米国でこのところ奇妙なことが起こっている。ウォールストリート・ジャーナル紙は、米国はこの夏、「ラッダイトの国」になったと書いている。エコノミスト誌も「ラッドの夏」について伝えている。
「ラッダイト」という言葉になじみのない人のために説明しておけば、これは歴史的に、進歩やイノベーションを妨げ、「もっと良かった時代」に時計の針を戻そうとする人々を指して使われてきた言葉だ。
この言葉の由来は、産業革命が始まったばかりの18世紀イングランドにまでさかのぼる。ネッド・ラッドという実在したかどうかは不確かな織工の追随者たちが、自動化の進展に抗議して織機などの機械や工場を破壊した。
しかし、暴力に訴えても何も止められなかった。英国議会は機械の破壊を死刑に値する重罪とし、運動の指導者たちは絞首刑に処されたり、オーストラリアへ流刑にされたりした。守られた雇用はひとつとしてなかった。エコノミスト誌も述べているとおり、ラッダイト運動が人々の記憶に残っているのは、経済的な意義というよりも、その芝居がかった派手さゆえなのだ。
データセンターへの反発が広がっているという報道に触れるにつけ、筆者はそのことを思い出す。
データセンター建設には党派を超えた反対、若年層は7割がノー
現在、データセンターに対する米国内の世論は、控えめに言っても芳しくない。ペンシルベニア大学のアネンバーグ公共政策センターがこの夏実施した調査によると、米国の成人の61%が、自分の住む地域で新たなデータセンターが建設されることに反対している。この割合は、春の調査から12ポイントも上昇している。同センターによると、この変化幅は人工知能(AI)に関連した質問で過去最大だという。
しかも、この結果は党派によって分かれたものでもない。民主党支持者の69%が反対と回答した一方、共和党支持者でも54%が反対し、無党派層でも反対が53%を占める。全体では、地元でのデータセンター新設を支持する人の割合はわずか14%に落ち込んでいる。
年齢層別の数字にも目を向けよう。反対が最も多いのは18〜29歳の70%で、最も少ないのは65歳以上の57%だ。普通、若者は新しいテクノロジーを受け入れ、彼らの祖父母の世代はそれに抵抗するものだが、ここではその傾向が逆転している。



