韓国出身の現代アーティスト、李禹煥(リ・ウファン)は60年以上にわたって、最も力強い作品が最も静謐なものであり得ることを証明し続けてきた。
「もの派」の先駆者であり、同世代のアーティストの中で最も大きな影響力を持つひとりである李は、絵画と彫刻、哲学と建築の境界を消失させ、鑑賞するものを熟考するものに変え、物体を関係性に置き換えるという並外れた活動を展開してきた。
李の作品は、単に空間を占有するのではない──空間を再編成し、光、時間、物質、そしてそれらを結びつけている目に見えない力に対する私たちの意識を高めるものだ。
南仏アヴィニョンにあるユネスコ世界遺産、「教皇宮殿(パレ・デ・パプ)」で開催中の「Relatum: Lee Ufan」で、彼のそのビジョンはさらなる高みに達している。
2026年11月15日まで開催中のこの個展は、90歳の李がそのキャリアにおいて着想したものの中で、最も野心的なプロジェクトの一つだ。14世紀に教皇の公式居住地だった中世の宮殿を、単なる背景として扱うことなく、700年に及ぶその歴史との深い対話を続けている。それを可能にしているのが、大礼拝堂に設置した重量60トンもの壮大なスレート(石)のインスタレーション、新たに制作したサイト・スペシフィックなインスタレーション 3作品、広く知られる絵画シリーズ「応答」の5作品だ。
石、スチール、そしてキャンバスは、このゴシック建築と静かに対話し、訪れた人々にペースを緩め、このモニュメントを歴史の遺物ではなく、生きたものとして体験することを促している。
第61回ヴェネツィア・ビエンナーレの公式関連イベントとしてサンマルコ・アート・センターで開かれ、高い評価を受けている個展と同時に行われているこのアヴィニョンでのプロジェクトは、世界有数の歴史に名高い場所を根本から、新たな知覚をもたらす空間に変える彼の類まれな才能を、改めて証明している。
対話としての制作活動、歴史を利用するのではなく歴史に応答すること、ますます人工知能(AI)と過剰、そして注意散漫によって特徴づけられるようになるこの時代において、なぜ「もの」「人」「自然」の関係性を築くことに力を注ぐのかについて、李に話を聞いた。



