経営・戦略

2026.08.26 14:19

データ戦略が失敗しているのではない、問題は「所有モデル」にある

stock.adobe.com

stock.adobe.com

データをめぐって苦戦する企業の多くは、問題はツールにあると考える。より優れたソフトウェア、新しいプラットフォーム、より高度な分析機能、あるいはその組み合わせを導入する。しかし問題はしばしば残り続けるため、別のものを購入し、同じサイクルが繰り返される。

実際の問題はたいてい、より単純で、より人間的なものだ。つまり、データに対する責任の所在が明確でないのである。部署ごとにデータを収集し、保管し、利用しているが、その方法は一貫していない。「このデータが正確であることを確認するのは誰の仕事なのか」「顧客データを部門横断でどう使うかを決めるのは誰なのか」といった基本的な問いに対する合意された答えがない。事業部門はIT部門が所有していると思い込み、IT部門は事業部門が所有していると思い込んでいる。こうして責任の所在が曖昧になる。そして誰もデータを所有していないとき、優れたテクノロジーを導入しても、質の悪いデータをより目立たせるだけである。

真剣に経営に取り組む企業が、5つの部署にそれぞれ別々の財務記録を管理させ、照合プロセスもないまま、それを「財務戦略の問題」と呼ぶだろうか。もちろんそうではない。しかし、多くの組織がいまデータに関して行っていることは、本質的にそれと同じである。

所有権の破綻がもたらす代償

その代償は、重複するレコードや矛盾するレポートなど、誤診しやすい形で現れる。現実を反映していない数値に基づいて意思決定が行われ、誰もそのデータを信頼して行動を起こせないため、データは使われないまま放置される。

私が担当したあるクライアントの例を紹介しよう。その企業は人員を効果的に配置する方法を見出せずにいた。データ上は、一部の従業員が極度の過重労働に陥っている一方で、他の従業員は十分に活用されていないように見えた。しかし、データが示していたことと、実際に人々が行っていたことはまったく異なっていた。経営陣がその数値に基づいて人員配置の調整を行った結果、大混乱が生じ、その事態を収拾する間、組織の機能は事実上停止してしまった。

チーム間でデータが示す内容についての合意が得られなければ、何をすべきかについても合意できず、その決断の遅れには実質的なコストが伴う。意思決定の遅れは、より迅速に動いた競合他社に先手を打たれることを意味することが多い。

機能する所有権モデルの構築

解決策は、テクノロジーの修正ではなく、リーダーシップとガバナンスの問題である場合が多い。第一のステップは、「データスチュワード(データ管理者)」を特定することだ。これは、ビジネスと本番システムから出力されるデータの双方を理解し、基準を徹底して問題を解決するための権限と視野を持つ人物である。小規模な組織では兼任の役割、より複雑な組織では専任のポジションとなるかもしれない。いずれにせよ、理想的な人材像は、ビジネスのバックグラウンドを持ち、双方の世界を橋渡しできる十分な技術的理解力を備えた人物だ。

第二のステップは、自社が保有しているデータを、顧客データ、運用データ、財務データなどのカテゴリに分類することだ。これらは混同されがちであり、整理することで、誰が何に対して責任を負うべきかが明確になる。また、一部のデータカテゴリにはアクセス制限が必要となるが、これはそもそも何が存在するのかを誰かがマッピングしていなければ管理できない。データの品質を可視化することも重要だ。より多くの人がデータを目にし、問題点を指摘できるようになれば、不備はより早く発見される。これは、フィードバックのためのチャネルを作成し、あるレポートが役に立たないという指摘があった際に、実際に耳を傾けることを意味する。

次に、使用していないデータを削減することだ。もしあるデータが2年間、意思決定に活用されていないのであれば、本番環境から移行させよう。私は以前、毎週月曜日に約300件のレポートを作成している組織を監査したことがある。テストとして、そのうちの1つのレポートを次のようなメモに差し替えてみた。「このレポートを実際に読んだ最初の人には、賞金100ドル(約1万円)を差し上げます」。それからほぼ1年が経過したが、誰も名乗り出なかった。従来のプロセスは蓄積されていくものであり、ある業務が常に特定のやり方で行われてきたからといって、今後も永久にその方法で行う必要があるとは限らない。

データはあらゆるビジネスにおいて中核的な資産になりつつある。データから最大の価値を引き出している組織は、自社が何を保有しているかを明確にしており、その正確性に対して明確に責任を持つ担当者を配置している。あなたの組織が新たな分析プラットフォームやAIへの取り組みを検討する前に、本当にテクノロジーの問題を抱えているのかを自問してみてほしい。データが信頼できないのは、ツールのせいなのか、それとも所有者として誰も割り当てられていないからなのか。その答えは、どのベンダーのデモンストレーションよりも多くのことを教えてくれるはずだ。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事