787の月産10機はエンジン供給元次第
この差を埋めるために必要な増産には、はっきりした限界がある。ボーイングは737の生産を月産47機まで引き上げつつあり、次の増産目標は月産52機となる。経営陣は、52機を超えると供給網が複雑になり、難度が上がると説明している。
787については、2026年前半にエンジンの供給が遅れた。経営陣は、GEとともに進めているエンジン供給の立て直しこそが、787を月産10機へ進めるための条件だとしており、GE側もこの計画は達成できるとみているという。2026年の残りの期間も、引き渡しのペースにはばらつきが残る。座席の認証手続きの遅れが影響しているが、滞っているのは生産自体ではなく、納入に伴う事務手続きである。防衛部門については、大統領専用機VC-25B(エアフォースワンの後継機)にかかわる2億8000万ドル(約446億円)の損失を含めて、2026年通期の利益率を2.5%程度と見込む。第2四半期はこの損失を除けば3.5%だった。
リスクは過去最高の受注残高ではなく時間がかかること
需要に不安はない。受注残高は7150億ドル(約114兆円)と過去最高に達している。心配なのは、現金が流れ込み始めるまでに株主が何年待たされるのかという点だ。そしてこれまでのところ、現場での改善は株価に反映されていない。
過去1年のボーイングのリターンはマイナス4.4%で、S&P500種株価指数のプラス20.2%に大きく見劣りする。株価は52週高値のおよそ85%の水準で推移している。ここに表れているのは、事業そのものが危ういという不安ではなく、時間がかかることへの不安だ。エンジンが予定どおり届き、月産10機が計画どおりに実現すれば、見通しは変わってくる。それまでの間、投資家が向き合う問いは一つだ。今回のような株価下落は、過去同様に絶好の押し目買いの好機と言えるのだろうか。


