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2026.08.24 09:27

プレシードは死んだのか AI時代に変わる創業者の資金調達ルール

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2020年のテック創業者に、「最初の機関投資家ラウンドを調達する前に、プロトタイプを構築し、プロダクトの利用実績を示し、流通チャネルの実験を行い、初期売上も上げておくべきだ」と伝える場面を想像してみてほしい。

多くの創業者は引きつった笑いを浮かべ、あなたを非現実的、あるいは妄想的だと考えただろう。

しかし、それこそが今日、多くの投資家がすでに求めていることだ。投資家は、初期投資に安心して踏み切る前に、一定水準のトラクションを期待する。プレシードが消えたわけではない。だが、その目的と要件は劇的に変わった。

5年前というと、それほど昔には思えないかもしれない。だがスタートアップ創業者にとって、この期間は永遠にも感じられる。その間、市場は複数の方向へ同時に動き、混乱と不確実性をもたらした。一方で、新しいタイプの起業家も生まれた。「リーン・ファウンダー」だ。AI、自動化、そして容易に利用できるテクノロジーを使い、より少ない資本、より少ない人員、より短い時間で、はるかに多くを成し遂げる創業者を指す。これはすでに現在の創業者層の大きな部分を占めており、過去24カ月で一気に台頭した。

2018年当時、テック系スタートアップの定石は極めてシンプルだった。優れた学歴があり、関連する職務経験やスタートアップ経験を持ち、机上では極めて筋が通り、業界を変革し得ると誰もが考える課題を解決するアイデアがあれば、あなたへの投資に前向きなプレシード投資家を見つけられる可能性は十分にあった。

長年、プレシード資金が存在してきたのは、スタートアップの立ち上げに費用がかかったからにほかならない。エンジニアの採用、プロダクト設計、インフラ構築、マーケティング、ローンチ計画などをすべて済ませなければ、創業者は「そもそも自分が作ろうとしているものを、本当に誰かが欲しがっているのか」という単純な問いに答えられなかったのだ。

AIはそのすべてを変えた。

今日、創業者はステルスモードで会社を立ち上げ、数週間でプロトタイプを設計・構築し、パイロット版を投入し、売り込みたい相手を正確に狙える既製の自動メールソフトウェアを通じて獲得した顧客グループからトラクションを得ることができる。

アイデアの検証が劇的に安くなると、投資家が機関投資家の資金を求める前に創業者により多くを求めるのは自然なことだ。また、投資リスクが低いため、証明しやすい資本効率の高いスタートアップに投資家が引き寄せられる可能性もある。

この議論には重要な例外がある。AIによって、すべてのスタートアップの構築コストが安くなったわけではない。ロボティクス、先端製造、エネルギー、サプライチェーンなど、基盤インフラや物理インフラを必要とする企業は、立ち上げに依然として相応の資本を必要とする。筆者は、こうした構築がより難しい事業は、AI時代においてますます価値が高く、防御力のあるものになり得ると考えているが、それは別の記事で論じるべきテーマである。

増え続けるアプリケーション層やAIネイティブのソフトウェアスタートアップについては、方程式が根本的に変わった。創業者が以前必要だった人員と資本のほんの一部で、構築、検証、初期顧客の獲得、さらには売上創出まで行えるなら、投資家が最初の機関投資家投資に踏み切る前に、はるかに多くの証拠を求めるのは妥当である。

明確にしておくと、これはプレシード投資が消えるという意味ではない。意味するのは、ゴールポストが動き、機関投資家の資金が投じられる前に求められる成功の定義に、はるかに高い期待が伴うようになったということだ。

同時に、リスク回避的で横並び思考型の投資が増える傾向もある。投資家はいま、より安全で、より計算された賭けをしている。データも、この選別姿勢の強まりを裏付けているように見える。Cartaによると、2025年第1四半期のシードラウンド数は前年同期比で28%減少した一方、シードの評価額中央値は18%上昇し、$16 million(約25億4000万円)となった。つまり、資金調達できる企業は減ったが、調達できた企業はより高い評価額を得ていたということだ。傾向としては、技術的にはまだプレシード投資と呼ばれる資金を出す前に、売上を含む早期の測定可能な成果を示せる、同じようなタイプの企業を探すようになっている。

ラベルは同じままだが、要件と期待は変わった。

起業に資本が必要な場合にすべきこと

では、優れたアイデアはあるが、始めるためのスタートアップ資金が必要な場合、どうすればよいのか。

第一に、自分のアイデアをブートストラップする方法を学ぶことだ。可能な限り低コストでプロトタイプと概念実証を確立するために必要なツール、利用可能なアプリケーション、手順を理解する。これは、ピッチに入る前の必須の第一歩になった。大きなアイデアはいまも資金を得られるが、それは投資家の資金で何をすべきかを正確に理解している証拠を示した場合に限られる。それが新たな標準である。

第二に、最初のプレシード投資家が誰であるべきかを理解することだ。

最初の支援者は、単に事業に投資するのではなく、上で述べたような考え方を持つ創業者に投資する人々であることが増えている。友人や家族、元同僚、成功した起業家、潜在顧客、戦略的パートナーなどだ。彼らの資本は多くの場合、次のラウンドで機関投資家にとって魅力的になるだけの証拠を構築することを可能にする。

この1年、筆者はアイデアを立ち上げるための資金を見つけるのに苦労しているプレシードおよびシード段階の創業者たちと、数え切れないほど話をしてきた。

実のところ、筆者自身もその1人だった。

筆者は28年以上にわたり、複数のスタートアップを構築し、拡大してきたが、この新たなスタートアップの進化について、いまもリアルタイムで学んでいる。できる限り客観的であろうと努め、誰に対しても同じことを伝えている。プレシード段階が終わりつつあるのは、ベンチャーキャピタルが消えつつあるからではない。かつてプレシード資金が担っていた作業のコストが、劇的に低下したからである。

AIはプレシードを殺したわけではない。単に、実験と検証のあいだにあるゴールポストを動かしただけだ。

AI以前から構築の途上にあった創業者なら、これがピボットを迫られた理由、あるいはスタートアップが停滞したり、閉鎖を余儀なくされたりした理由だったのかもしれない。

この変化を最も早く認識する創業者は、ピッチデックの磨き込みに何カ月も費やすことはない。その時間を、ピッチをほぼ反論不能で否定しがたいものにする証拠の構築に充てるだろう。

forbes.com 原文

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