食&酒

2026.08.28 15:15

「ガチ中華」を通じて価値観の違いや自らの胸中を語る中国出身の漫画家ZONさん

8月16日に開催された筆者と中国出身の漫画家ZONさんのトークイベントの様子はイラストレポートとしてSNSで紹介されている

8月16日に開催された筆者と中国出身の漫画家ZONさんのトークイベントの様子はイラストレポートとしてSNSで紹介されている

最近、筆者はガチ中華が縁で、中国出身の若いクリエイターの人たちと知り合うようになった。

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その1人が、漫画家のZONさんだ。彼女は7月31日に『ニーハオ、おいしい中国日和。』(リイド社)という日本でのデビューとなる作品を上梓したばかりだ。

『ニーハオ、おいしい東京日和。』(リイド社)。第三話までは同社の「トーチweb」で読める
『ニーハオ、おいしい東京日和。』(リイド社)。第三話までは同社の「トーチweb」で読める

そこには、東京で暮らす外国人の視点から、日本という異国でのリアルな日常や人々との奇妙ではあるが、心に残る印象的な出会いと交流のシーンが描かれている。

8月16日、東京・下北沢のブックカフェ「本屋B&B」で、彼女と筆者の対談イベント「ZON×中村正人『東京の片隅から、隣国を想う』『ニーハオ、おいしい東京日和。』第1巻『ガチ中華移民』W刊行記念トーク」が行われた。

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東京・下北沢のブックカフェ「本屋B&B」。オンライン視聴も含め、90名以上の方にご参加いただいた
東京・下北沢のブックカフェ「本屋B&B」。オンライン視聴も含め、90名以上の方にご参加いただいた

対談を通じて、ZONさんの創作の裏話や、日中の食文化に対する価値観の違い、留学生が直面するビザの問題など、多岐にわたる話題が語られた。彼女の言葉には、多文化社会が進行する今日の時代を理解するヒントがあふれていたので、その話を書きたい。

食べることが好きで始まった

ZONさんの作品は、ひとことで言えば「街」「移民」「食」をめぐる物語である。

第1巻は六話仕立てで、毎回ほぼ東京のどこかを舞台として、作者と等身大と思われる中国出身の主人公が出会う、さまざまな人物や出来事を描きながら、日本で暮らす外国人の胸の内を明かしていく。

日本で暮らす「移民」の人たちが日々どんな体験をし、どのようなことを感じているのか。それらのエピソードをつないでいるのが、毎回、作中で紹介される「ガチ中華」だ。

筆者が最後に中国の四川省成都を訪ねたのは2016年。ZONさんの留学前だが、この写真は第一話で出てくる現地の包子の店
筆者が最後に中国の四川省成都を訪ねたのは2016年。ZONさんの留学前だが、この写真は第一話で出てくる現地の包子の店

ZONさんは中国の四川省成都出身で、日本の漫画やアニメ文化への憧れから2018年に来日し、日本語学校で学んだのち、京都精華大学大学院のマンガ研究科に進学。修了後に上京している。

イベントではこうした自己紹介と2人の自著解説をすませたあとは、お互いに用意した質問を交互に答えあうという流れになった。以下、会場での2人の対話やZONさんの編集担当の板谷みずきさんの話、筆者が彼女に直接尋ねた話を紹介していこう。

ZONさんは地元の大学で環境デザインを専攻したが馴染めず、3年生の頃から日本留学を考え始め、趣味で同人誌の制作も始めていたという。

日本デビューのきっかけは、東京の「コミティア」という同人誌即売会の会場で、リイド社の編集者と出会ったことだった。

編集担当者の板谷みずきさんはこう語る。

「私は『リイド社トーチweb』の編集部員として、コミティア内の出張編集部のコーナーに参加していました。自作を持ち込みに来る作家志望の1人として、ZONさんの対応をしたのが、2023年の夏でした。

そのとき、彼女が書いた『ラーメンを探そう』というタイトルの作品を読み、人を惹きつける絵だと思いました。

そこでZONさんに名刺を渡し、他の作品を見てみたいと伝えたところ、すでに中国で『京天吃什么』という作品を発表し、人気を博していること、食べ物や街の風景の記憶に興味があることを知りました」(注・中国では一般に「今天吃什么(今日何食べた?)」というが、作品では京都が舞台であることから発音の近い「京」が使われている)。

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文=中村正人 写真=中村正人、本屋B&B

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