最新の報告ではインフレはやや鈍化したが、FRBは次回会合で利上げに踏み切る可能性がなお高い。消費者物価指数(CPI)は過去12カ月で3.4%上昇し、食品とエネルギーを除くコア指数は2.5%上昇した。これはFRBが目標とする指標ではないが、トレンドを把握するには十分に近い。
金融政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)は前回会合で金利据え置きを決定したが、FRBが9月に引き締めに動くことはほぼ織り込み済みだったと筆者は考えている。2026年8月12日時点の先物市場は、翌月の利上げ確率を40%、据え置き確率を60%とみている。筆者は引き続き、フェデラルファンド(FF)金利が0.25ポイント引き上げられると予想している。
インフレデータの変動性
大半のエコノミストは、消費者物価指数、あるいはほとんどの経済データ系列の前月比の変化をあまり重視しない。金融エコノミストや市場アナリストは数字を詳しく見る。彼らの時間軸は数日から数週間であることが多いからだ。数四半期先、あるいは数年先を見通す人々は、データの振れが大きすぎるため、単月の報告に依拠することはできないと考える傾向がある。
近くに示したチャートは、2021年以降のCPIの月次変化を示している。一目見れば、大きな流れは明らかだ。2021年から2024年にかけてインフレ率は低下したが、過去1年半は変化が小さくなっている。一方で、特異な月も見られる。低い月の直前と直後を見ると、異常に低かった月がいくつかある。隣接する月と比べて異常に高かった月もある。毎月データを見ることで、特にその月の数値が前月までと著しく異なる場合には、単月の値にほとんど重きを置くべきではないと学ぶことになる。
経済データはどれも完全ではない。消費者向けの商品・サービスの販売すべてが追跡されているわけではない。代わりに、米労働統計局(BLS)は店舗やその他の提供事業者のサンプルからデータを収集している。それでも、販売されているすべての商品を見るわけではない。BLSは次のように説明している。「例えば、あるスーパーマーケットで、同局はリンゴのカテゴリーを代表するものとして、米国産エクストラファンシー等級のゴールデンデリシャスリンゴ4.4ポンド入りのプラスチック袋を選ぶことがある」。資源が限られた機関にとって、この手法は合理的である。もっとも、筆者はたいていコズミッククリスプを4、5個ずつ買うのだが。
月ごとに、調査対象となる店舗は変わり、対象に含まれる具体的な商品も変わる。全体として、BLSはインフレの全体像を捉える上で優れた仕事をしている。しかし、その手法では、ある月にインフレが加速しているのか減速しているのかを実際に判断することはできない。それでも、こうした月次データは最終的に、物価水準の全体像を把握する助けになる。
金融政策におけるインフレの解釈
金融政策当局者にとって、インフレデータの解釈はさらに難しい。インフレとは物価水準の変化率である。FRBが重視するのは基調的なインフレ圧力であり、物価水準における個別要因によるすべての変化ではない。
過去1年半の重要な要因は関税であり、これは一部の消費者物価を押し上げる。関税が課されると、その商品の物価水準は急上昇する。関税が据え置かれれば、物価水準はそれ以上変化しない。しかし、12カ月の前年比として報告されるインフレデータは、その12カ月全体にわたって関税前の水準からの上昇を示す。その後、関税による追加的なインフレは発生しない。FRBはこの点を理解しており、インフレが関税によって引き起こされている場合、より引き締め的な金融政策が妥当だとは考えていない。
同様に、FRBは通常、食品やエネルギー価格の変動には反応しない。食品やエネルギーが重要ではないということではなく、これらの製品は大きく変動しやすく、その大幅な動きが頻繁に反転するためだ。これは、イランとの戦争が原油価格を押し上げ、ガソリン価格の大幅な乱高下を招いている現状を考えれば、特に当てはまる。
FRBのエコノミストは、今月の報告におけるインフレのうち、FRBが対処できる基調的な圧力に由来する部分がどれだけで、FRBが影響を及ぼせない一時的要因に由来する部分がどれだけかを見極めようとしている。これは明らかに不完全な科学であり、そのためFRBは謙虚に事を進めている。おそらく連邦政府機関の中で最も謙虚な姿勢だろう。
2026年8月のCPI報告はFRBの9月会合の数日前に発表されるため、FRBは7月分の発表に基づいて決定する必要はない。
FRBは9月に利上げへ
筆者は、FRBが9月のFOMC会合で利上げすると考えている。その利上げはおそらく0.25ポイントで、長期にわたるインフレ圧力に基づくものになるだろう。ただ、クリーブランド連邦準備銀行のベス・ハマック総裁が最近述べたように、0.25ポイントでは大きな効果はない。彼女はインフレを鈍化させるために何回の利上げが必要かについては言及を避けたが、筆者はその回数が1回を上回ることは確実だと考えている。
イラン戦争の行方は、FRBの判断に影響を与えるだろう。この戦争は原油価格に影響し、実体経済に悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、トラックで店舗に運ばれる非エネルギー商品の価格を押し上げる可能性もある。AIデータセンターの急増と、AI主導の生産性向上も、FRBが何をする必要があるかについての見積もりに織り込まれる。
FRBは、ウォーシュ議長が最近強調したように、2%のインフレ目標にコミットしている。経済が緩やかな成長を示す一方でインフレが過度に高いなか、FRBは政策を引き締めるだろう。しかし、今週のインフレ報告が引き金になるわけではない。何年にもわたる過度なインフレが、その決定を促すことになる。



