アジア

2026.08.24 08:00

北朝鮮が驚異の経済成長、富は金総書記に集中 国民は極度の貧困から抜け出せず

中国の首都北京で会談した同国の習近平国家主席(中央)、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(前列右)、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(前列左)。2025年9月3日撮影(Sergey Bobylev / RIA Novosti/Anadolu via Getty Images)

中国の首都北京で会談した同国の習近平国家主席(中央)、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(前列右)、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(前列左)。2025年9月3日撮影(Sergey Bobylev / RIA Novosti/Anadolu via Getty Images)

ウクライナ侵攻から最大の恩恵を受けているのは、間違いなく北朝鮮、より正確には同国の指導者である金正恩朝鮮労働党総書記だ。ロシアが4年前にウクライナに侵攻して以降、北朝鮮の貿易収入は急増し、累計で220億ドル(約3兆5000億円)に達している。これは、それ以前の4年間の貿易収入の4倍に相当する。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは、3.5%という驚異的な経済成長率を誇る「隠者の王国」北朝鮮を、2026年の最も驚くべき成功事例と評した(訳注:欧米諸国は、鎖国政策を取っていた19世紀の李氏朝鮮を隠者の王国と呼んだ)。金総書記はこの予想外の収入の一部を首都平壌の近代化に投じており、同市は現在、80階建ての超高層ビルから高級レストラン、電気自動車、ネオンサイン、ライドシェア用アプリに至るまで、最新技術であふれかえっている。

金総書記はこの発展を自らの功績として誇らしげに強調しているが、実際にはロシアと中国に感謝すべきだろう。北朝鮮はロシアに対する軍事支援から約140億ドル(約2兆2300億円)を稼ぎ出し、さらに中国との貿易や同国からの経済支援によって数億ドルを得ている。ウクライナ政府の推計によると、2024~25年にかけて、北朝鮮はロシアが前線で使用した弾薬の半分を供給した。その中には約120発のミサイルのほか、数百万発の砲弾や迫撃砲弾が含まれている。北朝鮮は約1万4000人の兵士をロシアに派遣しているが、2026年には5万人まで増員する計画だ。

北朝鮮はロシアとの関係強化により中国への依存を低減しつつあるものの、同国は今もなお北朝鮮の経済的な生命線となっている。北朝鮮の対外貿易総額の約95%を中国が占めており、同国は北朝鮮との貿易でおおむね黒字を計上してきた。しかしここ数年、北朝鮮からのかつらを含むヘアケア製品や希少金属(レアメタル)の一種であるタングステンなどの対中輸出が急増しており、2026年の両国間の貿易額は20%近く増加している。

両国の関係強化は偶然ではない。ロシアと北朝鮮が接近する中、中国は再び中心的な役割を担おうとしており、同国の習近平国家主席は6月、金総書記と7年ぶりに会談した。中国は、ここ数年、活発化してきたロシアと北朝鮮の関係を意識しているのだ。過去18カ月間で、ロシアと北朝鮮の間では閣僚級の会合が23回行われたのに対し、中国と北朝鮮の間ではわずか8回にとどまっている。

中国は経済関係だけでなく、北朝鮮との軍事関係の強化も目指している。両国の軍事同盟はロシアの対抗勢力となり、日本の軍備増強への抑止力として機能するとともに、台湾に対する中国の選択肢を増やすことになる。中国と北朝鮮は1961年の協定により、いずれかが他国の攻撃を受けた場合、直ちに軍事支援を行う義務を互いに負っている。こうした協力の証しとして、3月には新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)以来運休していた北京と平壌を結ぶ旅客列車と航空便が再開された。

かろうじて生き延びている北朝鮮の国民

中国とロシアが北朝鮮の経済に恩恵をもたらしたことは確かだが、その富を一般市民がどれだけ享受しているのかは定かではない。世界14位の経済規模を誇る韓国と比較すると、北朝鮮ははるかに貧しく、人口2700万人のうち1700万人が極度の貧困状態にある。北朝鮮の医師の月給は、米1キロを購入するのに必要な金額にも満たない。国連世界食糧計画(WFP)の推計によると、同国では人口の40%以上に当たる1100万人が栄養不足に陥っている。

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翻訳・編集=安藤清香

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