リーダーシップ

2026.08.25 07:46

困難な時代だからこそ、リーダーは「希望」を放たなければならない

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大幅な予算削減や地政学的な不安定さ、そして日々生じる不確実性に直面したいと望むリーダーはいないが、私たちは現にそうした事態に直面している。現代という時代は、リーダーの真価を試しているのだ。私たちは、厳密な戦略と規律ある実行、そして見落としがちだがそれらと同等に不可欠な「希望」をもって立ち向かわなければならない。

希望は、星に願いをかけるような夢見がちで非現実的なものとして片付けられがちだが、実際にはエビデンスに基づいた、スキルとしてのフレームワークなのだ。

「希望」そのものを希望せねばならない理由

冷笑的な態度をとるなら、数え切れないほどのネガティブなニュースがそれを正当化してくれるだろう。ウクライナからスーダン、ガザ、そしてそれ以外の地域に至るまで、多くの家族が武力紛争に伴う恐怖や飢えに直面している。エルサルバドルからエチオピアにかけての小規模農家は、深刻な少雨に悩まされており、その後には農作物や生計を破壊する洪水に見舞われることも少なくない。世界全体では、およそ3人に1人が、次の食事を確保できるか不安を抱えている。これらは厳然たる事実だ。しかし、それは全体像の一部にすぎない。

数千年に及ぶ人類の進歩は、可能性の証明である。そして進歩は、比較的速いスピードで起こり得る。例えば、1990年代以降、国際社会の取り組みによって、5歳未満の乳幼児の死亡数は60%減少した。私たちは、希望が勝ち得ることを証明してきたのだ。

したがって、フランクリン・D・ルーズベルト元大統領の言葉を借りるなら、「私たちが恐れなければならない唯一のものは、恐れそのものである」とするならば、私たちは「希望そのもの」をも希望しなければならない。

「希望」が持つ力

シニシズム(冷笑主義)は、信頼の低下や社会的つながりの減少をもたらし、精神的・身体的健康の双方に悪影響を及ぼす「社会的健康の病」と呼ばれている。それは希望の対極にあるものだ。

研究によると、人は絶望を感じているとき、イノベーションを起こしたり、困難に立ち向かって粘り強く取り組んだりすることが難しくなる。職場において、従業員が希望を抱いているほど、困難な状況下でも前進し続け、厄介な問題に対して革新的な解決策を生み出し、長期的には組織の成功に貢献する可能性が高くなる。希望がもたらす恩恵は、数値で測定可能なものなのだ。

約1万3000人を対象としたある研究では、より強い希望を抱いている人ほど、ポジティブな感情を多く経験し、強い目的意識を持ち、うつ傾向が低く、全体的なウェルビーイングのレベルが高いことが明らかになった。高い希望は、身体的健康の向上、慢性疾患のリスク低下、睡眠障害の減少、さらにはがんの発症リスクの低下とも関連していた。

デューク大学ALSクリニックの創設者であるリチャード・ベッドラック博士は、希望とウェルビーイングの関係をさらに一歩進めて捉えている。彼はかつて、以下のように語っている。「希望は単なる感情をはるかに超えたものだ。コーピング(対処)戦略すらも超えている。私は実際、希望とは治療法の一つだと考えているが、多くの医師はそのことを理解していない。医学校では、優れた『希望の与え手』になる方法は教えられないからだ」

希望の与え手であることが重要なのは、医療の現場に限らない。あらゆる分野のリーダーにとって極めて重要な要素だ。52カ国で実施された調査と、人々がリーダーに何を求めているかに関する数十年に及ぶ研究をまとめたギャラップの2025年のレポートによると、求められるリーダーシップ特性の半数を大きく超える要素が「希望」を中心に据えており、その割合は信頼、思いやり、安定をすべて足し合わせたものを上回っていた。つまり、希望こそがリーダーシップの核心なのだ。

ほとんどのリーダーは、希望を与える方法を正式に学んだわけではないが、これは習得可能なスキルであると私は信じている。

「希望の与え手」としてのリーダー

ギャラップは、希望を「未来は今日よりも明るくなり得るという考え、そして人々にはそれを実現させる力があるという認識」と説明している。では、具体的にどうすればよいのだろうか。

希望理論(Hope theory)には、3つの核心的な構成要素がある。「目標(Goals)」「エージェンシー(Agency、主体性・自己効力感)」「経路(Pathways)」だ。目標は、より明るい未来への信念を裏付ける。エージェンシー(実行能力)は、自らの行動がポジティブな結果をもたらすというモチベーションと信念である。経路とは、障害を克服するための複数の戦略を策定することであり、それによって適応力と粘り強さが可能になる。

この理論を実践に移すための具体的な例を紹介しよう。

1. 目標(危機の先にあるビジョンを語る):危機の際、リーダーが資金調達や人員確保、アドボカシーといった目先の課題に焦点を当てるのは当然のことだ。しかし、リーダーシップとは、目の前の危機を管理するだけにとどまらない。未来に焦点を当てることもまた求められる。希望とは、課題を無視することではなく、「今何ができるか」に焦点を当てることなのだ。

世界には、すでに全人類を養うのに十分な食料が生産されている。それにもかかわらず、なぜ7億3300万もの人々が飢えに苦しんでいるのだろうか。欠けているのは資源だけでなく、ビジョンと意志なのだ。

確かに飢餓は危機である。しかし同時に、解決可能な問題でもある。もし私たちが、「不十分な予算を奪い合う」という議論から、「すべての人に飢餓ゼロを約束する目標をいかに達成するか」という焦点へと議論の枠組みを再定義できたらどうだろうか。他の無数の課題についても同様のことが言えるのではないだろうか。

2. エージェンシー(力強いストーリーを広める):私とチームは、支援対象である人々から日々インスピレーションを得ている。適切なサポートがあれば、彼らが想像を絶する困難を克服する姿を私たちは見てきた。その一例が、チャンという名の農家だ。彼が暮らす南スーダンのコミュニティでは、玉ねぎは女性だけが育てるものとみなされていた。主体性を高めるため、私たちは男性同士のサポートグループを結成し、そこでチャンは慣習に挑戦する勇気を育んだ。近隣の住民から笑われながらも、私たちはチャンに種子、資材、そして技術的なノウハウを提供して後押しした。チャンの最初の収穫は、平均年収の約20倍にあたる、約2万ドル(約317万円)をもたらした。これこそがエージェンシーの力であり、チャンのようなストーリーが他の人々にインスピレーションを与えるのだ。

3. 経路(レジリエンスを示す):希望とはマインドセットであるだけでなく、目標に到達するための経路を作り出す規律でもある。徳のある希望(Virtuous hope)とは、他者が自らの目標を達成するのを助けることも含む。リーダーとして、私たちは逆境の中に好機を見いだし、一貫した支援を提供し、挫折を学びの機会に変える手助けができる。1つの経路がうまくいかなくても、別の経路を見つける手助けができるのだ。これには、長期的な視点と集団行動が必要となる場合がある。

こうしたアプローチによって、希望は個人だけでなく社会全体に対して、意味のある変化をもたらすことができると私は信じている。


forbes.com 原文

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