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2026.08.22 15:58

スマートモビリティAIの最前線:工場・車両・道路で広がる商機

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工場のフロアから車載技術、そして道路上の「フィジカルAI(物理AI)」に至るまで、スマートモビリティのAI技術は、自動車業界とその新しく拡張されたサプライチェーンパートナーが現在構築を進めているものだ。レガシー技術からコンプライアンス、セキュリティ、インテグレーション(統合)に至るまでの課題はあるものの、エンタープライズ技術におけるビジネス機会は豊富に存在している。

本レポートでは、レノボ(Lenovo)、コックス・オートモーティブ(Cox Automotive)、カーネギーメロン大学ハインツ・カレッジ、パーセプタ(Percepta)、SAP、コグニザント(Cognizant)、TERN、Fractal、AIR(Automated Industrial Robotics)の専門家やエグゼクティブがスマートモビリティについて語り、そこに生まれている新たなビジネス機会について説明し、最新技術を紹介する。

スマートモビリティの市場規模と、広がるエンタープライズ技術のビジネス機会

2026年3月のフォーチュン・ビジネス・インサイツ(Fortune Business Insights)のレポートによると、スマートモビリティの市場規模は2026年時点で619億5000万ドル(約9兆8400億円)と評価され、2034年には2557億5000万ドル(約40兆6000億円)に達すると予測されている。しかし、このレポートは、スマートモビリティが普及しつつある世界の自動車産業全体のより広範な利益を考慮していない。自動車産業単体でも、調査機関によって異なるものの世界で2.5兆ドル(約397兆円)から4兆ドル(約635兆円)の価値があり、一部の予測では2035年までに8兆ドル(約1270兆円)に達するとも言われている。

この急成長環境において、トヨタ、現代(ヒョンデ)、フォルクスワーゲン、テスラ、そしてGM(ゼネラルモーターズ)をはじめとする主要プレーヤー各社は、いずれもスマートモビリティやAIへの巨額の投資を発表している。

「スマートモビリティは、自律型システム、コネクテッドインフラ、電気自動車(EV)、そしてインテリジェントな交通ネットワークに支えられ、AI経済において最も急速に成長しているセグメントの1つだ」と、レノボ(Lenovo)のエンタープライズAIおよびハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ソリューション担当ディレクター兼グローバルヘッドであるロバート・デイグルは語った。

「主要なプレーヤーには、自動運転企業や従来の自動車メーカー(OEM)だけでなく、コンピュータープロバイダーも含まれる」とデイグルは言う。

最大のビジネス機会は、モビリティの大規模な導入を可能にする技術にあるとデイグルは説明した。

これには、AIインフラ、エッジコンピューティング、センサー、サイバーセキュリティ、デジタルツイン、ネットワーキング、そしてデータプラットフォームが含まれる。「交通手段のインテリジェント化が進むにつれ、リアルタイムのコンピューティングやAIによるオーケストレーション(統合制御)の需要は大幅に増加するだろう」とデイグルは述べた。

「フォード、BMW、GMはいずれもAIを活用した車内体験に巨額の投資を行っているが、それはストーリーの一部にすぎない」と、TTECホールディングス(TTEC)とフォード・モーターの合弁会社であるパーセプタ(Percepta)のプレジデント、トーマス・モナハンは語った。さらに困難な課題は、真の自動運転を大規模に実現することだ、とモナハンは指摘する。

一方、コグニザント(Cognizant)のフィジカルAI部門グローバルヘッドであるヴィジャイ・ナラヤンは、スマートモビリティのサプライチェーンは、データ、ソフトウェア、そしてインテリジェンス(知能)によって価値が牽引されるコネクテッドエコシステムへと進化しつつあると指摘した。

車両がソフトウェアに依存するようになるほど、その接続性は高まる。その結果、自動車メーカーには、デジタルサービス、予知保全、フリート管理(車両群管理)、そしてパーソナライズされたモビリティ体験を通じて、新たな収益源を創出する機会が生まれている、とナラヤンは言う。

「現在、主導権を握っているのは自動車メーカーではなくサプライヤーだ。サプライヤーは車を製造する企業に対して、常に新しいスマート技術を売り込んでいるからだ」と、コックス・オートモーティブ(Cox Automotive, Inc.)のシニアエディターであるショーン・タッカーは語った。

「初期の段階におけるビジネス機会は、公共インフラへの投資を必要としない分野にある」とタッカーは述べた。

スマートモビリティが変える工場のフロア:無人化と柔軟な生産ラインの再構成

既存設備のレトロフィット(改修)から、コンプライアンスや労働問題への対応、さらにはダッシュボードによるデータの可視化に基づく意思決定から自律的なオーケストレーション(統合制御)への移行に至るまで、スマートマニュファクチャリング(スマート製造)は新たな段階に入っている。

「スマートマニュファクチャリングは、もはやインフラの課題ではなく、意思決定の課題になっている」と、AI、物理センサー、およびIoT(モノのインターネット)を統合して業務の一元化を支援するFracttalの共同創業者兼CEO、クリスチャン・ストルーブは語った。

真の変革は新しい工場で起きているのではなく、AI、センサー、その他のIoT(モノのインターネット)デバイスを統合し、20〜30年前の既存工場のインフラの上にインテリジェンス層を構築している工場で起きている。

「このサイクルにおける新たな要素は、単に情報を提供するだけのシステムから、行動を提案しオーケストレーションするシステムへの移行だ」とストルーブは述べ、人間をプロセスのなかに介在させることの重要性を強調した。

SAPのインダストリー・エグゼクティブ・アドバイザーであるビル・ニューマンは、無人(ライトアウト)製造について語ってくれた。

「無人製造は技術的に可能なだけでなく、多くの操業現場ですでに現実のものとなっている」とニューマンは述べた。

「私たちは常に『人間を関与させ続けること』を推奨しているが、無人搬送車(AGV)のより高度な制御から、製造や倉庫の機能が物理的なタスクに適合・連携できる未来のヒューマノイドロボットソリューションに至るまで、コグニティブ(認知)AIやフィジカルAIの戦略を検討している」とニューマンは述べた。

ニューマンによると、自動車製造の自動化は労働問題の議論においてデリケートなテーマである一方、製造やその他の操業分野で重要な作業を担う有能な労働力の不足が深刻化するなかで、不可欠な選択肢として検討されているという。

ロボティクスについて、より具体的かつ技術的な視点から、グローバルな産業自動化企業であるAIR(Automated Industrial Robotics)の創業者兼CEO、ダラ・デ・ストンドゥンは、過去10年間にスマートマニュファクチャリングとして販売されてきたもののほとんどは、生産の「可視化」をもたらしただけであり、「実行能力」をもたらしたわけではないと指摘した。

「工場は今、かつてないほど多くのデータを抱えているが、それに基づいて行動する能力は以前とほぼ同じだ。ダッシュボードは増えたが、意思決定は増えていない」とデ・ストンドゥンは述べた。彼によれば、最後の1マイル(ラストワンマイル)は、検証され、規制に準拠し、稼働している生産環境のなかで、AIの推論を物理的な行動へと変換することだという。

固定された自動化設備ではなく「学習」するAIスマート製造システムは、規制当局、品質管理組織、および顧客の監査チームに対して、今日と同じように明日も同じ挙動を示すことを証明しなければならない、とデ・ストンドゥンは言う。

デ・ストンドゥンはまた、急速なイノベーションのペースが裏目に出る可能性もあると指摘した。「スマートモビリティにおける自動化のボトルネックは、組み立て工場にあるのではない。それは2次、3次の下請け(ティア2、ティア3)の段階にある。つまり、生産量が急増している一方で、製品設計が12〜18カ月ごとに変化し続けているパワーエレクトロニクス、電池部品、センサー、コネクターなどの分野だ」

「ここでのビジネス機会は、設計変更によって陳腐化するのではなく、設計変更に適応して存続できる、柔軟で再構成可能な生産体制だ」とデ・ストンドゥンは述べた。

車内空間:顧客体験、V2X(車車間・路車間・歩車間通信)、および車両の独立したインテリジェンス

自動車などの移動手段の内部において、スマートモビリティは2つの側面で変革を促している。それは、顧客体験の向上と、ナビゲーション、安全、自動運転、そして道路上のフィジカルAIに直結するバックエンド技術の進化だ。

自動車メーカーが現在直面している問いは、どのようなAIを車両に搭載するかということだ。テック大手やAI企業との提携によって提供されるAIか、サードパーティのAI開発企業からアウトソーシングされたものか、それとも自社開発したものか。そのため、GMが自社製AIの構築を最近決定したことは、サプライチェーンにおける顕著な変化であると、カーネギーメロン大学ハインツ・カレッジの電気・コンピュータ工学教授であるラジ・ラジクマールは語った。

しかし、ラジクマールは、プロセスが進むにつれて、自動車メーカー(OEM)が直接最適化できるオープンソースやオープンウェイト(公開重み)モデルの重要性が大幅に増す可能性があると考えている。

顧客体験に加えて、その他の車載技術もその高度さとユースケースにおいて注目されている。例えばパーセプタのモナハンは、車両とインフラがリアルタイムで安全情報を交換できるようにすることで、衝突事故を防止・軽減できる可能性を秘めたV2X(車車間・路車間・歩車間通信)技術は、車内の多くのAI機能よりもさらに重要になる可能性があると指摘した。

しかし、これらの新しいスマートモビリティ技術の多くは、道路インフラや特定のセンサー、その他のエッジAIハードウェアに依存しており、それらがすべての地域に均等に配備されているわけではないため、導入にあたって大きな障壁に直面している。

国防、フリート管理、インテリジェントモビリティ用途向けに、信号に依存しない位置測定インフラを開発しているテキサス州オースティン拠点のテクノロジー企業TERN(ターン)は、衛星や信号、外部インフラに依存することなく、インテリジェントで独立したナビゲーションを可能にする新しい位置測定技術を開発した。

位置測定技術は、車両が走行する物理世界の中で動作するために必要なインテリジェンスを提供する上で、極めて基盤となるものだ。

「すべてのインテリジェント車両は、自車位置を把握することに依存しているが、これまでは外部システムからその情報が提供されてきた」と、TERNの共同創業者兼CEOであるショーン・ムーアは語った。

「したがって車両には、物理環境を理解し、その中で行動するのに十分なインテリジェンスが必要だ」

「位置情報の把握は、今や車両のネイティブな機能になり得る」とムーアは述べた。

「フィジカルAIはエッジでのインテリジェンスを必要とするが、すべての道路にインテリジェントなインフラを必要とすべきではない」とムーアは述べ、スマートモビリティのフィジカルAIシステムの構築・維持コストや、都市、田舎の道路、作業現場、あるいは緊急事態が発生する環境において常に存在する格差を強調した。

「最も強固なアーキテクチャは、不可欠なインテリジェンスを車両内部に配置し、外部インフラは利用可能な場合に有用なインプットとして扱い、唯一の絶対的な情報源とはしないものだ」とムーアは述べた。

道路上のスマートモビリティ:フィジカルAIの成果と課題

車両に独立して搭載されるAI技術がゲームチェンジャーとしての役割を果たそうとしている一方で、それらはフィジカルAIインフラと共存することになる。特に、地方自治体が新たな技術の導入をますます進めているスマートシティや大都市圏においてはその傾向が顕著だ。

「スマートモビリティには、意思決定が行われる場所の近くにインテリジェンスが必要だ」とレノボのデイグルは語り、一例として、レノボがフィジカルAIを活用してバルセロナをスマートシティへと変革した取り組みを挙げた。

自動運転モビリティの未来は、よりスマートな車両だけに依存するのではなく、よりスマートなインフラも必要とすることになる、とデイグルは説明した。「接続された道路、交通システム、および車両が連携することで、運転支援は単なるリアクティブ(事後対応的)なものから、よりプレディクティブ(予測的)なものへと変化するだろう」とデイグルは述べた。

フィジカルAIインフラ、ハードウェア、ソフトウェア、およびサービスもまた、テック企業にとってのビジネス機会であるが、特定の状況がその導入の障壁となっている。

コックス・オートモーティブのタッカーによると、米国における道路インフラの大部分は州政府や地方自治体によって建設されている。つまり、新しいフィジカルAI技術を提供し、全米展開を目指す企業は、技術の承認を得るために何千もの自治体と交渉しなければならず、州ごとに異なるコンプライアンス要件や課税基盤に直面することになる。

「技術自体はエキサイティングだ」とタッカーは語った。「しかし、それらを実装するという現実の課題は、何世代にもわたる巨大なハードルだ」と彼は付け加えた。

スマートモビリティにおけるサイバーセキュリティのビジネス機会

自動車やその他の輸送システムがよりスマートになり、個人や道路との接続性がますます高まるにつれ、あらゆる公共重要サービス業界がサイバー犯罪者や国家支援型脅威アクターの格好の標的となっている現在の脅威環境に対処すべく、サイバーセキュリティ分野のビジネス機会が生まれている。

「サイバーセキュリティは、初日からアーキテクチャに組み込まれている必要がある」とレノボのデイグルは述べた。組織はデータの保護、AIガバナンス、ソフトウェアの完全性、および規制への準拠に注力しなければならない、とデイグルは言う。

「スマートモビリティソリューションを揺るぎない形で拡大するためには、信頼とセキュリティが不可欠になるだろう」とデイグルは述べた。

パーセプタのモナハンは、法整備が新しいスマートモビリティ技術にまだ追いついていないことを強調した。

「現在、パーソナライズのペースはガバナンスのペースを上回っている」とモナハンは指摘した。

各国で急速に進化するプライバシー規制と相まって、強固なガバナンスとコンプライアンスの慣行を構築する組織は、重要な競争優位性を生み出すことになるだろう、とモナハンは述べた。

スマートモビリティに関する総括

現在、最先端のスマートモビリティ技術の多くは特定の地域で展開され始めたばかりであるが、すべての自動車メーカーと拡張されたサプライチェーンがその方向へ進んでいるため、その拡大は避けられない。

スマートマニュファクチャリングであれ、車両に独立して搭載されるシステムであれ、あるいはフィジカルAIであれ、サイロ化やギャップ、および業務最適化の余地は、大中小を問わず、テック分野のエンタープライズ企業にとってビジネスを展開する重要な新たな入り口となる。コンプライアンス要件や新たなAI法も、サイバーセキュリティ企業に機会をもたらす。自動車産業が成長を続けるなか、真の変革は、拡張されたエンタープライズ技術のサプライチェーンにおいて起きている。

forbes.com 原文

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