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AI

2026.08.25 17:06

フィンテックAIの未来が「モデルの性能」だけで決まらない理由

stock.adobe.com

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人工知能(AI)企業のUpstageは火曜日、新たな商用大規模言語モデル「Solar Pro 4」を発表した。フィンテックにおけるAI競争の次の段階は、どのモデルがベンチマークで最高スコアを出すかだけでは決まらない、という見立てに賭けるものだ。

この発表は、金融機関がAIをコパイロットや実験段階から、実際に行動を起こせる本番システムへ移行させるなかで行われた。この移行により、企業が基盤となるモデルに求めるものも変わりつつある。

UpstageはSolar Pro 4を「行動面の信頼性」を軸に位置づけている。これは、モデルが複数のステップにわたって一貫して指示に従い、適切なツールを呼び出し、正しい形式で情報を返し、高額な失敗や再試行を発生させることなく企業の方針内で動作できるかを測るものだ。

「われわれは、企業に数百万ドル規模の無駄を生じさせているエージェント性能の重大なギャップに狙いを定めた」と、Upstageの米国CEOであるケイシー・ローは、発表に先立つインタビューで筆者に語った。

たとえばUberは、2026年のAI予算全額をわずか4カ月で使い切った。フィンテックのリーダーにとって、この種の支出は、AIが本番環境に移行した後に企業がその価値をどう測るべきかという、より大きな問いを浮き彫りにする。

「企業はテクノロジーをツールとして捉える」とローは言う。「ツールを評価する際、勝負どころはROIだ。モデルがどれほど高度かは二次的な問題である」

知能の高さだけでは、企業のROIを測る指標にはならない。モデルは、それを導入する企業のシステム、方針、経済性の中で確実に機能しなければならない。

この現実は、AI市場全体の再編を促し始めている。OpenAIやAnthropicなどのフロンティアモデル企業は、自社モデルの周辺に企業向けサービスや機能を構築している。一方で、特化型AI企業は、導入、ガバナンス、信頼性、業界特化型ワークフローで競っている。

言い換えれば、競争は「誰が最も高性能なモデルを作れるか」から、「誰がその知能を企業内で最も有用にできるか」へと広がっているのだ。

最も賢いAIモデルがフィンテック企業にとって最良とは限らない

金融取引の処理を支援するAIエージェントを想像してほしい。複数のシステムから情報を取得し、企業の内部手続きに従い、特定のツールを所定の順序で呼び出し、厳密な形式で出力を生成し、特定のリスク条件が現れた場合には取引を人間にエスカレーションする必要があるかもしれない。

答えが「おおむね正しい」だけでは、必ずしも役に立たない。ワークフローそのものが機能しなければならない。ローが、企業が理解し始めていると主張するのはこの違いだ。

モデルは知能ベンチマークで高い性能を示しながらも、一見より単純な問題、すなわち長く複数ステップに及ぶワークフロー全体で同じ一連の指示に一貫して従うことに苦戦する場合がある。

失敗はごくありふれた形で起こり得る。エージェントが誤ったツールを呼び出す。別のシステムが想定するスキーマに合わない出力を返す。タスクの途中で指示を忘れる。あるいは使えない回答を生成し、プロセスを再実行しなければならなくなる。失敗のたびに、追加の推論、追加のAPI呼び出し、そして何かが間違う新たな機会が生まれる。

したがって企業にとってAIの性能は、ランキング表というよりも運用上の問いに近づいていく。モデルはどれほど確実に仕事を完了できるのか、という問いである。

Upstageはこの前提に基づいてSolar Pro 4を設計し、複数ターンにわたる指示遵守、ツール呼び出しの構造、エージェント型ワークフローにおける行動面の信頼性を重視している。

同社はまた、企業がAIを本番環境へ移行させるなかで機会があるとローが見ている米国市場への進出も強めている。Upstageはすでにサムスン、SK、現代自動車を含む大手企業と取引している。4月にはシリーズCの第1回クローズで1億3000万ドル(約207億円)を調達したと発表し、累計調達額は約2億7000万ドル(約430億円)、評価額は10億ドル(約1590億円)超となった。

だが、その機会の重要性は、1つのモデル企業にとどまらない。

フィンテックには待つ余裕がない

この問題を解明しなければならないという圧力は、金融機関の内部からだけ来ているわけではない。顧客もまた、驚くべき速さでAIを取り入れている。AIが銀行業のルールを書き換えていることに関するMcKinseyの調査は、そのギャップを示している。

生成AIは、ChatGPTが2022年11月に登場してから2年以内に、米国の生産年齢人口の45%に到達した。デジタルバンキングが同じ普及水準に達するまでにおよそ15年を要したのとは対照的である。2025年までに、生産年齢成人における生成AIの利用率は55%に達していた。

消費者はまた、重要な金融タスクをAIに委ね始めている。McKinseyは、より利回りの高い普通預金口座を探す、借り換えや債務一本化を行う、金融商品を比較する、金融アドバイスにアクセスするといった目的で顧客がAIを利用していることを指摘している。同社の研究者らは、消費者がAIに自分の代わりに行動させることに慣れるにつれ、エージェント型システムがこの行動をさらに押し広げると見ている。

これは金融の競争を根本的に変える可能性がある。

McKinseyによると、純金利収入は世界のリテール銀行収入のおよそ60%を占める。歴史的に、多くの消費者は利回りを継続的に最適化するのではなく、利便性の高い口座に預金を残してきた。AIエージェントには、そうした慣性がない。理論上は金利を監視し、遊休資金をより高利回りの口座へ移し、請求の支払期日が来れば資金を戻すことができる。

同じ論理は、クレジットカード、融資、決済、リワード、ウェルスマネジメントにも広がり得る。

フィンテックのリーダーにとって、これは同時に2方向から圧力がかかることを意味する。顧客が、金融機関が安全にAIを導入できる速度を上回ってAIを採用する可能性があるのだ。

したがって金融機関は、単にAI導入を競っているわけではない。ミスが金融、規制、評判上の結果を伴う環境の中で、どのシステムが信頼性をもって動作できるかを見極めなければならない。

そして、それはモデル選定をリスク判断へと変える。

フィンテックにおいてAI性能はガバナンスの問題になりつつある

金融サービスは、生成AIが最初に人気を博した多くの環境に比べて、予測不能性に対する許容度がはるかに低い。

マーケティングチームなら、出来の悪いコピーを生成し直せばよい。金融機関は、自動化システムがなぜある判断を下したのか、どの情報を使ったのか、方針に従ったのか、何か問題が起きた時に誰が責任を負うのかを説明しなければならない場合がある。

Green Dotの最高リスク責任者であるキム・オルソンは、AIがより自律的になるにつれて増大するリスクを管理する責任を負う金融機関の視点から、この課題を筆者に説明した。

「AIには、良いものも悪いものも増幅する力がある」とオルソンはインタビューで筆者に語った。「誤りを拡散することも、リスクを気づかないうちに拡散することもあり得る」

オルソンにとって、金融機関がAIを導入する際には、監視、テスト、人間による監督が不可欠である。「テクノロジーとAIには加速装置であってほしい。しかし、意思決定は人間が行わなければならない」

金融機関にとって、AIの導入は既存のリスク管理の枠組みを不要にするものではない。その枠組みに適合しなければならない新たなテクノロジーを加えるものだ。リーダーは引き続き、データがどこへ行くのか、システムに何が許されるのか、意思決定をどう検証できるのか、人間の介入がどこに位置づけられるべきかを理解する必要がある。

それは、企業によるAI購買の議論を変える。

オルソンはリスクをイノベーションの対極にあるものとは見ていない。むしろ、金融機関が安全に速く進むことを可能にするものだと考えている。「速く進むには、良いブレーキが必要だ」と彼女は言う。「速く進むことは重要だが、持続可能性を犠牲にして速く進むことはできない」

つまり、金融機関がいつ加速できるのか、いつ減速する必要があるのか、そして新しいテクノロジーが顧客に届く前にどのような保護策が存在しなければならないのかを見極める必要がある。精度は重要だ。だが、データセキュリティ、説明可能性、監査可能性、一貫性、コスト、そしてテクノロジーが変化する中で統制を維持する能力も同じく重要である。

「リスクとコンプライアンスが後付けになってしまうと、その魔物を瓶の中に戻すのは本当に難しい」と彼女は語った。

フロンティアモデルが引き続き強力になっているにもかかわらず、特化型AI企業が機会を見いだしている理由の1つがここにある。競争優位は知能を取り巻くすべてのもの、すなわち導入アーキテクチャ、業界知識、ガバナンスシステム、企業がそれを安全に利用できるようにするワークフローから生まれる。

エージェントが行動を始めるとAIの経済性は変わる

企業が信頼性を重視すべき理由は、財務面にもある。

チャットボットは通常、ユーザーが質問するのを待ち、それに対する回答を生成する。エージェントは、1つのタスクを完了する前に一連の行動を実行する場合がある。

1つのワークフローに、複数のモデル呼び出し、ツール呼び出し、検索、社内システムとのやり取りが必要になることもある。モデルがプロセスの途中で指示に従えなければ、その一連の処理の一部を繰り返さなければならない可能性がある。

小規模であれば、再試行は取るに足らないものに見えるかもしれない。だが、数百万件の企業ワークフロー全体では、それは運用コストになる。

ここで、Upstageが主張する行動面の信頼性が特に重要になる。同社は、自社モデルのトークン単価だけでなく、タスクを成功裏に完了する総コストで競っている。

これは、企業が将来的にAIの経済性を計算する方法における、微妙だが重要な変化である。重要な問いは、AIシステムが一度だけ印象的な能力を示せるかどうかではない。金融機関が本番環境の中で、その能力を数千回、数百万回にわたって信頼できるかどうかである。

従業員が絶えず介入しなければならない、ワークフローが失敗する、タスクを繰り返し再実行する必要があるというのであれば、最も安価なモデルが必ずしも最も安価なシステムとは限らない。

同様に、企業がその挙動を予測可能にするために大規模なインフラを構築しなければならないのであれば、最も知能の高いモデルが必ずしも最も価値のあるモデルとは限らない。

AIの経済性における重要な単位は、最終的にはトークン当たりコストではなく、成功した成果1件当たりのコストへと移っていく可能性がある。

膨大な取引量とサービス提供量を扱うフィンテック企業にとって、この違いは急速に積み上がり得る。

フィンテックのリーダーには、思考力のある人間がなお必要だ

この移行には、モデル自体の技術的能力とはほとんど関係のない別の層がある。

企業がAIへの依存を強めるにつれ、従業員はなお、システムが間違っているときにそれを見抜けなければならない。

「批判的に考える能力を失わないことを願っている」と、Bread Financialのプロダクト担当バイスプレジデントであるジョティ・メノンは最近、ポッドキャスト『Humans of Fintech』で筆者に語った。

メノンはキャリアを通じて金融商品を構築してきた人物であり、CitiでApple Payの立ち上げを支援した経験もある。彼女の懸念は、フィンテックのリーダーがAIを使うべきではないということではない。従業員が、AIが生成した答えが自社、顧客、あるいは特定の文脈に照らして妥当かどうかを問い直さずに受け入れ始めることだ。

AIが自律性を高めるにつれ、その意味はより重大になる。メノンは、プロンプトを出すことにさえ文脈と判断が必要だと主張する。

「どんなストーリーを語っているのか。どのように文脈を設定するのか。それは論文を書くようなものだ」と彼女は言う。この指摘は、フィンテックが現在直面している技術面とガバナンス面の問いに直接つながっている。

金融機関は、より信頼性の高いモデルを選ぶことができる。より優れた統制を構築することもできる。エスカレーション手順やガバナンスの枠組みを整えることもできる。だが、そもそもシステムに何を許すべきかを決めるのは、なお人間でなければならない。

メノンは単純な例を挙げた。AIエージェントが購入を行い、その後、消費者が銀行に「それは私ではない。AIがやったことだ」と伝えたらどうなるのか。

「その場合のルールはどうなるのか」と彼女は問うた。

こうした問いが仮説上のエッジケースで済む時間は長くない。技術インフラと並行して発展しなければならない政策インフラなのだ。

次のフィンテックAIの優位性は「導入力」にあるかもしれない

これは、モデルの知能が重要でなくなったという意味ではない。

フロンティアモデルは今後も改善を続け、ベンチマークは変化し続け、企業は利用可能なモデルの能力を評価し続けるだろう。

だが知能は、はるかに大きな企業の方程式の一部になりつつある。

金融サービスにおいてAIから最終的に価値を獲得する企業は、モデルを独自データにつなぎ、既存ワークフローに組み込み、その挙動を統制し、経済性を測定し、現実世界の条件下で信頼性をもって動作することを示せる企業かもしれない。

だからこそ、AIを巡って生まれつつある企業戦略が重要なのである。

モデル提供企業は、自社の知能の周辺により多くのサービスを構築している。インフラ企業は、オーケストレーションとガバナンスのレイヤーを開発している。フィンテック企業と金融機関は、自社事業のどの部分を自動化すべきか、どの意思決定にはなお人間の判断が必要かを見極めている。

そしてUpstageのようなプロバイダーは、企業があらゆる用途に1つのモデルを選ぶのではなく、実行させたい仕事に基づいてモデルを選ぶようになると見込んでいる。

Solar Pro 4が興味深いのは、すでに混み合った市場に新たなLLMが加わったからではない。その位置づけが、市場の向かう先を物語っているからである。

生成AIの最初の時代は、何が可能かを示したモデルに報いた。

次の時代には、企業が何が実用的で、安全で、規制に適合し、コンプライアンスを満たすのかを証明することが求められる。

フィンテックのリーダーにとって、競争優位は単に最も知能の高いAIにアクセスできることからは生まれない。ほぼ誰もが、ますます高性能化するモデルにアクセスできるようになるだろう。優位性は、どの知能を導入するのか、どこに導入するのか、どう統制するのか、いつ信頼するのかを知ることから生まれる。だからこそ、フィンテックAIの未来はモデルだけでは語れないのだ。

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