NEWS 「Forbes Store」オープン! FRAGMENTコラボも展開

欧州

2026.08.26 07:00

ウクライナはドローンの自律攻撃能力をどう構築しているのか その内側

ウクライナ東部ハルキウ州で、攻撃ドローン(無人機)「マルシアーニン(火星人)」を抱えるウクライナのドローン部隊「タイフーン」の隊員。2026年4月7日撮影(Nikoletta Stoyanova/Getty Images)

ウクライナ東部ハルキウ州で、攻撃ドローン(無人機)「マルシアーニン(火星人)」を抱えるウクライナのドローン部隊「タイフーン」の隊員。2026年4月7日撮影(Nikoletta Stoyanova/Getty Images)

2022年2月、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに対する全面侵攻を始めたとき、彼は長期戦ではなく、短期での勝利を見込んでいた。ところが、いまや戦争は4年半におよび、ロシア兵はドンバスの平原で、ウクライナのドローン(無人機)が次々に向かってくるなか前進しあぐねている。戦争の様相は一変し、安価な無人システムがますます戦場を支配するようになった。次の焦点は、自律性をめぐる競争だ。

戦争初期、ウクライナは偵察にFPV(一人称視点)ドローンを活用し始め、やがて爆弾を搭載して攻撃もできるように適応させた。時間がたつにつれて、ドローンが到達できる距離は伸び、能力も高まってきた。ウクライナは、ドローンを百万機単位で生産・調達できる防衛エコシステムも構築した。

前線でウクライナがドローンの運用を拡大したことに対し、ロシアは電子戦システムの大規模な配備で適応した。無線通信に依存するドローンは、操縦士側との信号のやり取りを妨げるジャミング(電波妨害)に弱い。

米スペースXの「Starlink(スターリンク)」衛星通信網は戦場で信頼性の高い接続を提供し、ウクライナ側に重要な優位性をもたらしている。ただ、その利用はウクライナ領内に限定されており、ロシア本土に対する作戦では使えない。

ウクライナで戦った元米陸軍特殊部隊員(グリーンベレー)、ブライアン・ピケンズは筆者の取材に、ロシア軍は歩兵を次から次に前方へ押し出す一方、重要な戦力を前線の後方深くにとどめ、それを電子戦で厳重に防護していると説明した。以前は、重要な目標は前線から100km程度後方に位置することが多く、ウクライナは2026年に入るまで、こうした地域を大規模に攻撃する能力がなかった。

「こうした戦場環境では、無線操縦に依存するものは総じて時代遅れになっています」とピケンズは語る。「これからは、自律型システムや、衛星通信に対応したシステムの時代です」

ピケンズは、AI(人工知能)を活用するナビゲーション(航法)と自律的なターゲティング(目標の選定や照準・追尾)によって、ロシア軍に対する攻撃の有効性は高まってきたとも述べている。「テクノロジーも適応を図る必要があったのです」

安価なAI搭載ドローンが変える戦場

ウクライナが後方のロシア軍目標に対して用いているドローンのひとつに、「Hornet(ホーネット)」がある。ホーネットは、元米グーグル最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミットによって設立された米国の防衛テクノロジー企業、Perennial Autonomy(ペレニアル・オートノミー)が手がけ、AIを活用する固定翼攻撃ドローンだ。このシステムの価格は1機あたり1万ドル(約159万円)未満とされ、ロシア軍の兵站をたたくクライナの作戦で重要な役割を果たしている

次ページ > 将来の戦争は「オペレーティングシステムの競争」になるとの見方

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事