わずかなコストアップで有効性を高められるのであれば、それは前線部隊にとって、攻撃最終段階の自律化を導入する強い動機になる。「ウクライナの調達システムがこうした製品を購入する理由は、何もそれが国産品だからではありません。それが実際に、実戦で最も優れ、最も有効だからです」とアジュニュクは語る。「これはまさに生死を分ける判断なのです」
TFLモジュールを搭載したドローンは、操縦士が目標を識別してロックオンすると、攻撃の最終段階で操縦士側との通信リンクに依存しなくなる。その時点で、機上の自律機能が制御を引き継ぐので、操縦用の通信リンクに対するジャミングはほぼ無意味になる。アジュニュクはそう説明した。
自律化の規模拡大をめぐる競争
技術が実証されたいま、次の課題はそれを大規模に展開することだ。
ただし、ウクライナの戦場に配備されている技術は、完全な自律型ではない。ウクライナのスタートアップに投資するベンチャーキャピタル(VC)ファンド、米グリーン・フラッグ・ベンチャーズの共同創業者であるデボラ・フェアラムは筆者のインタビューで、こうしたシステムを「AI活用(AI-enabled)」型と考えていると述べた。
アジュニュクは「現在と将来の戦争で真のゲームチェンジャーになるのは、大規模に拡張可能な個別の自律性」だと説き、スウォーム(群れ)運用はその能力の適用例のひとつにすぎないとする。
彼は自律性を5段階に分けている。(1)自爆型攻撃の終末誘導(2)爆撃の終末誘導(3)目標探知(4)航法(5)離着陸──だ。アジュニュクの見解では、これら5つの能力をすべて備えたドローンは「完全自律型」と見なすことができる。また、こうした能力を持つドローンを十分な数、協調レイヤーを介して接続すれば、それらはスウォームになる。
「個々のドローンに拡張可能な自律性を持たせられるようになれば、スウォーミングよりももっと強力で、はるかに幅広く応用できる効果を実現できるでしょう」とアジュニュクはみている。
彼によれば次の課題は、自律型システムの性能を客観的に測定することだ。大規模言語モデル(LLM)が標準化されたベンチマークによって評価されているのと同じように、ドローンの自律性についても、目標認識、終末誘導、航法、偽装、地形、環境条件などを含む数千のシナリオで試験すべきだと主張する。
「これは科学的に取り組む必要があります。AI企業が、自分たちのシステムは100%の確率で機能すると主張するようなやり方ではいけません」とアジュニュクは言う。
全体的に見れば、ウクライナは、安価で、効果が高く、使いやすい自律型システムを配備するとともに、その性能を測定するための明確な評価基準を確立しようとしている。無人システムに支配される消耗戦で、自律性が高まれば、ドローンはより高い精度で敵陣のより深い場所を攻撃できるようになり、対峙する両軍の陣地間に広がる「ノーマンズ・ランド(双方とも支配できない中間地帯)」も拡大する。
そして、このように自律性を高めたシステムは、ウクライナが長期にわたって防衛を維持していくことにも役立つ可能性がある。


