筆者のエージェンシーでは現在、新規クライアントの案件を始める際、2年前のプロセスには存在しなかった確認作業を行っている。主要なAIアシスタントにこう尋ねるのだ。このカテゴリーで推奨するのは誰か、また市場リーダーの代替候補は何か。そして、どのブランドが挙げられ、回答がどの情報源に依拠しているかを記録する。
その結果が検索順位と一致することはほとんどない。検索で1ページ目の順位を獲得するために何年も費やしてきたブランドが、AIの回答から完全に抜け落ちている一方で、比較記事やコミュニティのスレッドで安定して取り上げられている競合が何度も名指しされる。最初の数回は、こちらのテストに欠陥があるのだと思った。だが、そうではなかった。検索結果ページでのブランドの順位と、AIの回答内での存在感は別の資産であり、多くの企業は前者しか持っていない。
クリックは回答レイヤーへ移っている
この変化の背後にある行動は、すでに十分に記録されている。ピュー・リサーチ・センターは米国成人900人のオンライン閲覧行動を分析し、GoogleがAI要約を表示した場合、従来型の検索結果をクリックする人は検索全体のわずか8%にとどまることを明らかにした。これは、AI要約がない検索結果ページのクリック率のおよそ半分である。Adobeの数値も別の角度から同じ傾向を示している。2026年第1四半期、米国の小売サイトへのAI経由トラフィックは前年同期比で393%増加し、そのトラフィックは現在、従来のチャネルからの訪問者よりも高いコンバージョン率を示している。10本の青いリンクを眺める人は減っている。代わりに、AIモデルに質問し、その回答に基づいて行動する人が増えている。
ブランドが発見されることを生業とする人にとって、これは第2のスコアボードが加わったことを意味する。検索で1位に表示されても、AIの回答には登場しないことがあるのだ。
AIアシスタントはあなたについての見解をどこから得ているのか
多くのマーケティングチームが見落としているのは、AIモデルが企業の自己申告をそのまま信じることはないという点だ。アシスタントがどのブランドを名指しするかを決めるとき、参考にするのは、レビューサイト、業界メディアの比較記事、実際のユーザーが不満や称賛を書き込むフォーラムのスレッド、参照サイトで語られている内容である。ピュー・リサーチ・センターの調査では、GoogleのAI要約で最も多く引用された情報源の中に、Wikipedia、YouTube、Redditが含まれていた。筆者らのクライアント向け調査でも同じ傾向が見られる。ブランドを評価する第三者の独立したページは頻繁に引用される。一方、ブランド自身のページが引用されることは極めて少ない。
情報の「一貫性」は、多くの人が予想する以上に重要である。自社サイト、LinkedInページ、企業ディレクトリでそれぞれ異なる説明をしていれば、AIモデルは推測せざるを得なくなる。筆者の経験では、AIは曖昧な表現で濁すか、そのブランドを完全に除外することで対応することが多い。矛盾を修正するのは地味な作業だ。だが、それは現在のマーケティングにおいて、最もコストをかけずに成果を上げられる方法の1つでもある。
ブランドに筆者が勧める対策
まず、AIアシスタントに自分でインタビューすることから始めるべきだ。月に1度、ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexityに同じ質問を投げかける。この企業は何をしているのか。誰のための企業なのか。代替候補は何か。回答を保存し、どの情報源を引用しているかを記録する。この取り組みに費用はかからず、自社がどう説明しているかと、他者からどう説明されているかの距離を示してくれる。
次に、引用されている情報源で獲得メディア露出(アーンドメディア)を得るよう努める。デジタル広報は主に、リンクと順位のためのものだった。だが、同じ掲載機会が今では第2の役割を担っている。業界誌の公正なレビューや、信頼されるニュースレターに載る専門家コメントは、アシスタントが回答を作成する際に読むものそのものだ。自社が含まれる比較記事も同様に読まれる。カテゴリー比較記事を書く記者に提案することは2年前にも価値があった。今はさらに価値が高い。
月次のインタビュー作業は、狙うべきリストを与えてくれる。アシスタントが繰り返し引用する情報源こそ、追求する価値のある情報源だからだ。まずは、購入者がすでに読んでいる「ベスト〇選」や「〜の代替製品」といった記事を含む、自社カテゴリーのランキングまとめ記事から始める。それぞれの記事の執筆者や編集者を見つけ、掲載候補として検討されるには何が必要かを尋ね、判断しやすい材料を提供する。正確な製品情報、製品そのものへのアクセス、他では得られないデータポイント、または実名で話してくれる顧客などである。レビューを掲載する業界媒体にも同じことを行い、記者が専門家コメントを求めているときには、自社の経営幹部を前面に出すべきだ。
最後に、レポーティングに1つの数値を加える。買い手が尋ねる質問にAIモデルが答えるとき、自社ブランドがどれほどの頻度で登場するかだ。検索順位は今も重要であり、検索を捨てるべきだと言っているわけではない。だが、読む人が減っている検索結果ページ上の順位だけを測っているなら、過去を測っていることになる。
ここで2つの注意点を挙げておきたい。回答はモデル、言い回し、さらには日によっても変わるため、1回のテストを評価ではなくスナップショットとして扱うべきである。また、AIの回答にブランドが掲載されることを約束できる人はいない。それを保証する人がいるなら、何かを売ろうとしているだけだ。獲得メディア露出は、その確率を高める。これまでのあらゆる時代において、アナリストの候補リストに入る確率を高めてきたのと同じようにである。
自分のバイアスも明かしておく。筆者は10年以上にわたり、企業がメディアに取り上げられるよう支援してきた。だから当然、メディア露出には意味があると考えている。だが、紹介トラフィックのデータは筆者がそう言う前からそれを示していた。そして、クライアントのために行うすべての確認作業が同じことを示し続けている。AIアシスタントが推奨するブランドとは、他者が書いているブランドなのである。



