AIは、従業員の働き方から組織の競争方法に至るまで、企業のほぼあらゆる領域を作り変えつつある。さらに、その取り組みを支えるデータアーキテクチャも再構築し始めている。
Clouderaの新たなグローバル調査は、組織がAIを支えるデータアーキテクチャを見直していることを示している。AIが試験的プロジェクトを越えて中核業務へと広がるなか、企業のリーダーは、AIを事業全体に拡張する方法を左右するアーキテクチャ上の意思決定を再評価している。
Great AI Re-Architectureは、企業のAIをめぐるより大きな変化を捉えている。AIは、企業のデータアーキテクチャが、組織がAIを拡張できるかどうかを決定する要因となる段階に達した。組織は、ガバナンスから分散化が進むワークロードに至るまで、AIの運用上の要求に対応するため、データアーキテクチャを再設計している。
AIが企業インフラを再構築している
多くの組織が同じ結論に達しつつある。既存のデータアーキテクチャが制約要因になっているということだ。
その再評価を促している要因は、コンピューティング能力にとどまらない。アーキテクチャ変更の最大の要因として挙げられたのは、セキュリティ、ガバナンス、コンプライアンス(42%)であり、パフォーマンス向上(35%)や、事業全体へのAI施策の拡張(33%)を上回った。一方、回答者の84%は、AIワークロードによってインフラコストが増加したと報告している。この調査は、企業のAIがインフラに関する意思決定の優先順位を変えつつあることを示している。セキュリティ、ガバナンス、コンプライアンスはいまや、アーキテクチャ変更の主要因としてパフォーマンスを上回っており、AI戦略がデータ保護や規制要件といかに密接に結びついているかを浮き彫りにしている。
ClouderaのCTOであるセルジオ・ガゴは「セキュリティとコンプライアンスは、組織がAIアーキテクチャを設計する方法をますます左右している」と述べた。「企業のリーダーは、最も機密性の高いデータに新たなリスクを生むことなく、AIを拡大したいと考えている」
企業のAIを支えるには、企業データがどこに存在していても保護しながら、事業要件の変化に応じて進化できるアーキテクチャがますます必要になっている。組織が今日下すアーキテクチャ上の判断は、テクノロジーと事業上の優先事項が進化し続けるなかで、AIをどれだけ容易に拡大できるかに影響を及ぼすことになる。
ガバナンスがAI拡張の推進力に
ガバナンスは、新たな取り組みがどれだけ速く前進するかを左右する決定的な要因になりつつある。回答者のほぼ全員(95%)が、過去1年にデータガバナンス、コンプライアンス、または規制上の複雑さを理由にAIプロジェクトを遅延または中止したと答えており、半数超(55%)は6件以上のプロジェクトを遅延させたと報告している。
この調査はまた、AIが企業全体に深く組み込まれるにつれ、ガバナンスがより難しくなっていることも示している。回答者のほぼ4分の3(73%)は、組織がますます分散化する環境全体でデータを管理するなか、AIの統合によってデータガバナンスがより複雑になり、維持が難しくなったと述べている。
ガゴは「AIはガバナンスの範囲を変える」と述べた。「組織が事業全体にAIを広げるにつれ、データがどこに存在していても一貫した方法で管理する必要がある。その一貫性が、制御を失うことなくAIを拡張するための確信を組織にもたらす」
ガバナンス上の課題は、セキュリティとますます交差するようになっている。企業データがより分散化するにつれ、組織はAIが稼働するあらゆる環境で機密情報を保護するための一貫したアプローチを必要としている。企業データがより分散化するにつれ、組織はAI開発を遅らせることなく、環境全体で一貫したポリシーを維持しなければならない。このバランスを取る作業は、ガバナンスが企業のAIにおける決定的な運用上の検討事項の1つとして浮上している理由を説明している。
多くの組織にとって、ガバナンスは企業のAIの前提条件になっている。ますます分散化するデータ環境全体に一貫したポリシーを適用できるかどうかが、AI施策が拡大し続けるか、本番環境に到達する前に停滞するかを左右し得る。
AIワークロードはより分散化している
企業のAIは、組織に対し、ワークロードをどこに配置するかについて、より意図的なアプローチを取るよう促している。単一のインフラモデルに依存するのではなく、AIワークロードが最大の価値を生む場所を評価しているのだ。
この変化を最も明確に示す兆候の1つが、ワークロードの可搬性である。回答者の3分の2(66%)は、過去1年に自社がAIワークロードをパブリッククラウドからオンプレミスまたはプライベートクラウド環境へ移行したと答えている。同時に、AI推論ワークロードの最も一般的な配置先としてハイブリッド環境が浮上し、パブリッククラウドをわずかに上回った。今後を見据えると、投資計画はパブリッククラウド、オンプレミス、エッジ、ハイブリッドアーキテクチャにまたがっており、組織が単一のインフラモデルへ収れんするのではなく、選択肢を広げていることを示している。
「組織は、AIが最大の価値を生む場所で稼働させる柔軟性を求めている。そのためには、変化するワークロード要件を支えられるアーキテクチャが必要だ」
ガゴは「組織は、AIが最大の価値を生む場所で稼働させる柔軟性を求めている」と述べた。「そのためには、優先事項が変わるたびに根本的な再設計を強いられることなく、変化するワークロード要件を支えられるアーキテクチャが必要だ」
その柔軟性により、組織はインフラの制約ではなく事業要件に合わせてAIワークロードを調整できる。一部のAIワークロードではパフォーマンスと低レイテンシが優先される一方、機密データや規制対象データを保存・処理できる場所によって制約を受けるものもある。こうした相反する要件は、セキュリティやガバナンスを犠牲にすることなく複数の展開モデルを支えられるアーキテクチャの設計を、組織に促している。
企業のAIは今後も進化し続け、それを支えるインフラもともに進化しなければならない。組織は、根本的な再設計を必要とせずに、事業ニーズの変化に応じてAIワークロードを移動できるアーキテクチャを設計している。
企業AIの基盤を築く
Great AI Re-Architectureはすでに始まっている。組織は、企業規模の展開に求められる要件を満たすため、AIを支えるデータアーキテクチャを再設計している。
AIのリーダー企業とそれ以外の企業との差は、今後ますますアーキテクチャによって形作られることになる。データがどこに存在していても、そのデータにAIを届けられるデータアーキテクチャを構築する組織は、テクノロジーが進化し続けるなかでAIを拡張するうえで、より有利な立場に立つだろう。



