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2026.08.24 08:24

エンタープライズAI成功のトレンド:独自データとオープンモデル

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数百件のケーススタディから収集したデータを踏まえると、エンタープライズにおけるAIの将来をめぐるいくつかのトレンドが固まり始めている。最近のニュースは、こうしたトレンドをいっそう際立たせただけだ。

注目すべきトレンドをいくつか挙げると、最大手企業は、自社の独自データを最大手のフロンティアAIモデルに渡すよりも、それを保護することに強い関心を持っている。既製ソリューションではなく、独自ソフトウェアでカスタマイズしたオープンAIモデルを選好している。また、試験的プロジェクトは特定の課題に極めて絞り込まれる傾向がある。

最後に、誇大な期待とは裏腹に、グローバル企業におけるAIの実運用での導入は、よくてもなお困難である。この導入が存在しないわけでは決してない。一部の出来の悪い研究は記者の関心を引くようだが、そこで報じられているような状況ではない。しかし、その動きは複雑で、重要な事業成果を生み出す方向へと軸足を移しつつある。

バブルからROIへ

誰もが答えを待っている問いはこうだ。これはすべて報われるのか。数兆ドル規模のインフラが展開されるなか、AIブームが報われるには、それを上回る数兆ドル規模のROIを生み出さなければならない。

現実には、この支出の多くは投機的であり、規模が過大である可能性もある。Futuriomは、今後3年間で約3兆ドル(約476兆円)の設備投資が配分されると推計している。年率換算である。全体像をつかむためにいえば、年間1兆ドル(約159兆円)はS&Pの推定利益総額(2026年は2.3兆ドル(約365兆円))の40%に相当する。

この投資が価値を持つのは、AIサービスとワークロードが、現在はごく一部しか利用していない消費者だけでなく、大手企業にも広く採用された場合に限られる。

「これはAIインフラの展開が現実のものになるということだ」と、AIインフラプロバイダーであるNapatechのCEO、Kartik Srinivasanは語った。「企業がAIインフラを展開し始めたとき、それは現実に到達したことになる」

では、企業の利益はどこにあるのか

多くの鋭い投資家と筆者の見解の一致点は、AIが成果を出すには、NVIDIAとの循環的な資金調達取引から、消費者と企業ユーザーによる広範な導入へ移行しなければならないということだ。最近のIBMの調査では、AIエージェント導入の規模拡大に完全に備えられていると回答した人はわずか11%だった

これまで企業の取締役会やCIOは、データガバナンス、セキュリティ、トークン予算で苦戦してきたが、最近見出しをさらったのは最後のトークン予算だ。Uberが全トークン予算を3カ月で使い切ったと発表したためである。

「企業はAnthropicへの請求額を減らそうとしている」と、AIインフラソフトウェアプロバイダーであるRafay Systemsの共同創業者兼CEO、Haseeb Budhaniは最近、筆者に語った。「企業は自社インフラに目を向けている。唯一の選択肢はオープンソースモデルだ」

議論はもはや、企業が人工知能を試すべきかどうかではなく、どの組織がAIを事業価値に転換できるかに移っている。それがFuturiomの最新レポートの中心的なメッセージである。同レポートは25社のAI先進企業を取り上げ、業界横断で200件を超えるケーススタディから教訓を引き出している(プレビューは無料、全文は購読が必要)。

当社レポート「The Futuriom 25: The Top AI-Forward Enterprises」の分析によれば、AIで成果を上げている企業は、それを後付けのツールや試験的プロジェクトとして扱っていない。ワークフローを再設計し、意思決定を改善し、独自の優位性を拡大するために活用している。

選定した25社は、地域や業種ではなく成果に基づいている。全体として、このリストは、最も成功しているAIの取り組みには共通の特徴があることを示している。それは、具体的な事業成果と結びついていることだ。プロジェクトのリーダーたちは、効率性指標から成果指標へ移行している。こうした指標は、AIが売上、リスク、顧客満足度、業務のレジリエンス、製品開発のスピードをどのように変えるかを示すために使われている。

これは、AIがすでに第2幕に入ったことを示している。第1波はチャットボット、コパイロット、実験によって特徴づけられた。新たな波は、エージェント型システム、業種特化のユースケース、そして中核業務に組み込まれたインフラによって定義される。筆者らの見方では、企業はAIの使い始め方を問う段階を過ぎている。より難しい問いは、データ、ガバナンス、人間による監督の統制を失わずに、どう規模を拡大するかである。

独自データがAIの世界を支配する

同レポートの最も明確な結論の1つは、独自データが戦略的資産になりつつあるということだ。最も強力なエンタープライズAIプログラムは、多くの場合、汎用ツールよりもモデルに高い関連性を与える社内データを軸に構築されている。独自情報でモデルを訓練することで、企業は社内ワークフローを合理化し、従業員をより知的に支援し、自社の業務文脈を反映した意思決定を行うことができる。これは単にソフトウェアを賢くする話ではない。すでに企業内に存在する知識をAIで増幅するということだ。

金融サービスやヘルスケアのようなデータ感度の高い業界では、自動化への過度な依存には慎重なアプローチが必要である。AIは診断を加速し、異常を浮かび上がらせ、反復的なサービス業務を処理できる一方、軽率に導入すれば誤った出力を生み、監督を弱め、セキュリティ上の脆弱性を生む可能性もある。導入モデルの最初からガバナンス、人間によるレビュー、セキュリティを組み込む企業こそが、うまく規模を拡大している。

AIで最も速く動いている業界は、小売、金融サービス、保険、ヘルスケア、製造である。これらのセクターは、AIを孤立した一部領域で試しているだけではない。中核的な事業機能を変革するために活用している。小売企業は、発見から決済までのあらゆる場面を形作るため、予測型パーソナライゼーションとエージェント型コマースを導入している。銀行や保険会社は、不正検知、サービス自動化、パーソナライズされた提案にAIを展開している。メーカーは、AI、ロボティクス、デジタルツインを組み合わせ、品質向上、生産最適化、ダウンタイム削減に取り組んでいる。ヘルスケア企業は、創薬を加速し、臨床ワークフローを支援し、患者マッチングを改善するためにAIを利用している。

同レポートは繰り返し、あるパターンに立ち返っている。成功するエンタープライズAIは、単一のモデルであることはまれだ。それは統合されたシステムである。最も強力な事例では、AIが既存のプラットフォームやワークフローに直接組み込まれている。例えば、Alphabetの車両レポートアシスタントは、大量の運用データを、管理者がすでに使っているポータル内のグラフや要約に変換する。American Expressは、不正検知、経費管理、商業分析にAIを適用している。BMWは、工場運営と品質管理を支えるために、デジタルツイン、コンピュータービジョン、AI搭載ロボティクスを活用している。いずれの例も同じ教訓を示している。AIが最良の意味で見えない存在になったとき、つまり追加の手順として脇に置かれるのではなく、仕事が行われる場所で利用できるとき、導入は進むのである。

インフラも成果を左右している。多くの企業が独自システムを構築している一方で、基盤層の提供については、Google、Amazon、Microsoft、NVIDIAといったハイパースケーラーに依然として大きく依存している。

ソブリンインフラ管理の台頭

Futuriomの調査は、完全にパブリックな環境に依存するのではなく、モデルや機密データをプライベートクラウドや地域インフラ内に保持する「ソブリンAI」への広範な動きも捉えている。この変化は、プライバシー、コンプライアンス、情報漏えいに対する懸念の高まりを反映している。多くの企業にとって、戦略的自立性はモデル性能と同じくらい重要になりつつある。

これは規制産業で特に重要である。JPMorgan Chaseは、アクセスを厳格に管理しながら、不正検知と従業員の生産性を大規模に改善するためにAIを利用している。Pfizerは、医薬品開発を迅速化し、文書の品質を高めるためにAIを使っている。Johnson & Johnson、Roche、Massive Bioは、医療製品の開発、試験、患者とのマッチングのあり方を実質的に変え得る形でAIを適用している。

当社のデータは、多くのAI変革の現実も映し出している。最大の制約はモデル品質ではなく、データの準備状況であることが多い。多くの組織はいまなお、断片化し、不完全で、信頼性に欠けるデータに苦しんでいる。それは出力への信頼を損ない、AIシステムが大規模に稼働する能力を制限する。基盤となる事業データが乱雑であれば、生成AIの可能性には限界がある。実際に成果を上げている企業は、一回限りのデモではなく、データパイプライン、ガバナンス、再利用可能なアーキテクチャに投資してきた企業である。

より成功している組織は、単に人員を削減するためではなく、人を補強するためにAIを使っているように見える。American Expressは、人間中心の支援ツールによってこの点を示している。Nedbankのバーチャルアシスタントは定型的な電話対応を処理し、有人エージェントが複雑な問題に集中できるようにしている。最も優れたケーススタディの多くが同じ原則を示している。AIは、人々をより価値の高い仕事へ解放するときに最もよく機能する。

エンタープライズAIは日々進化しており、企業が独自プロジェクトによって自社の独自データの優位性をどう活用できるかへと焦点が移っている。勝者は、必ずしも最も高度なモデルを持つ企業ではない。明確なユースケース、強固なデータ、規律あるガバナンスを備えた企業である。

forbes.com 原文

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