NEWS 「Forbes Store」オープン! FRAGMENTコラボも展開

リーダーシップ

2026.08.25 07:41

ミレニアル世代は職場の多様性を求めている。なぜ声を上げないのか

stock.adobe.com

stock.adobe.com

ミレニアル世代には、社会的にも政治的にも進歩的だというイメージがある。現在の労働力人口で最大の世代でもあるため、その志向が職場文化の形成に何らかの影響を及ぼすと考えるのは自然だ。実際、業界メディアやビジネス媒体を見ると、この世代にどう対応すべきかを管理職に助言するさまざまな記事が掲載されている。進歩的な傾向を踏まえれば、ミレニアル世代は企業にダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)施策の導入を求める先頭に立つようにも思える。だが、多くの企業ではそうなっていない。

最近の研究プロジェクトで、私はその理由を明らかにしようとした。ミレニアル世代がしばしば表明する原則に基づいて行動することを妨げているものは何なのかを理解したかったのである。数々の研究は、ミレニアル世代がDEIを重要だと考えていることを示している。彼らは、この課題を重視し、真剣に取り組む企業で働くことが自分にとって重要だと述べている。では、政治的圧力によってこうした施策がより脆弱になっているなかで、彼らが勤務先に多様性の支持を求めて働きかけることを阻むものは何なのか。

なぜミレニアル世代は多様性を後押ししないのか

これまでの研究では、多くの労働者に、研究者が「理念と実践のギャップ」と呼ぶものが見られることがわかっている。これは、理念としては多様性を支持すると言いながら、実践においてはそれを実現し得る措置や指示に積極的に反対するという意味だ。インタビューデータによると、回答者はこの矛盾を正当化する際、結果よりも意図に焦点を当てたり、人種やジェンダーではなく年齢、地域、見解といった要素に関わる多様性を強調したりする。そうすることで、多様性への原則的なコミットメントを保ちながら、必ずしもそれに向けた行動を取らずに済むようなイデオロギー上の身のこなしが可能になる。理念と実践のギャップ、そしてそれを支えるイデオロギーは、ミレニアル世代が職場の多様性拡大を求めない理由の一部を説明するかもしれない。だが、ほかの要因も作用しているのかどうかまでは明らかにしない。

この点をさらに掘り下げるため、私は金融セクターで働くミレニアル世代の労働者約100人に話を聞いた。既存の研究が示す通り、彼らはDEIを公然と重視する企業で働きたいと考えていた。だが同時に、多様性拡大を求めて行動しない理由がイデオロギー的要因だけではないこともわかった。ほかの力学も作用していたのである。

雇用の不確実性が多様性推進を制約する

一つには、ミレニアル世代は形成期に多くの不安定さと不確実性に対処してきた。9.11同時多発テロ、リーマンショック、重い学生ローン債務のなかで育った多くのミレニアル世代の労働者は、前の世代に一定の支えを提供していた社会規範やセーフティネットが大きく揺らぐ状況を経験してきた。そうした文脈のなかで、ミレニアル世代の労働者が企業にDEIの受け入れを求めにくくなった決定的要因の一つは、自分が代替可能だという不安にあった。ミレニアル世代は、労働市場の不安定化が進んでいることを鋭く認識していた。そこに金融業界の高い離職率が加わり、多くの人が、多様性に関する自分たちの優先事項を共有する企業で働くことよりも、雇用の基本的な確保を優先した。そして回答者が、自社にさらなる取り組みを促そうとして雇用上の波風を立てることに前向きなケースはまれだった。

企業がどのように多様化を進めるかも重要だ

こうした構造的問題とは別に、ミレニアル世代には多様性に対する見方に影響を及ぼす文化的な志向もあった。多くの人は、より大きな多様性を生み出すために設けられる正式な方針、規則、ガイドラインという考え方に違和感を抱いていた。その代わりに、異なる背景を持つ労働者が自然に集まる結果として、この成果が有機的に生まれることを望んでいた。私が話を聞いたミレニアル世代は、既存の多様性施策の有効性にも大きな疑念を示し、それらを不誠実で本気ではないものと捉えていた(「パフォーマティブ」という言葉を、私はかなり頻繁に耳にした)。彼らにとって文化的力学は、多様性がどのように展開してほしいかという志向に影響し、その影響は変化を求めて行動する意欲をそぐ方向に働いた。結局のところ、多様性は正式な制度なしに実現してほしいと思い、既存の制度が本当に機能するとは信じていないのであれば、なぜ会社に正式な方針の導入を求めるのか。むしろミレニアル世代の労働者は、多様性が自然に広がることを望んでいたため、企業に何かを変えるよう強く迫ることはしなかった。

企業はミレニアル世代の労働者に訴求するため、多大な努力と時間、エネルギーを費やしている。その人数を考えれば、ミレニアル世代が何らかの形で職場の方針を変える力を持つ可能性があると考えるのは妥当だ。だが私の研究は、企業にDEIへの支持を改めて強化させる役割をミレニアル世代に期待すべきではないことを示唆している。不安定さが大きすぎ、成功体験が少なすぎ、自然発生的な成果へのこだわりが強すぎるため、多様性拡大を公然と求めて行動することは、最初から選択肢になりにくいのである。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事