だが、問題がある
Macを買えば終わり、というわけではない。その上で実際に何かを動かさなければならない。
よい知らせがある。ムーンショットAIが7月に公開したKimi K3は、いま、WebDev Arenaのランキングで1位に立っている。これは、モデル名を伏せたまま人間が出力を比べて優劣を投票する順位表であり、オープンウェイトモデルが首位に立ったのは史上初めてだ。
悪い知らせもある。Kimi K3のパラメータ数は2兆8000億である。本来のMXFP4形式(4ビットの低精度フォーマット)でも、重みだけでおよそ1.4テラバイトになる。価格が未発表の512GB版Mac Studioには収まらないし、2台つないでも収まらない。
他の選択肢はどうか。DeepSeekのV4-Pro-0813というチェックポイントは893GB、アリババの主力モデルQwen3.8は2兆4000億パラメータである。問題は、アップルのようなハードウェア企業が新製品を出すのと同じ速さで、オープンモデルの最前線も先へ進んでいることだ。
「インテルが性能を上げ、マイクロソフトの重いOSがそれを食い潰す(Andy gives, Bill takes)」という古い言い回しをもじれば、いまは「アップルが性能を上げ、AIがそれを食い潰す」だ。
128GBに収まるのは、ひとつ下の階層だ。Qwen3-Coder-Nextは、パラメータ数800億の混合エキスパートモデル(mixture of experts。モデル内部を多数の専門家に分け、入力ごとに一部だけを動かす仕組み)で、実際に動くパラメータは30億、4ビット量子化でおよそ47GBに収まる。OpenAIのgpt-oss-120bも約63GBで収まり、16GBのQwen3.8-27Bも同様である。どれも悪いモデルではない。だが、仕事をこなせるだろうか。
第三者が運営するTerminal-Bench 2.1のランキングでは、AnthropicのFable 5を組み合わせたClaude Codeが83.8%を記録している。この表に載っているオープンウェイトモデルはGLM-5.1ただひとつで、17位・58.7%である。しかもGLM-5.1は7540億パラメータのモデルで、4ビット量子化でも、保持するだけでおよそ420GBを要する。
机の上で動くものではない。
さらに悪いことに、Qwen自身の研究論文によれば、Terminal-Bench 2.0でClaude Codeから動かしたQwen3-Coder-Nextのスコアは30.9%で、同じ表に並ぶClaude Opus 4.5の53.9%に遠く及ばない。お世辞にも良いスコアとは言えない。結局のところ、AIにコードを書かせる取り組みに意味を持たせるには、出てくる成果物の質が要る。


