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2015.12.03

バフェット、ゲイツ、クリントン、ポール・ファーマー、フィランソロピーを語る

Photo by Dimitrios Kambouris/Getty Images

億万長者、世界的な慈善活動家、社会変革の担い手である社会起業家ら総勢200名が今年6月、ニューヨークで行われた「フォーブス400サミット・オン・フィランソロピー」のコンベンションに集った。コンベンションのハイライトは、医療NPOのPartners in Health創設者ポール・ファーマーと、ビル・ゲイツ、メリンダ・ゲイツ夫妻への特別功労賞の贈呈だった。

まさに選ばれし人々だ。社会起業家賞を受賞したファーマーは、マイクロファイナンスのパイオニア(ノーベル平和賞の受賞者でもある)ムハマド・ユヌス、教育NPOのTeach for America創設者ウェンディ・コップに次ぐ、社会起業家部門での特別功労賞受賞となった。他方のゲイツ夫妻は、ウォーレン・バフェット、チャック・フィーネイに次ぐ、フィランソロピー部門での受賞となった。

レジェンドへの表彰を行うのもやはりレジェンドだ。ポール・ファーマーにはビル・クリントン大統領が、ビルとメリンダのゲイツ夫妻にはウォーレン・バフェットが、それぞれ表彰を行った。スピーチのハイライトをお届けしよう。

ビル・クリントン、ポール・ファーマーについて

大統領2期目の頃、ヒラリーが眠った後、私はよくオフィスで一人、夜遅くまで読書をすることがあった。ある夜私はポール・ファーマーについての本、「Mountains Beyond Mountains」を読み終えると、3時間の時差があるスタンフォードでまだ起きていた娘に電話をかけた。「チェルシー、ポール・ファーマーという人を知っているか」と私は尋ねた。「パパ、彼は神様みたいな人よ」と娘は教えてくれた。それ以来、私はルワンダで、ハイチで、リベリアで、ポールと一緒に仕事をする機会に恵まれた。彼に命を救われた人は世界中にたくさんいる。彼に影響を受けた人は世界中にもっとたくさんいる。私もその一人だ。

ポール・ファーマー、フォーブス400社会起業家部門特別功労賞受賞スピーチ

私はフロリダの田舎で育った。自分が将来デューク大学に行ったり、ハーバードで働くことになるとはまったく考えもしなかった。そして今、私はルワンダで大学を作ろうとしている。長年の試練と苦難をくぐり抜けてきている現地の子供たちと話をしていると、私は自分の子供時代のことを思い出す。彼らにも、将来は医者になりたい、ビジネスマンになりたい、プロフェッショナルになりたいという大きな夢がある。当面の間、教育が私たちの大きなテーマになる。

ウォーレン・バフェット、ビル・ゲイツとメリンダ・ゲイツについて

9年前に、どのように慈善活動をしようかと考えていて、私はビルとメリンダに連絡をとった。あとは例によって、すべてを彼らにお任せし、私は座って見ていただけだ。私はこの国の事前活動家についていろいろと研究してみた。ロックフェラー、カーネギー、ヘンリー・フォード、あらゆる人についてだ。そしてわかったことがある。これほどまでに自分の時間と、労力と、頭を使って財団運営をしている人は、ビルとメリンダのほかには誰もいない。

ビル・ゲイツ、フォーブス400フィランソロピー部門特別功労賞受賞スピーチ

私はこれまでに楽しい仕事をたくさんしてきたが、メリンダと組んで、本物の結果を出すことほど楽しいことはない。私が最高に気に入っているグラフは、子供の死亡率がここ25年で半分になったことを示すグラフだ。そして私が最高に気に入っている予測は、子供の死亡率が将来さらに半減するというものだ。フィランソロピーというのは、政府機能に対するベンチャーキャピタルだと私は考えている。マラリア撲滅とか、医療制度の改革といった種類のことについては、利益モデルが存在しないことから、民間セクターはけして投資をしない。こうした分野に金を出すのは政府の仕事なのだが、政府というのは長期的な課題に取り組んだり、問題解決のために本物の科学者を起用したりすることがうまくない。フィランソロピーでは、リスクを取り、研究開発を行い、世界の待ったなしの課題に取り組むためのパイロットプログラムに資金を投じることができるんだ。

ポール・ファーマー、ビル・ゲイツについて

ビルと一緒にアフリカに行ったときのことだ。山に登って至近距離でゴリラを観察することにした。山頂で待っていると、見事なシルバーバックがビル・ゲイツの1.5メートル先に姿を見せた。そうしたらビルは私の方に振り返ってこう言ったんだ。「で、結核ワクチンの話はどこまでしてたっけ?」

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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