北米

2026.08.26 08:30

他国を支配しようとするトランプ政権の外交は、米国経済の足元を揺るがす

Photo by Leon Neal/Getty Images

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米国は、攻撃的な外交政策が経済の相互依存と正面からぶつかる局面に入りつつある。関税による威嚇、ビザの取り消し、主要な貿易相手国への公然たる圧力。トランプ政権が重ねてきた行動は、数字で確かめられる規模で報復を招き、米国内の供給網や投資判断、国境をまたぐ商取引を直接揺さぶっている。木を1本ずつ見るのをやめ、森全体を見渡すべき時がある。現在がまさにその局面だ。

細部は重要だ。問題を解く鍵は、たいてい細部にある。車がひどく揺れて異音を立てるなら、原因となっている部品を1つ交換すれば、異音は止まる。棚を支える金具が壁から抜け落ちたのは、長さ0.5インチ(約1.3センチ)しかない短いねじで留めていたためだ。そのねじは、壁の内側にある柱に食い込むどころか、壁の表面を覆う石膏ボードを貫くことすらできていなかった。

だが、細部を追いすぎると、より大きな問題を取り逃がすことがある。車が立てる異音には、他の原因が潜んでいる可能性もある。壁の内側にある柱が正しい間隔で入っていなければ、もっと長いねじを使っても、金具をしっかり固定することは難しい。自動車メーカーや建築の元請け業者が手を抜き、誤りを重ねているのだとすれば、危険にさらされる人はさらに増える。

世界を揺さぶる外交政策も、1件ずつ切り離して見れば、その場限りの出来事に映るかもしれない。だが視野を広げると、違うものが見えてくる。他国と他民族を支配しようとする試みが、途切れずに連なっているのだ。支配を重ねる過程で米国は、世界各地と結んできた経済的な結びつきをいくつも掘り崩してきた。掘り崩した代償は、罰となって米国に跳ね返ってくる可能性がある。

メキシコ領やハワイを併合し、米国は力ずくで版図を拡大

現在起きている問題の多くは、ドナルド・トランプ大統領と政権が下した選択から生まれている。ただし、すべてを現在の政治に帰することはできない。歴史をさかのぼれば、トランプが登場するはるか前から、米国は世界で多くの善をなす一方、力ずくで押し通す振る舞いも繰り返してきた。

ごく短い一覧にとどめても、次のような例が並ぶ。領土拡大を神が与えた使命とみなす「マニフェスト・デスティニー(明白な天命)」の思想を掲げ、北米大陸で先住民部族を支配下に置いたこと。米墨(べいぼく)戦争(1846〜1848年)で、メキシコ領52万5000平方マイル(約136万平方キロメートル)を併合したこと。経済的な利害を理由に1898年にハワイを併合したこと。1898年から1946年までフィリピンを併合したこと。米西戦争を機に始まり、現在も米国が領有し続けるグアムとプエルトリコの併合。以上の例には、米国が世界の金融市場を握ることで各国に加えてきた圧力は含まれていない。

少年期のトランプは、勝者と敗者しかいないと教え込まれた

では、トランプ自身はどうなのか。人生を通じて、他人をいじめる側に立ってきた人物なのか。米公共放送PBSの報道番組「フロントライン」が2020年に公開した記事「トランプという“いじめっ子”——幼少期と軍学校が未来の大統領を形づくった」は、トランプが幼い頃から、世の中には勝者と敗者しかいないと教え込まれて育ったと論じている。

ただし、個人の気質という話から、政治家としての判断や政策という話へ移るには、もっと慎重な見極めが要る。

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