昆虫に電子デバイスを装着し、神経系に電気刺激を送ることで動きをコントロール可能にして、昆虫の高い運動能力を活かした災害現場の探索や狭い場所の点検などに役立てる昆虫サイボーグ(またはサイボーグ昆虫)。各国で研究が進められているが、ついに昆虫サイボーグはAIと合体して、「バイオ・ハイブリッド・フィジカルAI」として進化し始めた。
ロボットはまだ移動能力に限界があり、広範囲を移動するためには大きな電池を搭載する必要もある。ならば、運動系は生きた昆虫の優れた能力を拝借しようというのが昆虫サイボーグのコンセプトだ。
大阪大学も、インドネシアのディポネゴロ大学と共同で昆虫サイボーグの開発を行っている。これまでの昆虫サイボーグは、目的地までのルート生成を安全第一に考え、障害物を迂回していたため、到達時間が長くなるという課題があった。それでは、障害物が多数存在する現実の災害現場などでは探索効率が大きく低下してしまう。そこで共同研究グループは、AIで地形を認識するナビゲーションシステムを昆虫サイボーグに合体させた。
このAIナビは、平地、登り坂、下り坂、穴といった地形をリアルタイムで識別しをリアルタイムで識別し、地形に応じて昆虫の尾葉(お尻から生えている感覚器官)に刺激を与え、移動をコントロールする。たとえばこんな具合だ。平地で停止したときは進むよう指令する。登り坂や穴の手前で躊躇したときも、刺激を与えて前進を促す。下り坂では転倒を防ぐために刺激はしない。こうした地形に応じた判断をリアルタイムで行い、刺激を適宜コントロールすることで、障害物を乗り越えたり穴を渡ったりすることが可能となり、目的地の到達時間は大幅に短縮される。
研究グループは今年5月、昆虫の体内から得られる信号をもとに、昆虫が周囲の環境に対して示す生理的反応を推測して制御に生かすためのAIシステムの提案を行っている。このようなシステムによりAIの統合が進めば、やがては高度な頭脳を持つ昆虫サイボーグが現れることになるだろう。昆虫サイボーグがしゃべり始める日も来るかもしれない。
出典:大阪大学 \AIが切り拓くバイオハイブリッドナビゲーション/ リアルタイム地形認識AIにより 昆虫サイボーグのナビゲーション性能を向上
\昆虫の「声」を聴き、制御する!/ 昆虫の体内信号をAIが読み取る 昆虫サイボーグ制御システムを提案・実証



