避暑を目的とした旅行(クールケーション)への関心やソーシャルメディアでの話題性が相まって、イタリアのドロミテ山塊では、緑豊かな渓谷やゴツゴツとした岩峰、氷河湖を訪れる観光客が急増している。
一部のスポットでは人気が高まりすぎたため、入場制限や規制が導入されている。宝石のような色をしたブライエス湖や、高地平原のプレッツヴィーゼでは、自家用車でのアクセスに厳しい制限が設けられた。フネス谷に位置し、絵画のような佇まいで写真撮影のスポットとして非常に人気の高いサンタ・マッダレーナ教会も、一般車両の乗り入れが禁止されている。
パトリック・マウローナーは、山塊の中心部に位置する大人専用のリトリート施設「センソリア・ドロミテ(Sensoria Dolomites)」で、アクティブ&ウェルビーイング・ガイドを務めている。ここでは、人混みに圧倒されることなく有名スポットを巡るための彼のアドバイスと、彼が気に入っている穴場スポットを紹介する。
「ドロミテは、ゆっくりと過ごす人に素晴らしい報酬を与えてくれます」とマウローナーは語る。「多くのゲストが1日で複数の見どころを回ろうとしますが、最も記憶に残る体験は、一つの場所に時間をかけて滞在し、大自然と心から向き合うことで得られるものなのです」
SNSでの再生回数が1000万回に迫る、虹色に輝く湖
宝石のような色合いと、ローゼンガルテンやラテマールといった峰々の美しい反射で知られるカレッツァ湖(現地名:カレルゼー)は、ドロミテを代表する湖の一つだ。TikTokで「#LagoDiCarezza」のハッシュタグが970万回以上の再生数を記録するなど、この地域でも指折りのフォトジェニックなスポットを求める旅行者にとって、外せない目的地となっている。
マウローナーが推奨するのは、午前8時前、あるいは午後の遅い時間帯に訪れることだ。その時間なら混雑が緩和され、静まり返った湖面に周囲の山々が美しく映し出されることが多い。多くの観光客は主要な展望スポットで立ち止まるだけだが、マウローナーは湖を一周する短い円状の遊歩道を歩くことを勧めている。
「多くの人は最初の展望スポットで立ち止まり、写真を撮ってすぐに去ってしまいます」と彼は言う。「私のアドバイスは、湖の周囲のループをすべて歩くことです。水面の反射は時間とともに変化し、より静かな対岸からでしか見られない極上の景色もあります」
ドロミテで最も写真に収められる湖、ブライエス湖
ブライエス湖(現地名:プラーグゼル・ヴィルトゼー)は、ドロミテで最も有名な湖の一つだ。TikTokで「#LagoDiBraiesItaly」が320万回以上再生され、その特徴的なボートハウスの光景は広く知られている。しかしマウローナーは、この湖が最もその魅力を放つのは一日の始まりの前だと考えている。
午前8時前に到着すれば、水面に朝霧が漂い、日中の賑わいが訪れる前の穏やかな空気に包まれた、まったく異なる雰囲気を体験できる。有名なボートハウスだけを見るのではなく、マウローナーは湖を一周するトレイルをすべて歩くことを提案する。
「最も美しい写真が、いつもあの有名な貸しボートの場所で撮れるとは限りません」と彼は語る。「湖の一番奥まで歩いて、そこから山の方を振り返ってみてください。そこにこそ、混雑を避けながら最も壮大な景色を楽しめるスポットがあります」
多くの旅行者が見落とすドロミテの隠れた名所
マウローナーがお気に入りの穴場スポットの一つが、プエズ・オドレ自然公園内にひっそりと佇むクレスペイナ湖(Lech de Crespëina)だ。高山植物の広がる牧草地と、ユネスコ世界遺産に登録されたドラマチックな景観に囲まれたこの湖は、他の混雑する展望台とは一線を画す、開放感と静寂を提供してくれる。
「クレスペイナ湖は、ドロミテ本来の魅力を思い出させてくれる場所の一つです」と彼は言う。「人混みも行列もなく、気を散らすものもありません。そこにあるのは、山と静寂、そして信じられないほどの開放感だけです」
マウローナーは、シュレルン山塊の見事な景色を望む、非常に静かで穏やかな高地湖「フェルザー・ヴァイアー(Völser Weiher)」も推奨している。また、日の出の忘れられない体験として、朝一番の光がローゼンガルテンをドラマチックな色彩に染め上げる「チャフォン小屋(Tschafon Hut)」を挙げている。
パノラマの絶景を楽しみたいなら、ザイザー・アルム(シウジ高原)の上方に位置する、夕暮れ時が特に美しい見落とされがちな展望スポット「ブラッチャ(別名:プフラッチュ)」が良いとマウローナーは指摘する。また、一日の始まりの前、ヨーロッパ最大級の高山草原であるザイザー・アルムが最も静まり返る日の出の時間帯に訪れることも推奨している。



