北米

2026.08.29 12:00

米国とカナダの貿易交渉が決裂、石油を武器にすれば双方が深く傷つく

stock.adobe.com

対立が長引けば、両国の消費者と企業が高い価格を払う

ここから引き出せる教訓は明快である。米国の精製業と、そこから生まれる輸送用燃料は、依然としてカナダ産原油と深く結びついている。そうではないふりをするのは、危険から目をそらしているにすぎない。同時に、カナダ経済も対米輸出から得る収入に大きく依存しており、米国産原油が長期にわたって届かなくなれば、主要都市が打撃を受ける。

advertisement

二国間関係が悪化したまま長引いても、米国の製油所を満たす新たな重質油が魔法のように湧いて出ることはない。カナダ東部へ供給するために、カナダ国内だけで完結する新しいパイプラインが現れることもない。行き詰まりが続けば、石油製品市場はいっそう逼迫し、米国とカナダ双方で消費者と企業がより高い価格を払う公算が高まる。米国内でも国境をまたぐ形でも、安全なエネルギーインフラを広げる機会が失われる。

安全保障を測るのは、期日どおり届く原油と完成したパイプライン

エネルギー安全保障は両国にとって国家的な必須事項であり、強い軍隊と安全な国境を保つことと同じく、国家安全保障と切り離せない。本物の安全保障は、脅し文句や決まり文句、スローガンでは測れない。物差しになるのは、期日どおりに届く原油、資金と許認可を得て実際に建設されるパイプライン、そして一時的な取引材料や政治的な見せ場よりも互いの経済的な強さを優先する通商関係である。今回の交渉決裂と、越境原油取引に降りかかりうる深刻な帰結によって、エネルギー安全保障を成り立たせる重要な釣り合いを保つことは、一段と危うくなった。

forbes.com 原文

advertisement

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事