CFOの職務内容は、それを支えるツールよりも速いスピードで変化している。取締役会は今、財務部門に対し、自信を持って予測し、一晩でシナリオをモデル化し、業績をリアルタイムで説明する戦略的パートナーであることを期待している。
しかし、ほとんどの財務部門はいまだに、より遅い時代のために構築されたインフラで運営されている。アナリスト間でメール送信されるスプレッドシート、顧客関係管理(CRM)ソフトウェアと統合されていないエンタープライズリソースプランニング(ERP)システム、そして毎月最初の2週間を消費することも多い煩雑なプロセスである。期待は変わった。だが、オペレーティングモデルは変わっていない。
そのギャップは測定可能だ。2021年には、財務チームの約80%が、1年を超える期間について信頼できる予測ができないと報告した。また複数のレポートは、CFOがステークホルダーの求めるリアルタイムデータを欠いていると感じ、より迅速な計画策定とモデリングを望んでいることを示している。これらは孤立した不満ではなく、いまだ大きく改善したとは言い難い。
全体として私は、可視性と処理能力は同じ問題の表裏一体だと見ている。AIは、その両方の解決を支援すると期待されている。
2つの問題、1つの根本原因
財務部門の不満は、2つの領域に分かれる傾向がある。1つ目は可視性だ。リーダーは、売上高と利益率について信頼できる最新の全体像を見ることができない。2つ目は処理能力である。チームはデータを解釈するのではなく、データを集めることに能力を費やしている。
私が考えるに、いずれも同じ根本原因、すなわち断片化に行き着く。複数のシステムに散在するデータは、信頼できる状態にする前に手作業で収集しなければならない。そして手作業は遅く、ミスも起こりやすい。
現代的な財務スタックの原則
AIを中心に機能を再構築している成功したリーダーは、いくつかの原則を守る傾向がある。第一に、データを統合することだ。予測の精度は、それを支える入力データの質に左右されるからである。その入力データは1カ所に存在し、自動的に更新される必要がある。
また、単なる出力結果だけでなく、その要因(ドライバー)もモデル化することが重要だ。そうすれば予測は単に提示されるだけでなく、説明され、ストレステストにかけることができる。次に、反復可能な作業を必ず自動化することだ。決算、レポーティング、収益認識はかなり定型的なルールに従っており、ルールベースの作業はまさにエージェントが得意とする領域である(人間が結果を確認することを前提とする)。
ヒューマン・イン・ザ・ループがもたらす成果
前段の最後で示唆したように、判断を人間に委ね続けることは、AIエージェント導入における重要な要素の1つである。銀行や企業の財務チームとの議論において、この要件は譲れないものとして浮上している。これにより、人々はデータ収集ではなく意思決定に時間を使えるようになる。
ヒューマン・イン・ザ・ループは、チームやリーダーがAIエージェントのパフォーマンスを監視するうえでも役立つ。最終的な責任は人間にあり、AIエージェントは24時間365日稼働するアシスタントと考えることができる。
この人間が導き、AIが支えるアプローチにより、財務チームはより正確になれる。私の経験では、それによって取締役会は数値の整合性を争う議論の場から、戦略を練るセッションへと変わる。データ収集の効率も向上し、顧客関係管理(CRM)システムや情報技術(IT)システムからのデータ収集の大部分をAIエージェントが担うようになる。こうして取り戻した時間は、分析に再配分できる。企業が自社の予測を信頼し、迅速に行動できるようになれば、資本とエネルギーをより適切に配分する助けとなる。
このパターンは企業全体に当てはまる。断片化したレポーティングスタックを統合する大手ITサービス企業は、誰の数字が正しいのかを巡る議論をやめることができる。決算をほぼ自走するところまで自動化した例も見てきた。具体的な内容は異なるが、方向性は同じだ。数字を作る時間を減らし、その数字を使う時間を増やすのである。
これから向かう先
私は、今後数年の財務機能は、今日の財務部門を単に大きくしたものにはならないと予測している。むしろ、統合されたデータ、ドライバーベースの予測、そして機械的な作業を担うエージェントの上で動くようになり、財務プロフェッショナルは判断と戦略に時間を使えるようになるだろう。
その転換を成し遂げるCFOは、意思決定を記録するのではなく、形づくる機能を率いることになる。テクノロジーの準備は整っている。残るのは、企業がすでに財務部門に期待している役割に合わせて、オペレーティングモデルを変える意思である。



