2カ月前、私たち家族は新車を購入した。それから2カ月もたたないうちに、高速道路で車線変更してきた車に突っ込まれた。幸い、全員が無事だった。だがそれが確認できると、私は怒りに包まれた。車そのものに強い愛着があったからではない。これから直面するであろう数々の面倒が頭に浮かんだからだ。保険会社との電話、修理工場、レンタカー。そのすべてである。靴の中の小石が、やがて岩になるようなものだ。
私はポッドキャスト「FROM THE CULTURE」の最新回をこの話で始めた。主な目的は愚痴をこぼすことだったが、フランシス・フライ(Frances Frei)とアン・モリス(Anne Morriss)は、それを見事な講義に変えた。フライはハーバード・ビジネス・スクールでサービス・マネジメントを教える教授で、Uber(ウーバー)初のリーダーシップ・戦略責任者を務めた人物である。一方のモリスは起業家であり、リーダーシップコーチだ。2人は共著『Move Fast and Fix Things(未邦訳、仮訳『素早く動き、問題を解決する』)』を上梓し、さまざまな講演会を主催する非営利団体TED(テッド)の職場をテーマにしたポッドキャスト「Fixable」のホストも務めている。2人の仕事の根底には、ほぼあらゆる問題は解決可能であるという、一見すると単純だが実は急進的な前提がある。ただし、それは意志の力だけによるものではなく、設計によるものだ。
「組織は、自らが得ている結果に対して完璧に設計されている」というリーダーシップの格言に基づき、フライとモリスは、成果とは組織のオペレーティングシステム、あえて言えばその文化がもたらす予測可能かつ数学的な帰結であると主張する。顧客、あるいは従業員、すなわち内部顧客が摩擦を感じるとき、それは偶然ではない。2人の見立てでは、ほとんど、あるいはすべての場合において、それは組織のオペレーティングシステム、つまり社内で人々が共同作業を行う際の基盤となる慣行の副産物なのだ。したがって、「解決策」が一過性の苦情への対応や、ミスを犯した個人のレベルで完結することはめったにない。むしろ、システムのレベルで行われるべきものだ。フライとモリスが「解決可能」と言うとき、それは症状ではなく、根本原因に対処することを意味している。症状を治療しても、問題は翌週にはまた戻ってくる。システムを再設計して初めて、真の回復が始まるのだ。



