アート

2026.09.16 15:00

「簡素化と浄化」の先へ 李禹煥インタビュー

2025年10月7日、フランス・パリのブルス・ド・コマース・ピノー・コレクションで開催された展覧会「ミニマル」のオープニングに出席した李禹煥(Photo by Luc Castel/Getty Images)

──来場者が作品の上を歩いて鑑賞するというのは異例ですが、実際に触れられるようにすることで、作品を人とつなげることを意図されたのですか?

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私の作品の多くは、触れたり、その上を歩いたりしながら鑑賞してもらうものです。ですから、この作品も私の活動においては、特別なものではありません。特別なのは、この場所です。作品を別の場所で制作して展示スペースに運び込むのではなく、私は常に、その場所との対話を通じて制作をしています。私が願うのは常に、訪れる人たちがその対話に加ってくれることだけです。

──グラン・ティネル(大広間)に展示されている「応答」シリーズの絵画は、どのような基準で選ばれましたか?

ここでは当初、絵画を展示するつもりはありませんでした。ですが、準備を進める中で、このスペースにも何かを展示してはどうかとの提案があり、選んだのが、展示している作品です。私の活動を象徴するものです。

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私の作品は、なされたこととそうでないことの両方を示唆しています。それらの2つの側面、空虚と充足が、常に対話をしています。要素を数少なくすることで、特定の秩序と構造が現れます。するとそれら最小限の要素で表現することが可能になります。絵画にはエネルギーとダイナミズムの両方があり、それらは空間と時間の間に関係性を築きます。平面ですが、まさにその「平らさ」が、それらの要素を通じて広がっていくのです。

──オート・キュイジーヌ(大厨房)に展示した「関係項」シリーズの作品について、教えてください。

この部屋には、非常に長い歴史があります。時間そのものが息づいているようです。また、ここは神聖な場所でもあります。上を見上げれば天に昇っていじけるようであり、下を見れば地の奥底へと降りていけそうです。これら二つの領域の間に、橋を架けたいと思いました。そうした観念連想が、この作品を生み出しました。円筒形の形状が上と下をつなぎ、そこに立つ鑑賞者に、無限を見ることを可能にします。

──屋外彫刻の「関係項—ビヨンド」は、この宮殿の歴史からどのような影響を受けていますか?

ほぼ廃墟のようではありますが、長い歴史と深淵な時間が、今も息づいている場所です。その長い時間を通して、人々はここを訪れては去っていきました。何かが向こう側からこちらに近づいてくると、私たちは同時に、そちら側に引き寄せられます。

この長い呼吸の間に、何かが訪れ、去っていくということが続けられてきました。過去のすべてはこの場所を通り過ぎましたが、明日から、未来の世界から吹いてくる風を感じることができます。私はこの空間の中に、出会いの場を創り出したいと思いました。

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編集=木内涼子

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