当団体の入所型プログラムのひとつで、午前2時の場面を思い浮かべてほしい。あるスタッフが、困難な夜を過ごした入所者を支援し終えたところだ。帰宅して休む前に、そのスタッフには自分が取得できる有給休暇の日数について確認したいことがある。夜勤で働くスタッフは、通常の9時から17時勤務の職員のように、人事部門へ気軽にアクセスできるわけではない。選択肢は、朝まで待つか、答えを知らないかもしれない同僚に尋ねるか、あるいはその質問をひとまず脇に置くか、である。通常の勤務時間外で、要求水準が高く人と向き合う仕事に従事する人にとって、そのいずれも特に有益な選択肢とは感じられない。
イントラネットボット導入から得た教訓
だからこそ、私たちはより良い答えを構築した。
「SUSie」は、当団体のイントラネット上にあるAIアシスタントで、給与、福利厚生、社内規程に関する定型的な質問に、時間を問わず迅速に回答する。SUSie導入以前は、通常勤務のスタッフでさえ、選択肢は2つしかなかった。人事部門の代表電話にかけるか、チーム宛にメールを送るかである。答えが明快な場合でも、すべての質問はサービスデスクのキューに入り、人事チームのメンバーに割り当てられていた。
寄せられる質問を分析したところ、その多くは定型的で、ボットが迅速かつ一貫して回答できる内容だと分かった。助成金の支援を受け、当団体のマネジャーの1人がボット設計とコーディングの研修を修了し、自組織の従業員に合わせたツールを構築できる体制を整えた。今では午前2時にそのような質問が生じても、SUSieが数秒で応答し、スタッフが翌日に持ち越す負担が1つ減ったわけだ。
そこに至るまでには、試行錯誤もあった。私たちの具体的なニーズに合わせてSUSieを設計する方法を学び、回答できる質問を精査し、どこから先は人による支援が必要なのかについて明確な境界線を設ける必要があった。
また、テクノロジーはその背後にある情報の質に左右されることも学んだ。同様のプログラムを立ち上げる前には、社内規程、文書、ナレッジベースをAIが確実にアクセスできる形式に整えたうえで、従業員が実際に尋ねるような現実の質問を使ってシステムを厳しく検証すべきである。AIツールは、不完全な情報をもとに動いている場合でも、自信ありげに不正確な回答を生成することがある。そのため、厳格なテストと継続的な改善は、初期構築と同じくらい重要である。
AIの理想的な役割
直近のリリースでは、SUSieは最初の1週間で450件を超える問い合わせを受けた。仮にそれぞれの質問への回答に平均30分かかっていたとすれば、人事スタッフの時間にしておよそ225時間、つまりその週に数人のフルタイム従業員に相当する作業量になる。利用状況は週によって異なる可能性があり、一部の質問は常に、SUSieが回答するには複雑すぎたり個別性が高すぎたりする。それでも、潜在的な削減効果は大きい。非営利団体にとって、それは重要である。そして同じくらい重要なのは、SUSieが、どのチャットボットにもできない思慮深く人間的な仕事に向き合う時間を人事チームに取り戻してくれることだ。
それこそが、この取り組みの核心である。人工知能は、適切に使えば人間の知性を置き換えるのではなく、強化するべきものだ。SUSieは誰かの代わりを務めるために存在しているのではない。私たちのスタッフが、同じ定型的な質問に何度も答える時間を減らし、判断、配慮、文脈、そしてその場に寄り添う姿勢が求められる状況により多くの時間を使えるようにするためにある。
多くの人がAIに慎重になるのは当然である。このテクノロジーには、人員削減を主目的として導入されたり、従業員と必要な支援との距離をさらに広げたりするもののように感じられる側面もある。SUSieは、異なる目的のために構築された。SUSieは、従業員が有給休暇の残日数を確認したり、定型的な社内規程を理解したり、通常の営業時間外に素早く回答を得たりするのを助けることができる。しかし、苦しんでいる従業員のそばに座ること、言葉にされていないことに気づくこと、難しい状況の背後にある人間的な文脈を考慮することはできない。質問が複雑で、個人的で、繊細なものになったとき、それは人が担うべき領域である。私たちはその境界線を念頭に置いてSUSieを設計した。
職場にAIツールを導入する前の検討事項
職場にAIを導入する前に、どの組織にも問いかけてほしいのはこの点である。このツールは、人間的な仕事に向き合う時間を人々に取り戻しているのか。それとも、人間が行うべき仕事を代わりにやろうとしているのか。前者は、ケースワーカーがよりしっかりと目の前の相手に向き合い、マネジャーがより対応しやすくなり、看護師がケアに割ける余地を広げることを助け得る。後者は、仕事に意味を与えているまさにその部分を自動化してしまうリスクがある。
業界や職種を問わず、AIエージェントの導入を検討する組織は、機密情報を保護し、AIのアクセスを目的に必要なデータのみに限定することについて意図的でなければならない。患者であれ、従業員であれ、クライアントであれ、機密データは守られなければならない。強固なセキュリティとデータガバナンスは、持続可能なAIシステムを構築するうえで不可欠だ。
最後に
私が所属する非営利団体は、毎月1万人を超えるニューヨーク市民にサービスを提供している。迅速かつ正確に回答できる質問で人事部門の受信箱があふれかえっていても、誰の利益にもならない。SUSieは定型業務を取り除くことで、私たちが最も重要なこと、すなわち人が人を支えることに集中し続けるのを助けている。私たちのような組織にとって、AIができる最も賢明なことは、人間のための余地をさらに広げることである。



