北米

2026.08.29 12:00

米国とカナダの貿易交渉が決裂、石油を武器にすれば双方が深く傷つく

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50%追加関税と報復宣言で、原油取引に不確実性が広がる

原油をめぐる相互依存は、両国関係が安定して強固なときには双方の強みとなり、関係が揺らげば目に見える弱点へ変わる。交渉は決裂した。約200億ドル(3兆2000億円)に相当するカナダ製品には、50%の追加関税がすでに発動されている。マーク・カーニー首相が率いるカナダ連邦政府は、報復を明言した。市場と投資資金がもっとも嫌う種類の不確実性が、そのまま持ち込まれた。

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石油を武器にすれば、カナダ自身も輸出収入を失う

緊張をさらに押し上げたのは、カーニー自身が記者会見で口にした言葉だった。記者から、今日のカーニーはまるで貿易戦争へ突き進むように見えるが、その理由は何かと問われ、「攻撃されたからだ。攻撃されれば、それは戦争だ。我々は攻撃された」と答えた。カーニーはさらに報復を約束しており、この貿易戦争では石油そのものが武器として使われる可能性もある。

ただし、石油を武器として使う方向へ動くのであれば、カーニーは慎重に足を運ばなければならない。原油取引に関しては、カナダ自身も弱みを抱えているからだ。すでに触れたとおり、原油の対米輸出はカナダ経済を健全に保つ主要な収入源である。対米輸出を他国へ振り向けるのは簡単ではなく、短期間でできることでもない。これが1つ目の大きな弱点である。

カナダ東部は石油のほぼ全量を、米国経由で受け取る

2つ目の大きな弱点は、国内パイプラインを十分に建設することをカナダ連邦政府が長く拒んできた結果として生じている。カナダ東部にある州は現在、自分たちが使う石油をほぼすべて、米国からの直接輸入か、西から東へアルバータ産原油を運ぶパイプラインで受け取っている。西から東へ延びるパイプラインは、途中でミネソタ、ウィスコンシン、ミシガンなど米国北部にある州を通り抜けている。

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オタワ、トロント、モントリオールという大都市を抱えるカナダ東部には、国民の大半が暮らしている。米国を経由する供給が途絶えれば、カナダ経済は甚大な打撃を被る。

カーニーが言うとおり事態が本当に「戦争」になるなら、両国の指導者はエネルギーに関わる矢を詰めた矢筒を携えて臨むことになる。厄介なのは、その矢がブーメランでもある点だ。放てば相手を傷つけるが、少なくとも同じ深さで自国の利益をも切り裂く。

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