アジア

2026.08.27 15:15

若手女優の発言が火をつけた韓国の日本統治時代に端を発する大問題とは

女優ハ・ヨン(Photo by Han Myung-Gu/WireImage)

女優ハ・ヨン(Photo by Han Myung-Gu/WireImage)

韓国では毎年8月15日の光復節(日本は終戦記念日だが、韓国では日本の植民地支配からの解放を記念する祝日)が近づくと、歴史認識をめぐる議論が例年活発になる。

今年はその渦中に、意外にも1人の若手女優が巻き込まれることになった。
 
テレビ番組での何気ない「家族自慢」がきっかけとなり、韓国社会が長年抱えてきた「親日派の子孫」というテーマが、再び大きな社会的関心を集めることになったのである。

この夏、韓国の芸能界がある一家の家族史をめぐって揺れている。中心にいるのは女優ハ・ヨン(32歳、本名アン・ハヨン)だ。

彼女はバラエティ番組など複数のメディアで「曾祖父は日本で西洋医学を学び、漢陽(現在のソウル)で開業した最初の医師だった」「彼は高宗皇帝の診療も担当した」と紹介し、曾祖父から祖父、父、姉へと続く「四代続く医師家系」であることを誇らしげに語ってきた。

ところが、この発言をきっかけに、ネットユーザーによる人物特定が進み、該当人物が実業家で医師の安相鎬(アン・サンホ)であることが判明する。

安相鎬は1918年、朝鮮総督府系の新聞「毎日申報」のインタビューで「朝鮮人とそれほど交わることがないので、不便がない」「自分は日本人と同じだ。朝鮮の服は1着もなく、辛い食べ物は少しも食べられない」という趣旨の発言をしていたことに再び注目が集まった。

さらに彼は、李完用(イ・ワニョン、韓国併合の実務を担った「売国奴」の代名詞的人物)や宋秉畯(ソン・ビョンジュン)らが名を連ねた親日団体「大正実業親睦会」の評議員でもあったことが確認されている。

8月10日、ハ・ヨンの所属事務所は「曾祖父が安相鎬であることは事実」と認めたが、一方、「親日行為の疑惑は事実無根」との立場を示した。

しかし、当時の新聞記録という一次資料が存在することから、世論の反発は収まらなかった。

翌々日の12日、ハ・ヨンは自身のSNSに自筆の謝罪文を投稿し、「子孫として心より謝罪します。家族から伝え聞いた話だけで曽祖父の人生を断片的に語っていた。無知な状態でいろいろな場所で曽祖父に関する話を家族の自慢話としていた」と謝罪した。

ハ・ヨンの曽祖父、安相鎬は1902年に日本で医学教育を修了して資格を取得し、1904年に帰国後、ソウルの鍾路三街に診療所を開業した実在の医師である。

1919年には日本人医療陣とともに高宗の診療にあたった記録も残っており、このこと自体は事実として確認されている。

問題視されているのは、その医療技術や功績ではなく、彼が残したとされる当時の発言や、朝鮮総督府の中枢人物たちと同じ団体に名を連ねていたという「立ち位置」の部分である。

ネット上のコミュニティでは「4代続く医師家系」という自慢話の裏に、これほど濃密な親日の経歴が隠れていたという「落差」そのものに対する反応が大きく、「知らなかったはずがない」「家庭内で語り継がれてこなかったのか」といった疑問の声も相次いだ。

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文=アン・ヨンヒ

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