メディア業界向けコンサルティング会社オウル&コーが2026年8月、初となる報告書「バーティカル・エコノミー・リポート」を公表した。スマートフォンを縦に持って見る縦型動画について、中国以外の地域の市場規模を2026年に1500億ドル(約24兆円)と見積もり、1年で42%増えたとしている。
報道や業界資料で最も多く引き合いに出されるのは、この1500億ドルという数字だろう。報告書が並べた数字の中では、最も面白みに欠ける1つかもしれない。
オウル&コーは、メタ(Meta)、バイトダンス、YouTubeが合計で市場の94%を占めると推計する。1500億ドルの内訳は、広告収入が1310億ドル(約20兆9600億円)を占める。対して、利用者がアプリ内で支払う課金は100億ドル(約1兆6000億円)、動画経由で商品が売れたときにプラットフォーム側が受け取る手数料は90億ドル(約1兆4400億円)である。
縦型動画は、ひとまとめに語れる1つの事業ではない。筆者が2026年に入ってから繰り返し書いてきたこの見方に、報告書は具体的な金額を当てはめた。共通しているのは、画面を縦に使うという1点だけだ。稼ぎ方の仕組みまで共通しているわけではない。
ショートドラマ専業アプリは2000近くあるが、稼ぐ額は縦型動画市場の3%未満
縦型ショートドラマ(マイクロドラマ)に特化したアプリは、世界規模あるいは地域単位で2000近くがひしめいている。それでも合計で約40億ドル(約6400億円)規模にとどまり、市場全体の3%に満たない。アプリ数と金額が釣り合わない理由は、費用の内訳を見ると分かる。
首位アプリReelShortは、集客とアプリストア手数料に売上高の73%を払う
オウル&コーは、調査会社メディア・パートナーズ・アジア(Media Partners Asia)による推計を引いている。ショートドラマ専業アプリで売上高首位に立つReelShortは、利用者を集める広告出稿とアプリストアに支払う手数料に、売上高の約73%を投じている。規模が小さいアプリでは、集客と手数料が売上高に占める比率はさらに高いとオウル&コーはみる。73%という水準は、こうしたアプリが番組制作に使う割合をはるかに上回る。
広告収入型の無料アプリが視聴時間に占める比率、15%から83%へ
利用者がショートドラマを見る時間のうち、広告収入で成り立つ無料アプリが占める割合は、1年半にあたる6四半期で15%から83%へ上がった。
これに対し、利用者に課金させるアプリの稼ぎ方は、テレビ番組よりもモバイルゲームに近い。広告費を払って利用者を集め、続きが気になる場面で話を切って課金させ、また次の利用者を広告費で買う。こうした繰り返しが要らないのが、メタ、バイトダンス、YouTubeだ。新作を出すたびに視聴者をゼロから集め直さずに済む。



