。

早期に症状は現れず、発見時には転移している例が多い

FDAによると、膵管腺がんの死亡率が高い主な理由は、発見が遅れがちであること、進行が速いこと、そして治療の選択肢が限られていることにある。初期の膵臓がんは自覚症状に乏しく、患者が症状を訴える頃にはすでにがんが転移し、体の他の部位に広がっているケースが大半だ。過去40年以上にわたり、膵臓がんの生存率は他の主要ながんと比べて大きく遅れをとっており、治療研究の難しさから新薬開発の「墓場」とまで呼ばれてきた。

膵管腺がんはがん診断の3.2%、死因では7%台を占める

診断されるがん全体の中で膵管腺がんが占める割合はわずか3.2%だが、がんによる死因においては7.4%から7.7%と、発症率に対して極めて高い。

膵臓がんの90%以上はRAS遺伝子の変異によって引き起こされており、ラクソンクはRASタンパク質を直接狙う薬として膵管腺がんの治療で初めて承認された。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事