新たな調査は、決済の枠をはるかに超えて広がる、ブランドに対する消費者認識の変化を示している。その調査結果は、私たちが長年追跡してきた変化を反映するものだ。
企業と顧客のあらゆる接点は、何かを伝えている。マーケティングは夢を売る。商品は、その期待が現実的かどうかを決める。そしていま、決済体験はますます、顧客に別のことを伝えるようになっている。すなわち、その企業が顧客を本当に理解しているかどうかである。
決済サービス企業ヌベイ(Nuvei)の最近の調査「How America Pays」を読んだとき、私の心に残ったのはまさにその点だった。表面的には、これは消費者行動に関する調査である。しかし、より注意深く読むと、顧客がどのように信頼を築くのか、ブランドを評価するためにどのような情報を使うのか、そして最終的にどこから購入するかを決める際にどのような基準が働くのかについて、はるかに広い示唆を明らかにしている。その調査結果の多くは、私の会社であるプロスパー・インサイツ&アナリティクス(Prosper Insights & Analytics)で長年追跡してきた変化を反映している。
「一人の顧客像」はもはや通用しない
ヌベイの調査によると、米国人の57%が、利用する決済手段は購入の文脈によって変わると答えている。3分の1超は、決済手段を日常的に切り替えているという。これは、2つの重要なことを示している。
第一に、画一的に適用できる単一の「好まれる」決済手段という方程式は、もはや存在しない。消費者の嗜好は、何を買うのか、いくら使うのか、どの端末を使うのか、そしてその取引自体にどの程度の信頼感を持っているのかによって変わる。
第二に、消費者は数年前と比べても、決済についてはるかに意識的に考えるようになっている。決済体験は、購入の最後にある機能的なステップではなく、購入判断の能動的な一部になった。消費者が購入の仕方において決済をここまで深く織り込んでいるのであれば、企業もそれらの購入をどのように可能にするかについて、同じくらい慎重に考える必要がある。
私たち自身の調査でも、同じように画一性が崩れていることが見て取れる。最近のプロスパー・インサイツ&アナリティクスの調査によると、Z世代の消費者の約40%がApple Payを日常的に利用しているのに対し、ベビーブーマー世代では10%未満にとどまる。
ミレニアル世代もまた、上の世代に比べてBNPL(Buy Now, Pay Later、後払い決済)サービスを利用する可能性が大幅に高い。重要なのは、単に若い消費者が異なる決済手段を好むということではない。決済行動がますます細分化しており、「平均的な顧客」に関する仮定がこれまで以上に役に立たなくなっているということだ。消費者は、すべての顧客を同じように扱うのではなく、企業が個々の購入の背後にある文脈を認識することをますます期待している。
これは企業に課題を突きつける。その答えは、顧客基盤に対するより深い理解を育てることによってしか見いだせない。消費者の決済に関する嗜好は、もはや静的でも普遍的でもない。しかし、消費者はそれを当然のものとして期待している。ヌベイによると、消費者の49%は小売事業者に自分の好む決済手段の提供を期待しており、37%はその選択肢がなければ購入を完全に断念すると答えている。つまり、対応を誤れば売上を損なう結果を招くということだ。
すべての決済が物語を伝える
ヌベイの調査でおそらく最も示唆に富むのは、信頼に関する結果である。消費者の55%は、オンラインで何かを購入する際、小売事業者のブランドよりも決済手段を信頼していると答えている。さらに注目すべきことに、38%は利用可能な決済オプションによって、その小売事業者をより真剣に受け止めるようになると回答している。
これらの数字は、根本的な何かが変わったことを示唆している。消費者は、単に購入を完了するために決済体験を利用しているのではない。企業そのものについての見方を形成するために利用しているのだ。
それが顧客の視点から何を意味するのかを考えてみてほしい。決済手段は信頼のシグナルになっている。それは親しみやすさ、安全性、安心感を伝える。同じくらい重要なのは、小売事業者がその体験を顧客中心に設計したのか、それとも自社のシステム都合で設計したのかを伝える点である。消費者は、その企業を信頼できるかどうかだけでなく、その企業が自分たちを理解しているかどうかも、ますます推し量るようになっている。
プロスパーのデータも同じ結論を示している。決済行動は、年齢、さまざまなテクノロジーへのなじみ、金融面の嗜好に影響され、ますます文脈依存になっている。消費者がより多くの決済オプションを求めているのは、単に選択肢が多いほどよいからではない。自分たちがすでにお金を管理している方法を反映した体験を求めているのだ。
これは、海外展開する企業にとって重大な意味を持つ。決済行動は、現地の銀行制度、規制、金融習慣、文化によって形づくられる。新しい市場での成功は、そうした違いを認識できるかどうかにますます左右される。ローカライゼーションは、もはや言語、通貨、価格設定だけの問題ではない。消費者がどのように支払うことを期待しているのか、そして購入の瞬間に何が安心感を生むのかを理解することなのだ。
商業上の意味合いは無視しがたい。フォレスターの2025年顧客体験指数によると、北米の顧客体験は4年連続で過去最低に落ち込んだ。顧客体験スコアを前年比で改善したブランドはわずか7%にとどまり、25%は低下した。これは、企業が高まり続ける消費者の期待に応えることがいかに難しくなっているかを浮き彫りにしている。
「すべての小売事業者は、顧客をよりよく理解したいと考えている」と、ヌベイのプレジデントであるユヴァル・ジヴは語る。「しかし、顧客が『理解されている』と感じているかどうかに思いを馳せる企業ははるかに少ない。だが消費者はますます、決済体験を通じてその判断を下している。チェックアウトは、顧客戦略、テクノロジー、実行力が一度に可視化される数少ない瞬間の1つだ」
エージェント型コマースはゲームを変えるが、顧客の期待は変えない
当然の疑問は、こうした傾向がエージェント型コマースの到来後も続くのかという点である。AIが購入完了の責任をますます担うようになるなら、決済体験はなお重要なのだろうか。
私は重要だと考えている。エージェントは、消費者の商品発見を支援する段階から、消費者に代わって購入を完了する段階へと移行し始めている。しかし、消費者がチェックアウトの仕組みをますます委任するようになっても、自らの期待まで委任することはない。消費者はなお、自分の嗜好、信頼に関する要件、金融習慣を反映した形で購入が行われることを求めるだろう。
多くの面で、むしろ逆のことが言えるかもしれない。消費者が自分の代わりに行動するAIへの依存を強めるほど、それらのシステムが消費者の既存の購買選択を忠実に表現することの重要性は高まる。
ジヴはさらにこう付け加える。「エージェント型コマースは、顧客を理解する必要性を取り除くものではない。むしろ基準を引き上げるものだ。エージェント型AIが優れた購買判断を下せるのは、消費者の嗜好を理解し、適切な決済オプションにアクセスできる場合に限られる。成功する企業は、異なる顧客が実際にどのように買いたいのかを反映できるほど、柔軟な決済体験を備えた企業になるだろう」
データが1つのことを示しているとすれば、それは、消費者が購入先の企業を判断するために決済体験をますます利用しているということだ。小売事業者は、AIが購買行程に入ってきたからといって、その教訓が当てはまらなくなると考えるべきではない。むしろ、顧客の決済嗜好が直接表明されるのではなくソフトウェアによって解釈されなければならなくなるとき、その嗜好を理解することはさらに重要になる。
コンバージョンの先へ
小売事業者は従来、コンバージョンを改善するためにチェックアウトを最適化してきた。ヌベイの調査は、決済体験が何を伝えているのかについても、同じくらい慎重に考えるべき時期に来ていることを示唆している。
企業は顧客を理解しようとして、膨大なリソースを投じている。この調査が示唆しているのは、消費者が逆方向から同じ評価を行うようになっているということだ。消費者は決済体験を使って、その企業が自分たちを理解しているか、信頼できるか、そしてそこで買う価値があるかを判断している。
これは大きな変化である。最後のクリックは、もはや単に取引が完了する場所ではない。認識が形づくられる場所なのだ。



