──教皇宮殿で個展を開催するにあたって、この場所に適応するためにどのようなことをされましたか?
私はヴェルサイユ宮殿など、数々の歴史的な場所で作品を展示してきました。常にその場所が自分に与えてくれるものを受け入れるというのが、私の取り組み方です。
対話を通して、私はその精神に何を提供できるのかと問いかけます。歩き、座り、熟考し、自由に想像を巡らせます。決して、ただ単に私自身の文法をあてはめるということではなく、「私はここで、どのような対話をすることができるだろか」と自分自身に問いかけます。私がその場所にいるのは短い時間ですが、いくつかのアイデアを出し、その中から、まさにこれだというひとつを選び出します。
ここに来る前、私の思考はAIや現代的な文明、戦争のことで占められていました。あらゆるものが混乱しており、解決は難しいと思っていました。そうした状態のときに、長い年月にわたって存在するこの場所で個展を開く話をいただきました。
この個展は私自身を押さえ、考え方を変えてくれるものになることがわかりました。AI、全体主義、現代文明からのプレシャーに対抗するものであり、小さなレジスタンスにもなるかもしれません。それが、私にとっての動機になりました。
──大礼拝堂に制作された「関係項─プリミティブ・ルーム」について、教えてください。
礼拝堂に入った人は、「この石はずっと、ここにあるのだろう」と思うでしょう。あるいは、「教皇と何か関係があった石なのかもしれない」と思うかもしれません。石には何かを呼びこすような不思議な力があり、それは永続的なものです。
この作品は、石室の中にある石室です。何世紀もの間に、数えきれないほどの数の人たちがここを訪れ、ここから離れていきました。数えきれないほどの魂がここですれ違っていったことは、間違いありません。私がまず意図したことは、そうした魂に安らぎをもたらすことです。
次に目指したのは、場所そのものに関することです。ここは、700年以上前から存在する神聖な場所です。ですが、その700年の歴史よりもずっと古いもの、より原始的なもの、創造的なものが今も存在しています。その野生的で原始的な側面を通じて、人、人と自然の関係性、あらゆるものの起源を明らかにしたいと考えました。


