企業が元従業員を再雇用する理由
企業にとって元従業員は実力をある程度把握できている人材だ。元従業員はすでにその組織の期待や日常業務、暗黙のルールの多くを理解している。製品や顧客、テクノロジー、鍵を握る意思決定者についても知っているかもしれない。たとえ業務プロセスが変わっていたとしても、初めてその会社に入る人より早く戦力になれるだけの組織に関する知識を持っていることが多い。
「出戻り従業員はその会社の文化やコミュニケーションのスタイル、日々の業務をすでに理解しているため、オンボーディングの迅速化に役立つ」とバーンズは指摘する。「そのため、より早く業務に復帰できる」
戻ってくる従業員は以前は持っていなかったもの、つまり新しい知識を組織にもたらす可能性もある。別の組織で働くと、異なるテクノロジーやマネジメント手法、問題解決のアプローチに触れることができる。その結果、企業は自社の歴史を理解している人材を取り戻すと同時に、他社で培われたスキルや知見まで獲得できる。
これは、人手不足や離職率の高さ、長い研修期間が業務や顧客サービスに支障をきたしかねないフロントラインの業界において特に有用だ。出戻り従業員は監督を必要とする度合いが低く、安全基準やサービスに求められる水準、日々の業務フローをすでに理解している可能性がある。
だからといって、企業が通常の採用基準を無視してよいという意味ではない。元従業員が業務に精通していることは1つの適性として扱うべきであり、実績やスキル、新しい職務への適性を評価することの代わりとすべきではない。
会社に残っている従業員を蔑ろにするリスク
元従業員の採用には企業が決して無視できないデメリットも潜む。元従業員が以前より高い給与や高位の役職、より柔軟な勤務条件を携えて戻ってくれば、会社に残っている従業員は昇進するための唯一の確実な方法は退職することだと結論づけてしまうかもしれない。
そのような認識は悪影響を及ぼしかねない。忠実な従業員は同僚が去った後も追加の業務を引き受け、顧客との関係を維持し、会社が困難な移行期を乗り切るのを支えてきたかもしれない。かつての同僚が昇進して会社に戻ってくるのを見ることは、会社に残ったことに対する罰のように感じられる可能性がある。
「企業は元従業員の再雇用に過度に依存するのではなく、現従業員の成長を重視すべきだ」とバーンズは注意を促す。「企業は透明性を保ち、キャリアアップの機会を明確に示す必要がある。そうすることで、戻ってきた従業員がチームを強化しつつ、現従業員が『自分たちは見過ごされている』と感じないようにすることができる」
元従業員を再雇用する戦略は社内人材の育成を補完するものであるべきで、それに取って代わるものであってはならない。そうでなければ、企業は人材確保の問題を解決する一方で、新たな人材定着問題を抱えることになるかもしれない。


