9月に予定されている下院選挙が近づくにつれ、ロシア国内では権力争いが激化している。保守政党「祖国」は8月初め、下院選から改革派野党「ヤブロコ」を除外するよう求める訴状を最高裁判所に提出した。
祖国のアレクセイ・ジュラブリョフ党首は、ロシア最古の自由主義政党であるヤブロコは事実上、反逆的な外国の工作員の集まりだと主張している。同党首は記者団に対し、「ヤブロコは裏切り者だらけだ。西側のために動き、西側の価値観を信奉している」と語った。
ロシア大統領府(クレムリン)もこれに同意したようだ。提訴からわずか数日後、最高裁は祖国の主張を認め、ヤブロコの候補者登録を取り消す決定を下した。
この一連の出来事は、極めて示唆に富んでいる。ロシアの選挙は近年、明らかに形骸化しており、表向きには政治的多様性の体裁を保ちつつも、クレムリンが望む結果をもたらすよう綿密に演出されているからだ。さらに、ヤブロコは長年にわたり政界の隅に追いやられ、ウラジーミル・プーチン大統領率いる与党「統一ロシア」に深刻な脅威を与える力など到底ない。では、ヤブロコはなぜ下院選から排除されたのだろうか?
一言で言えば、その答えは「ウクライナ」だ。ウクライナ侵攻は5年目に突入し、さまざまな形でロシアの一般市民にも身近な問題として認識されつつある。
最も直接的な影響は、ウクライナ軍の長距離無人機(ドローン)による攻撃で、戦争がロシア領内の深部にまで及んでいることだ。同軍はここ数週間、ロシアの石油精製所やパイプライン、貯蔵施設といった重要な施設への攻撃を強めている。これにより、ロシアのエネルギー産業は壊滅的な打撃を受け、クレムリンの戦争遂行の生命線である石油・ガス収入にも影響が及んでいる。事態は深刻化の一途をたどり、世界有数のエネルギー大国であるロシアは現在、深刻なガソリン不足に陥っている。全国各地で配給制が導入され、国民の不満が高まっている。
プーチン大統領が自ら選んだこの戦争は、経済面でもロシアを長期にわたる衰退の道へと導いた。2022年2月の侵攻開始当初は、同国は西側の予想をはるかに上回る経済回復力を見せていた。だが、クレムリンが戦時経済への移行を進めた結果、インフレの加速や深刻な労働力不足など、経済の大きなゆがみが生じ、同国の財政は逼迫(ひっぱく)している。



