新たな契約は下支えになるが、上限も設けかねない
事業の足腰がこれだけ強い一方で、株を買う際の値段の評価は一様ではない。株価収益率(PER)で見ると、マイクロンの倍率は21.6倍で、S&P500の中央値23.2倍をわずかに下回る。ところが株価売上高倍率(PSR)で見ると、12.1倍と市場の3.3倍を大きく上回るプレミアムがついている。市場が投資しているのは明らかに成長のほうであって、足元の利益を過大評価してはいない。
本当の懸念は、事業を安定させるために結んだはずのその契約そのものに潜んでいる。SCAは利益の新たな下限をつくり出す。だが、それが同時に上限もつくってしまうのではないかと問う分析も最近出ている。
今回の契約のうち最大のものでは、既存製品の上限価格が第2四半期(4〜6月期)の市場価格に固定されている。この時期は並外れて高い収益性を記録した期間だった。とはいえ、それは裏を返せば、メモリー不足がさらに深刻になって価格が大きく上がったとしても、その契約分についてマイクロンは値上がり益を取りきれないかもしれない、ということでもある。株価は2年高値の1213.37ドルを20%ほど下回る水準にもある。どれほど手ごわいトレンドでも壁にぶつかることを、この事実は思い出させる。
粗利益率が新たな指標になる
結局のところ、議論の焦点は、この新しい取り決めによって、これまで振れ幅の大きかった事業が恒久的に安定したのかどうかにある。経営陣は、はっきりした物差しを示している。SCAで定めた最低保証価格の取り決めがあれば、「マイクロンの粗利益率は、過去のどの循環局面の四半期ピークをも大きく上回る水準になります」というのだ。利益を支える安全網が、一段高い位置に張り直されたことになる。
だからこそ、追うべき数字は、実際の結果が足元のピークとどう並ぶかである。同社は次の四半期の粗利益率を86%前後と見込んでいる。この数字が新しい基準になる。作り替えたビジネスモデルのもとで、マイクロンがこの水準に近い利益率を保てるなら、エンジンは長く走り続けられる形に組み直されたことが示される。逆に、そこから利益率が下がり始めるようなら、上昇分はすでに株価に織り込まれ尽くしたということかもしれない。


