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2026.08.27 08:00

エヌビディア株は2030年までにどこへ向かうのか、注目すべき点とは?

Tigarto - stock.adobe.com

データセンター売上の半分を、ハイパースケーラー以外が稼ぐ

ウォール街の弱気論の1つは、ハイパースケーラーの設備投資がいずれ頭打ちになり、エヌビディア製GPUの需要が細るという見方だ。投資が崖から落ちるように減るという意味で「ハイパースケール・クリフ(ハイパースケールの崖)」と呼ばれる。エヌビディアはこの説に対抗しようと、データセンター売上高の約50%がACIEと呼ぶ顧客層から生まれている点を打ち出している。ACIEはAIクラウド、産業、企業の頭文字(AI Cloud、Industrial、Enterprise)で、ハイパースケーラー以外の顧客をまとめた区分である。

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第1四半期のACIE売上高は前四半期比31%増の370億ドル(約5兆8830億円)で、AIクラウドの売上高は前年同期比で3倍を超えた。これに対しハイパースケーラー向けは380億ドル(約6兆420億円)にとどまり、伸びも前四半期比12%と鈍い。

ACIEに属する顧客は、独自チップを開発するだけの規模、採算、意欲を備えない場合が多く、それだけエヌビディアのフルスタック構成に頼りやすい。第1四半期の決算説明会でエヌビディアは、ACIE顧客層が急速に広がっている点を強調した。10メガワットを超える提携先データセンターは1年で2倍近くに増え、80拠点を上回った。

自社製チップが広がっても、AI学習はエヌビディアが担う

とはいえ、第1四半期のデータセンター売上高752億ドル(約11兆9568億円)の半分は、依然としてハイパースケーラーが占めた。ハイパースケーラーは購入から運用までを含めた総保有コストを下げるため、グーグルのTPUやアマゾンのTrainiumのような自社開発チップを積極的に進めている。こうした特定用途向け集積回路(ASIC)は推論に強い。ただし推論で優れているからといって、それがエヌビディアの学習事業への脅威に直結するわけではない。

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自社開発のASICは、完成済みのモデルを大規模に動かす推論で、コスト効率の高さを発揮する。他方、次世代の最先端モデルを一から学習させる場面では、エヌビディアのアーキテクチャが持つ柔軟性と性能に及ばない。独自チップの採用が広がっても、学習をめぐるこの差がエヌビディアを守る防壁になる。

ACIE分野は、AI専用に建てたデータセンターで足場を広げることによって、独自ASICへの備えとなる。ただしACIE顧客の予算は、ハイパースケーラーに比べて小さい。

ACIEが伸びたとしても、ハイパースケーラーへの強い依存は薄まらないかもしれない。そう仮定した場合、重要な問いが1つ残る。ハイパースケーラーはエヌビディアから完全に手を引けるのか。

完全に見限ることは考えにくい。ハイパースケーラーは、コスト効率の高い推論に向けた独自ASICの開発と、クラウド顧客へエヌビディア製ハードウェアを提供して新サービスを素早く投入する必要性とを、両立させなければならないからだ。CUDAという開発基盤への依存、GPU同士を高速につなぐNVLink、高単価のAI顧客をつなぎ留める必要性を踏まえれば、エヌビディアはハイパースケーラーの基盤構成の中核であり続ける。

47兆7000億円を投資と保証に約束、CUDAにも挑戦者

エヌビディアをめぐって、投資家が心配の種を欠くことはない。ただし、心配の中身は移り変わり続けている。市場の懸念は当初、ハイパースケーラーがAI基盤への支出を絞るかどうかに集まっていた。エヌビディアは第1四半期の決算説明会で、ハイパースケーラー以外の事業が急拡大している点と、その外側に広がる商機の大きさを示して応じた。

懸念は現在、資金の出し手というエヌビディアの新しい役割へ移っている。巨額の賃貸保証と、OpenAIのような主要顧客への資金拠出の約束は、売上が身内で循環しているのではないかという疑問と、信用リスクへの疑問を招いた。

資金供給の約束が需要を上回れば、戦略は裏目に出る

エヌビディアはAI関連の投資と保証に3000億ドル(約47兆7000億円)を約束した。それでもBofAのアナリストは、推定4700億ドル(約74兆7300億円)のフリーキャッシュフローが依然として厚い財務的余力を示すと論じる。BofAは、株価にすでに相当のリスクが織り込まれているとも見ている。

それでリスクが消えるわけではない。資金拠出の約束がAIの実需を追い越し始めれば、契約上の歯止めを設けていても戦略は裏目に出かねない。エヌビディアは5000億ドル(約79兆5000億円)の民間資本構想を通じて顧客の信用リスクを和らげ、貸し倒れの損失を外部の機関投資家へ移している。ただし移した先にも脅威がある。技術の陳腐化だ。ハードウェアの陳腐化が想定より速く進めば、貸し手は予想をはるかに超えて価値の落ちた担保を抱え込むことになる。

AIエージェントが10時間で、CUDA類似ソフトを再現

CUDAが築いた参入障壁は、挑戦を受けている。グーグル・ブレインで研究者を務めたジェレミー・ニクソンは、AIソフトウェアの新興企業Infinityを創業した人物だ。そのニクソンがAIコーディングエージェントを使い、チップの新興企業D-Matrix向けにCUDA相当のソフトウェアをわずか10時間で作り上げたと伝えられている。

さらに、AIの重心が学習から推論へ移るにつれ、CUDAが優位を失いうるとの見方も専門家から出ている。推論の処理では、性能を極限まで引き上げることよりも、1トークンあたりの費用を下げて採算に乗せることが焦点になる。費用が焦点になる段階では、より安価なエヌビディア以外のハードウェアにも出番が生まれる。ソフトウェアを書き直さずに安いチップへ移れるなら、CUDAが持つ囲い込みの核心は弱まる。

推論が主役になっても、計算需要は減らない

もっとも、CUDAが置き換えられるという懸念は、大げさに語られている面もある。CUDA相当のソフトウェアを10時間で作るのは見事だが、動くことと最適化されていることは別だ。CUDAには、エヌビディアのハードウェアに合わせて15年以上かけて人手で磨き込まれた、深く根を張ったライブラリ群がある。AIエージェントは土台となるコードを書けても、エヌビディア以外のチップから性能を絞り出す作業は、依然として巨大な技術的ボトルネックのままだ。

推論が主役になることは、計算量が減ることを意味しない。学習から推論への移行はエヌビディアの優位を弱めると広く見込まれているが、エージェント型AIはむしろ優位を強めうる。現代のエージェント型の処理は、途切れない思考のループ、リアルタイムでの道具利用、何度も往復する推論を必要とする。要求水準が高く、量も読みにくい負荷が生まれ、エヌビディアの極めて低遅延な計算資源が欠かせなくなる。

加えてエヌビディア自身も、学習から推論へというこの同じ変化から恩恵を受ける。核心にある問いは、エヌビディアが次の優位を生み出す速さを上回って、競合がAIを使って追いつけるかどうかだ。

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