水使用、住宅価格、そしてバージニア州ラウドン郡の実験
水をめぐる苦情はさらに根拠が薄弱だ。全米のデータセンターが使用する水の量をすべて足し合わせても、淡水使用量全体の0.5%にも満たない。全米のゴルフ場の水使用量はそのおよそ30倍にのぼる。
住宅価格についてはどうだろうか。不動産情報サイト「リアルター・ドット・コム」は、大規模なデータセンターが立地する43の郵便番号地域と、データセンターが立地していない周辺地域を比較した。結果はと言えば、住宅価格は両地域でほぼ同じ動きをしており、どちらの方向にも有意な差はみられなかった。
雇用や所得はどうか。最近のある学術研究では、データセンターが稼働を開始すると、その地域の雇用は3.5%、総賃金は5.0%、事業所数は4.7%、世帯所得の中央値は1.9%増えていることがわかった。
バージニア州ラウドン郡の事例も見ておこう。ラウドン郡は20年にわたり、データセンターを地元経済の柱として誘致する取り組みを続けてきた。データセンター内のコンピューター設備にかかる税金は、2027年度に郡の税収全体の4割ほどに相当するおよそ13億ドル(約2070億円)の税収をもたらすと見込まれている。ラウドン郡は、データセンターからの税収を財源に、住宅用の固定資産税を10年にわたり毎年引き下げてきたほか、自動車登録料を廃止し、さらに学校や道路、図書館、消防・救急といった公共サービスに資金を充ててきた。
AIインフラ建設への反発は非合理ではないが、それが生む雇用もある
過去10年の大半の期間、民間によるデータセンター建設への支出額は年間およそ100億ドル(約1兆5900億円)で横ばいで推移していた。ところが、いまは月間で700億ドル(11兆円)近くに達している。各郡の計画・区域指定委員会が判断しているのは、自覚しているかどうかはともかく、こうした急激な伸び自体だと言ってもいいだろう。


