ロシア国民はかつてのように「不測の事態に備えた」資金を当てにすることもできなくなった。ロシア政府は戦費や膨れ上がる財政赤字を賄うため、財務省が管理する国民福祉基金の流動性の高い資産を段階的に取り崩してきた。フィンランド中央銀行は1月、「ロシアの戦争資金は、もし存在したとしても、とっくに底を突いている」と結論付けた。こうした状況から、ロシア中央銀行は拡大する財政赤字を埋めるため、金準備を売却せざるを得なくなっている。
ロシアは兵力不足の問題も抱えている。同国はこれまで、アフリカや北朝鮮といった外国の兵士に依存してきた。2022年後半に実施された前回の動員では、20世紀初頭のロシア革命以来最大規模となる国民の国外流出を引き起こしたため、政府は同様の事態を繰り返すことを極力避けてきたのだ。しかし現在、下院選を無事に終えた後に、クレムリンが再び大規模な動員を検討しているとのうわさが飛び交っており、国民の間で動揺が広がっているようだ。
こうした事柄が積み重なるにつれ、これまでウクライナ侵攻とプーチン大統領の人気を支えてきた暗黙の了解、すなわち、同大統領が選択した戦争は一般市民の日常生活には影響を及ぼさない遠い場所の出来事であり続けるという認識が揺らごうとしている。ロシア国民は、これが単なる幻想に過ぎないことを理解し始めているのだ。
そのため、来たる下院選は、少なくともウクライナ侵攻、そしてプーチン大統領の指導力に対する象徴的な国民投票となる見通しだ。実際、米紙ワシントン・ポストは、「ヤブロコは『平和と自由のために』というスローガンを掲げて選挙運動を展開し、ウクライナ侵攻を推し進めるプーチン大統領に対する明確な対抗姿勢を示した」と伝えた。
その結果、ロシアに残る改革派は国内政治上の標的となった。なぜなら、同国の軍事的冒険主義の代償が国内に波及するにつれ、たとえ限定的な異議申し立ての可能性でさえ、クレムリンが望む世界観に対する脅威と見なされるようになっているからだ。


