データセンター、半導体チップ、計算集約型のメモリー。これらはAI経済の背骨である。これがなければ、日々の仕事で使っているチャットボットやツールは機能しなくなる。
誰が恩恵を受けるのか
一見すると、このAIブームの直接的な受益者は、電力・エネルギー企業、建設会社、半導体・チップ企業(NvidiaやMicronなど)である。大手テック企業も主要な市場プレーヤーとして利益を得ている。
だが、大手テック企業の外側でも、知識労働の機会に限られたアクセスしか持たない専門人材、つまりブルーカラー労働者は、自らの実践的スキルに対する巨大な需要を取り込むことができる。
AIブルーカラー雇用市場に参入するメリット
熟練職分野におけるAI雇用ブームは、次のような主要なメリットがあるため、特に魅力的だ。
・製造、建設、エネルギーなどのブルーカラー職は、混乱や自動化に耐えやすい立場にあり、長期的なキャリアの防御策となる
・こうしたAI関連職は、計算集約型のAI業務を可能にするインフラの中核であり、AI経済におけるミッションクリティカルな存在だ
・高水準な報酬が期待できる。米国では、データセンター技術者の平均年収は7万4447ドル(約1180万円)で、米国労働者の中央値を上回る。一方、Googleはネバダ州リノのデータセンター施設マネージャー職について、12万2000〜17万3000ドル(約1940万〜2750万円)に加え、15%の目標ボーナス、株式報酬、福利厚生を提示している
また、データセンター技術者の運用職は、OSの診断・トラブルシューティング経験が2年程度あり、Google IT Support Professional Certificate(Courseraで取得可能)を修了していれば、キャリア初期の人材にも適しているとされ、8万6000〜11万8000ドル(約1370万〜1880万円)が支払われる。エントリーレベルの職種としては、年収10万ドル(約1590万円)の大台に乗る極めて魅力的な水準だ
・こうした職種は、特に4年制大学の学位を取得する余裕がなかった人にとって、よりアクセスしやすい。職種によっては、職業学校、実践的な技術訓練と経験、マイクロクレデンシャル(Googleのキャリア認定資格など)、または準学士号を通じて、これらの職を得ることができる
また興味深いのは、Z世代がブルーカラーの仕事により関心を持つようになっていることだ。その理由の一部は、参入しやすく、テクノロジーやビジネスサービス分野で広がるレイオフの影響を比較的受けにくい点にある。さらに、多くの職種が再生可能エネルギーや気候変動といった社会的課題を支えることも理由である。


