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I write about leveraging neuroscience to create remarkable leadership.

Eugenio Marongiu / shutterstock

私たちがテクノロジーに接する時間は増え続けるばかりだ。その反面、他者と直接的に接する時間は減り続けている。また、テクノロジーを利用する割合が増す中で、私たちは一層、「マルチタスク」を課されるようになっている。こうした状況は、人間にとっては問題だ。

一度に複数の作業をこなすマルチタスクは、認知と感情を制御する「前帯状皮質(ACC)」と呼ばれる脳の領域の灰白質密度を低下させる。英オックスフォード大学の神経科学者、スーザン・グリーンフィールドが米コロラド州で今年開催された「アスペン・アイディア・フェスティバル」で発表した内容を基に、私たちの脳とソーシャルメディアの関係について考えてみる。

ストレスの増加

人との接点が減ると、私たちは他者に共感しづらくなり、ストレスが増えて不信感が高まる。攻撃性も強まる。
ソーシャルメディアがいかに私たちと他者との直接的な接点を絶っていくかについて、グリーンフィールドは次のようなサイクルを示した。

 ・個人的な情報を公開(満足感を得る)
   ↓
 ・ドーパミン(快感や多幸感を得る脳内ホルモン)が放出される
   ↓
 ・否定的な態度が抑制される
   ↓
 ・他者との間でプライバシーの相殺取引を開始
   ↓
 ・「本当の自分」が影響を受けやすくなる
   ↓
 ・「本当の自分」を「理想の自分」の裏に隠す
   ↓
 ・孤独感を持つ
   ↓
 ・孤独で不健全な状態に陥る
   ↓
 ・個人的な情報を公開(最初に戻る)

このサイクルがもたらすのは、生活のあらゆる面に関する多くの不安だ。満足感を得るために、私たちはソーシャルメディア上で「過度の共有」を行っている。その結果、数多くの人が「理想の自分」を自ら作り出し、その裏に隠される「本当の自分」は、さらに他者との直接的な接点を失う。こうして私たちは、同じサイクルから抜け出せなくなっているのだ。

ストレス下の脳

ストレスがあるとき、私たちの体はストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールを分泌し、それが炎症を引き起こす作用のあるサイトカイン(特定の細胞に情報を伝達するたんぱく質)を産出する。大量のサイトカインは、次のような問題を引き起こす。

・情緒不安定
・免疫系の損傷
・学習能力の低下
・組織能力(まとめる力)の低下

そして、以下の脳の領域とそれに関連する能力が影響を受ける。

・海馬:記憶、学習能力
・辺縁系:恐怖や不安の感情の生成、フリージング(すくみ反応)
・扁桃体:感情の抑制、情動反応の処理、ストレスの記憶
・前頭前皮質:自己抑制、注意力、多動性

こうした問題の発生を避けるためには、他者との関与を深め、信頼感を増し、能力を高め、アイデンティティの共有を促進することができる「有意性」を追求する必要がある。

有意性を感じられるということは、抑制と均衡が保たれている証拠ともいえる。何か、または誰かについて意義あることを達成できたとき、あなたはどう感じるだろうか?

信頼構築と仲間づくり

最後に、「信頼」が私たちの脳に及ぼす影響について考えてみる。信頼関係が保たれた環境下では、セロトニンとドーパミンが分泌される。その結果、気分が良いと感じさせるホルモンのオキシトシンが分泌される。同時に、コルチゾールの分泌量は減少し、ストレスのかかった状況下でも、心身の回復力が向上する。

より強い信頼感を持つことができ、豊かな、そして対話ができる仲間がいる環境は、脳にもビジネスにも有効だといえる。「豊かな」とは、互いの間に対話があり、刺激がある環境のことを指す。この状態は脳細胞の表面積を拡大させ、それによって他者との関与は深まり、私たちは問題をより迅速に理解し、解決することができるようになる。新たな発想も得やすくなるのだ。

編集 = 木内涼子

 

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