筆者はこれまでのキャリアを通じて、携帯電話市場とスマートフォン業界の進化を追ってきた。ユーザー体験を大きく変えることのない、わずかな機能向上にとどまるマイナーチェンジが19年間繰り返された後、このカテゴリーは最も興味深い変革期の1つに突入した。
かつてスマートフォンの買い替えサイクルは、ユーザー体験に大きな影響を与えないわずかな改善を中心に回っており、新しいモデルに買い替える動機は年々薄れていた。それとは対照的に、現在のスマートフォンメーカーはまったく新しい方向性を模索している。
マイナーチェンジから製品の再定義へ
メーカー各社は現在、衛星通信機能や単体の撮影機材に匹敵するカメラ、消費者の長年の不満を解消しつつ新たなデバイス形状を可能にするバッテリーといった、先進的な技術開発を進めている。その目標は、もはや単に前世代よりも少しだけ優れた新世代機を作ることではない。スマートフォンに何ができるかを再定義することなのだ。
この変化は、求められる水準を引き上げる。段階的なアップグレードの枠を超えるには、より野心的なハードウェアのイノベーションと、スマートフォンが人々の日常生活にどのように溶け込むかという明確なビジョンが必要となる。
個人向けテクノロジーのハブとしてのスマートフォン
現在のイノベーションの段階におけるもう1つの要素は、スマートフォンが提供すべき接続性に関連している。最新世代のデバイスが登場するたびに、スマートフォンが相互に接続された個人向けテクノロジーのエコシステムを制御する中心的なデバイスになることが明らかになってきている。スマートフォンは、スマートウォッチや自動車、スマートホームデバイスと通信し、相互に作用する。健康データ、決済システム、エンターテインメント・ソリューション、さらには仕事までも管理する役割を担うようになっていくだろう。AppleやSamsungといった企業は長年この方向性を追求してきたが、必要なレベルの洗練さに達したのはごく最近のことだ。
スマートフォンの最大の強みは、常に持ち歩くデバイスであるという点だ。しかし、スマートフォンは今後、より強力なパーソナルコントロールセンターへと進化し、テクノロジーとの関わりの大部分をこの1台のデバイスで管理できるようになる。多くのユーザーにとって、それは個人の銀行取引のすべてを処理する存在だ。その地図アプリは世界中を案内してくれる。そして多くの人々にとって、スマートフォンはすでにデジタルライフのコントロールセンターになっている。
競争優位性となる耐久性
スマートフォンの耐久性も、考慮すべきもう1つの要素だ。経済的な理由と、デバイス世代間の差が小さくなり始めていることから、消費者はデバイスをより長く使い続けるようになっている。メーカー各社はこの事実を十分に認識しており、落下や水濡れ、そして長年の使用に耐えうるデバイスを製造することは、顧客維持戦略の一部となっている。
単なるデバイスから生活マネージャーへの転換
総じて、現在は複数年に及ぶ移行期の始まりに位置している。将来成功するメーカーは、ハードウェア、ソフトウェア、そしてサービスをシームレスに結びつけ、ユーザーが直感的にデバイスを操作できる製品を創り出すという複雑な任務を遂行できる企業だろう。
この業界の最新動向の背後にある真のストーリーは、カメラの性能向上やバッテリー駆動時間の延長、あるいは単一の新機能ではない。それは、スマートフォンが日常生活に不可欠なオペレーティングシステムとして台頭していることだ。つまり、人々が働き、支払い、移動し、コミュニケーションを取り、生活する手段を接続し、先回りして予測し、そしてますます管理するようになる、常に身近に存在するプラットフォームへの進化なのである。
開示事項:AppleとSamsungは、筆者が創設したCreative Strategiesの調査レポートを購読している多数のグローバルテクノロジー企業に含まれる。



