北米

2026.08.26 08:30

他国を支配しようとするトランプ政権の外交は、米国経済の足元を揺るがす

Photo by Leon Neal/Getty Images

米国は貿易をカナダとメキシコに頼りながら、北米協定の延長を拒んだ

世界経済の構図が変わり、他国を力で従わせる土台は確かなものではなくなった。例えばカナダは、米国にとって2番目に大きな貿易相手だ。米国勢調査局によると、2026年6月だけで米国が北の隣国カナダから輸入した財は372億ドル(約5兆9148億円)で、米国における総輸入額の11.7%にあたる。中身は原油、自動車と部品、木材、機械、産業設備といった、経済を動かす基幹的な品目である。カナダ向け輸出は307億ドル(約4兆8813億円)で、米国における総輸出額の14.7%を占めた。

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最大の貿易相手はメキシコだ。6月にメキシコへ向かった米国の輸出は339億ドル(約5兆3901億円)で、総輸出額の16.3%を占めた。メキシコから入った輸入は553億ドル(約8兆7927億円)で、総輸入額の17.4%にあたる。メキシコからの輸入品は、自動車、機械、電気機器、そして農産物であり、いずれも米国経済が回り続ける上で欠かせない。

トランプは米国時間7月1日、北米全体を覆う通商の枠組みであるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)について、さらに16年間延長することを拒み、協定全体を混乱へ突き落とした。延長を拒んだ結果、今後10年にわたり毎年再交渉を繰り返す局面が始まる。北米全域で設備投資が凍りつき、2020年以降に築き上げられた供給網が不安定になりかねない。

EUとの貿易は約318兆円超、医薬品や知的財産使用料が上位

欧州理事会によると、EUと米国が2025年にやり取りした貿易額は2兆ドル(約318兆円)を超えた。世界貿易で約30%、世界GDPで約43%にあたる規模である。米国がEUから受け取る主な品目は、医薬品、自動車(道路走行用車両)、汎用の産業機械と設備だ。逆に米国からEUへ渡る主な輸出品は、石油製品、医薬品、発電用の機械と設備である。

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サービス分野では、EUから米国へ輸出される中心が、専門・科学・技術サービス、電気通信とコンピューター・情報サービス、そして輸送である。米国からEUへ輸出される中心は、知的財産の使用料、専門・科学・技術サービス、電気通信とコンピューター・情報サービスだ。

カナダは9月8日に報復関税、メキシコ大統領は頭を下げない

カナダは9月8日から報復関税を発動すると発表した。ザ・ヒルが報じている。米国はメキシコの有力政治家を狙ってビザを次々と取り消してきた。取り消しが相次いだことを受けて、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領が口を開いた。ロサンゼルス・タイムズによると、シェインバウムはこう述べている。「私は常に、米国との間で可能な限り最良の関係を求めている。常にだ。……だが、頭を下げるつもりもない。個人的な問題ではない。祖国を守るかどうかの問題だ」。

代わりの取引先がない相手に、政権幹部が張り上げる声は届かない

覇権を握った国は、かつてなら他国に意思を押しつけることができたかもしれない。現在も、ある程度まではできる。だが、相手が欠かせない貿易相手であり、しかも代わりの調達先も輸出先も見当たらないとなれば、政権幹部が張り上げる声は、次第に下手な芝居のように聞こえてくる。いくら虚勢を張ったところで、自らが招いた結果は波となって跳ね返ってくる。避ける手立てはない。

経済の下位に立つ人々、押し寄せる波にのまれていく多くの企業が傷を負う

残念ながら、最も深い傷を負うのは、経済の中位層と下位層に立つ人々と、多国籍に事業を広げて防波堤を築くことができないまま、押し寄せる波にのまれていく多くの企業である。

forbes.com原文

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