宇宙

2026.08.27 09:15

恒星間天体アトラスは宇宙船か 「極端な金属量」が発見される

宇宙船説にもとづくアトラスの想像図(stock.adbe.com)

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恒星間彗星(天体)3I/ATLAS「アトラス」は、太陽系の外から飛来し、2025年10月29日に太陽系を通過した後、高速度で深宇宙へ離れていった。その組成を調べていた京都産業大学は、鉄やニッケルなどの金属原子を大量に含んでいることを発見。これは太陽系内の彗星に見られる量を大きく上回るという。

アトラスは、人類が観測できた3つめの恒星間天体だ。恒星間天体とは、どの恒星系の重力圏にも属さず、宇宙空間を旅している天体のこと。初めて発見されたのは2017年に観測された1I/Oumuamua「オウムアムア」だ。「I」は恒星間天体を示す記号。なにせ初めてのことであり、不自然な加速や特殊な形状などから、ハーバード大学の天文物理学者アヴィ・ローブ教授が人工物の可能性があると発表したことから話題になった。宇宙人支持者界隈では大変な盛り上がりを見せたが、結局、地球人にはまったく目もくれずに深宇宙に消えていった。

本物のアトラスの写真(写真撮影:津村光則氏)
本物のアトラスの写真(写真撮影:津村光則氏)

次に発見されたのが、2I/Borisov「ボリソフ彗星」だ。2019年にクリミアのアマチュア天文学者ボリソフ氏が初めて観測した。2番目なので「2I」と命名された。

そしてアトラス。予想外に強く輝いたり、特定の周波数の電波信号を発したりしたことなどから、またしてもローブ教授が地球外文明による人工物である可能性が約40パーセントとの説を唱え、世界中のメディアで騒がれた。

だがアトラスも、太陽の重力で放物線を描きながら、毎秒68キロメートルという猛烈な速度で太陽系から遠ざかりつつある。地球にもっとも近づいたときでも、太陽と地球の距離の2倍近く離れていた。

今回、京都産業大学が、イタリアのパドバ大学と共同で行った研究は、イタリアのアジアーゴ天文台にて観測されたアトラスの紫外光と可視光の波長域の分光スペクトルを解析するというもの。すると、鉄とニッケルが「極端に」多く検出された。それにより、アトラスが太陽系の彗星とは極端に異なる環境で生まれたことは間違いなく、「彗星研究者は誰も想像していなかったこと」だと京都産業大学は話している。

アトラスの紫外・可視光線波長域のスペクトル。●印は強い波長を示す輝線の理論的なパターン。観測結果と一致している。
アトラスの紫外・可視光線波長域のスペクトル。●印は強い波長を示す輝線の理論的なパターン。観測結果と一致している。

金属が極端に多い、太陽系外で生まれた物体だと聞くと、宇宙人説支持者は「やっぱり宇宙船か」と再び色めき立つかもしれない。だが、「金属製」だと言っているわけではない。また、これは人類が観測できた恒星間天体のわずか3例目に過ぎず、鉄やニッケルを大量に含む奇妙な形をした天体が、普通に存在するとも考えられる。もし宇宙人が乗った宇宙船だったとしたら、地球人に一言ぐらい挨拶を残していってもよさそうなものだが、それもないとなれば、残念ながら天然の天体だったと思うほかはない。

出典:京都産業大学 恒星間天体アトラス(3I/ATLAS)は太陽系の彗星とは似て非なる!〜イタリア・パドバ大学との共同研究で、アトラス彗星に多量の鉄およびニッケルを検出〜

文 = 金井哲夫

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